就活生なら知っておこう!求人票の見方と確認すべき5つの項目
2023年3月2日
就活をしていると求人票を見る機会も多いかと思いますが、求人票の正しい見方を知っていますか?
キャリアプランナー 岡田
就活生 Aさん
いつも給料や残業の有無しか見ていないかもしれません…。
求人票には企業を判断するための大切な情報がたくさん書かれています。とはいえ、どこを見ていいか分からないと給与などに目がいきがちですよね。
キャリアプランナー 岡田
就活生 Aさん
そうなんです。どこを見たらよい企業だと判断できるのでしょうか。
求人票には確認すべき5つの項目があります。求人票を正しく確認できればブラック企業を見抜くことも可能です。今回は求人票の正しい見方を紹介するのでぜひ参考にしてください。
キャリアプランナー 岡田
目次
求人票とは?記載されている主な項目
そもそも求人票とは何なのでしょうか?求人票と記載されている主な項目をご紹介します。
求人票とは
求人票とは、採用にあたり募集要項を記載した、ハローワーク(公共職業安定書)に提出する書類です。
求人票に記載しなくてはならない項目は職業安定法によって定められています。
- 従事すべき業務内容
- 労働契約期間
- 就業場所
- 始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日
- 賃金額
- 健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険の適用に関する情報
【求人票に明示されている項目】
求人票の主な項目
上記6つが職業安定法によって記載する決まりが定められています。具体的にどのようなことが記載されているのか、主な項目をご紹介します。
- 事業所名:事業の名前
- 所在地:事業所の所在地もしくは本社所在地
- 事業内容:事業内容の概要
- 仕事内容:今回募集のある仕事・職種の内容
- 就業場所:実際に働く場所(研修期間は別の可能性もあり)
- 職種:事業所内での仕事の種類(営業・経理など)
- 雇用形態:正社員・派遣・アルバイトなど
- 雇用期間:雇用期間が設定されている場合に記載あり(契約更新の有無も記載)
- 就業時間:一日の就業時間
- 時間外労働(残業):時間外労働の有無や平均的な時間労働の時間
- 保険:社会保険などの有無
- 賃金:支給予定の賃金・社内データによる賃金水準
- 休日:実績からの休日設定
- 賞与:賞与の有無や条件
- 連絡際:人事・採用担当者の連絡先もしくは代表窓口
- 備考:その他(受験方法・Webサイトへの案内など)
【会社概要】
【採用条件】
【その他】
求人票には主に上記の項目が記載されています。全て確認すべき項目ではありますが、とくに就活生なら確認しておきたい項目があります。
なぜ確認すべきなのか、またどのように見ればいいのかなどをご紹介します。
確認すべき項目1「給与」
まず就活生ならだれもが気になる「給与」について解説します。給与額は仕事へのモチベーションとなりますし、働く前に必ず知っておくべき項目です。
記載されている内容や、どのように見極めるのか解説していきます。
記載されている金額は「額面」
額面とは、税金などが引かれていない状態の金額です。つまり、そこから所得税や保険料などが引かれていない状態のため、実際にはこれらの税金が引かれた“手取り額”は、記載されている金額よりも低くなります。
- 健康保険
- 厚生年金
- 雇用保険
- 所得税
- 住民税(2年目以降)
- 介護保険(40歳以上から加入)
【額面から引かれるもの】
具体的に上記の項目分が額面から引かれます。目安は額面の20%ぐらいです。
そのため、給与を知りたい場合は額面から20%ほど引かれた金額が手取りとして受け取れると覚えておくとよいです。
額面だけで給与を勘違いし、実際に給与を受け取った際に「記載と違う」ということにならないように注意しましょう。
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給与形態も確認する
給与形態も企業により様々です。具体的にどんな種類があるのか、どんな仕組みなのかを事前に知っておくことは重要ですし、企業選びの1つの軸になります。
それぞれの種類と仕組みについて解説します。
- 基本給
基本給とは、給与のベースとなる金額です。この基本給には住宅手当や残業代などは含まれていません。そのため、実際に受け取れる金額は基本給取りも高くなる場合がほとんどです。 - 固定給
固定給とは、毎月決められた金額の給与が支給されます。基本的に金額の変動はなく、この金額の中には手当も含まれています。 - 日給月給制
日給月給制とは、1日単位で給与が定められ、支払いは月に1回まとめられて支払われる制度です。欠勤や遅刻、早退などで賃金免除が可能となり、欠勤した日を免除されますし、免除には月ぎめの手当ても含めまれます。 - 歩合制
歩合制とは、基本賃金(固定給)が保証されたうえで、売上高や出来高に応じて賃金が加算される制度です。営業職などで多く取り入れている給与形態です。 - 完全歩合制
完全歩合制とは、歩合制とは異なり、固定給がなく、完全に自分の業績によって給与が決まる制度です。成果を上げれば給与は跳ね上がりますし、成果を上げることができなければ給与はもらえません。 - 年俸制
年俸制とは、1年単位で給与額が決められており、12分割にして月ごとに給与が支給される制度です。給与が年単位で決まる以外は月給制と大きく変わるところはありません。
給与形態には様々な種類があり、それぞれ仕組みが変わります。企業によってどの制度を取り入れているのかは異なるので、事前に確認しておいてください。
ちなみに「賞与」は必ずしもあるとは限りません。なぜなら賞与は、企業の実績に応じて配分されるため、業績の悪化や、成果を上げることはできなければ、もらえないこともあります。
また、事業側の義務ではないことから、賞与の有無は企業によって異なります。賞与の有無の確認も大切ですが、必ずしももらえるとは限りませんし、こればかりは入社してみないとわかりません。
確認すべき項目2「休日」
休日の制度もチェックしておきましょう。いつ休みなのか、どれぐらい休みを確保できるのかを知っておくことは企業選びの参考にもなりますし、自分自身も気になることでしょう。
休日はどのように確認すればいいのか、チェック方法と仕組みを確認しましょう。
「完全週休2日制」と「週休2日制」
休みの制度には「完全週休2日制」と「週休2日制」があります。
- 完全週休2日制
完全週休2日制は、毎週“必ず”2日休みがある制度です。この2日は土日だとは限らず、平日の可能性もあり、企業によって異なりますが、必ず週2日の休みは確保されています。 - 週休2日制
週休2日制は、1ヵ月の間に週2日の休みがある週が1回以上ある制度です。必ず週2日休みが確保されているわけではなく、時には週1しか休みがないこともありえます。いつ、どのタイミングで週1の休みになるのかは企業によって異なるため、面接時などに詳しく聞いてみましょう。
求人票には休日制度しか書いていない場合と、「土日休み」と細かく休日が記載されている場合とあります。
産休・育休暇
求人票には「産休取得実績あり」などと記載されている場合があります。基本的に「産休」は労働基準法によって取得が定められていますが、「育休」は本人の申し出による休暇となるため、違いをしっかりと覚えておきましょう。
- 産休
産休は規正法の労働基準法既定のため、必ず全ての出産予定の女性に対して産休期間を設けなければならない(就業させてはいけない)という決まりがあります。 - 育休
育児・介休業法によって定められており、本人の申し出により休暇を取得します。
先ほども述べたように産休に関しては労働基準法によって取得が定められているため、どの企業にもある制度です。
しかし、いわゆるブラック企業ではこのような制度を取り入れていない場合もあるため、女性は面接時にしっかりと聞いておきましょう。
有給休暇
求人票に有給休暇の記載をするかしないかは自由です。また、有給休暇は労働者の権利で定められているため、企業側も条件を満たした労働者に対して有給を与えなくてはなりません。
しかし、企業によっては有給休暇を満足に与えない場合もあるため、面接時に確認しておくのがよいでしょう。
反対に、求人票に「有給休暇あり」と記載があったとしても、企業によっては満足に有給を使えない場合などもあるため、OB訪問などして企業の実態を確認しましょう。
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年間休日数の平均値
求人票には年間平均休日数が書かれている場合があります。この数字も休日数の目安になります。
年間の休日数の平均は122日と言われており、その内訳は完全週休2日制度で、「週2×52週+祝日14日+お盆・年末年始=120日を超える」です。
もちろん企業や業種、休日制度によって日数の変動はありますが、休みをしっかりと確保したいのであれば、120日以上を目安にするとよいでしょう。
確認すべき項目3「残業」
求人票には「〇時間分の残業代を含む」などといった記載がされています。この制度を「固定残業代」「みなし労働時間」などと表現されることがあり、実際に20時間残業しなくても、残業代として手当がつく、反対に20時間を超える場合は別途、残業代は支払われます。
この時間数や金額があまりにも高い場合は残業が頻繁にあるということになるため、残業をあまりしたくない場合はこの項目もしっかりと確認しましょう。
確認すべき項目4「福利厚生」
求人票を見る際は福利厚生もしっかりとチェックしてください。主にチェックすべき項目は「社会保険」「交通費」「退職金」です。
社会保険
福利厚生の中でもとくに“社会保険”の有無は必ず確認してください。社会保険に含まれているものは下記の4点です。
- 雇用保険
失業した際、一定条件のもと、失業給付が与えられます。雇用保険は全ての企業が法的義務付けられています。 - 労災保険
業務中や通勤中に怪我や死亡してしまった際に保険が支払われます。 - 厚生年金保険
定年退職後(65歳)、年金が支払われます。また、事故や病気、さらに障害や死亡により労働できなくなった場合に、本人や遺族に保険金が支払われます。 - 健康保険
病気やケガなどで医療機関を利用した際に、医療費が7割負担してもらえます。(3割の自己負担)
社会保険が完備されていれば給与から天引きされますが、もし完備されていない場合は国民健康保険や国民年金などに別途加入する必要があります。
交通費
交通費が支給されるのかもしっかりと確認してください。企業によって「全額支給」「〇万まで支給」「支給なし」の場合があります。全額支給であれば問題ないですが、一部支給の場合、引っ越しなどを検討することもあるでしょう。
また、そもそも支給がない場合は企業選びのやり直しや、支給がなくてもやりくりできるほどの給与がもらえるのかなどの確認も必要となります。
退職金
退職金は法律により縛りがないため、必ずしも払う必要はありません。最近では退職金制度を導入していない企業も増えつつあります。
しかし、退職金の有無で仕事へのモチベーションが変わる場合もあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
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確認すべき項目5「雇用形態」
求人票には「雇用形態」が記載されています。雇用形態には「正社員」「契約社員」「派遣社員」「アルバイト」「パート」があります。それぞれの雇用状態を確認しましょう。
- 正社員
正社員は、会社と正式に契約を結んでいる状態で、雇用期間が定められていません。また、社会保険の完備、昇給、収入の安定などが期待できます。企業と正式に契約を結んでいるため、残業や転勤などを強いられた際は従う必要があります。 - 契約社員
契約社員は、契約期間を設け、就業する形態です。仕事を長く続けていくためには定期的に更新が必要となり、基本的には昇給、昇進などもありません。しかし、社会保険などの福利厚生は正社員同等の場合がほとんどです。 - 派遣社員
派遣社員は、派遣会社から企業へ派遣される形態です。自分が希望する労働条件のもと、企業を探すことができますが、長期間働きたい場合は安定しない場合もあります。 - アルバイト・パート
アルバイトやパートは、会社と正式な契約は結ばず、自分の好きな時間帯に働くことができる制度です。仕事はマニュアル的で休みなども自由に取れますが、正社員に比べ、低収入です。社会保険は一定条件を満たせば、加入することができます。
基本的に「正社員」で企業を探すことになりますが、しっかりと確認せず、正社員ではない求人を選んでしまうと、社会保険や条件なども変わってくるので、一応確認しておきましょう。
もちろん全項目を確認することが大切!
上記5つはとくに確認してほしい項目ではありますが、求人票に記載されている情報は全て大切なものなので、必ず全部に目を通してください。
求人票は簡潔な情報のみの記載ではありますが、どの情報も企業選びをするうえで知っておくべき情報です。
「見方がわからない」「給与だけ知れればいい」という理由から、求人票をしっかりと見なければ、入社後にミスマッチが起こりかねません。
そうならないためにも、事前に知れる情報は全て知っておくことが大切です。上記5つも大切ですが、そのほかの項目もしっかりと目を通しましょう。
求人票からブラック企業を見抜く方法
求人票からブラック企業なのかどうかを完全に見抜く方法はありません。なぜなら求人票は簡潔に情報が記載されているのみですし、実際の企業の雰囲気は入社してみないとわからないからです。
つまり、文字だけの情報ではブラック企業なのか、ホワイト企業なのかを完全に見抜くのは難しいのです。
しかし、ブラック企業なのかを見抜くための目安ならいくつかあります。見抜くための目安は下記のとおりです。
目安1:設立年数と従業員数
設立年数が短いわりに従業員数が多い場合は注意しましょう。なぜなら、会社の歴史が浅いのに人が大量にいないと回らないほど仕事量がある可能性があるからです。
また、人の入れ替えが激しいケースもあります。もちろん企業にもよりますが、目安として見ておくのはよいでしょう。
目安2:資本金
資本金が少ない場合は注意が必要です。なぜなら、資本金が少ないということは短期間に大量に人を集め、利益を出そうとしている可能性があり、また労働環境への投資もほとんどできていないことも予想されるため、企業によっては働く環境が良いといえないケースがあります。
こればかりは実際に入社または、インターンシップなどに参加しないとわからないことではありますが、1つの目安にはなります。
目安3:給与額
求人票は募集要項が記載されているため、“雇用契約”の条件とは異なります。そのため、正式に雇用契約時に条件が変更、つまり実際に書かれている金額と異なることもありえるのです。
そのため、目安にはなりますが、あまりにも金額が高すぎる場合は注意が必要ですし、反対に低すぎる場合は「歩合制」の場合などもあるため、面接時などにしっかりと質問しておきましょう。
目安4:事業内容
会社の事業内容がよくわからない場合も注意が必要です。求人票は簡潔に書かれているものの、それでも曖昧な場合は事業内容が世間体的によくないケースが考えられます。
もし、事業内容に少しでも違和感を覚える場合は候補から外すか、インターンシップなど、自分の目で確かめるようにしましょう。
目安5:求人票を出している回数
求人票が頻繁に出ている企業も注意が必要です。なぜなら、求人票を常に出し続けるほど人手不足の可能性があるからです。
とくに従業員数が多い場合は要注意です。人がたくさんいるにも関わらず、常に募集をかけているということはその分大量にやめている人も多い可能性があります。求人票を頻繁に出している場合は注意しましょう。
上記のような目安がありますが、いい条件も悪い条件もすべて鵜吞みにしてはいけません。
なぜなら文字のみの情報を全て鵜呑みにすれば、入社後にミスマッチが起こりかねないからです。
インターンシップに参加したり、就活エージェントに企業の評判を聞くなどして、自分の目、耳で雰囲気を確認してください。
おわりに
求人票の情報は企業選びの物差しになりますし、事前に知っておかなくてはならないこともたくさんあります。そのため正しい見方で、チェックすべき項目をしっかりと確認しましょう。
しかし、給与額などは求人票からある程度正確な情報を得ることはできますが、求人票そのものが簡潔に書かれているため、実際の企業の雰囲気を知ることは難しいです。
そのため、求人票だけで判断するのではなく、インターンシップ参加やOB訪問をして、企業の雰囲気を肌で感じてください。そうすることで実際に入社した時にギャップを感じなくて済みますし、「求人票で書かれている事と全く違う」ということを防ぐことができます。
また、大学のキャリアセンターや就活エージェントなど、就活や企業に関しての知識が豊富な人に話を聞くのも効果的です。
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この記事の監修者
岡田 章吾
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2014年に入社後、人材業界に10年間携わる。企業向けの採用コンサルティングを経て現在に至る。これまでに大手企業含めた150社の採用支援と、3,000人以上の就職支援を担当。
就活支援の得意分野は「書類・動画選考の添削」。特に大手企業のエントリーシートや動画選考に強みを持つ。これまで大手企業を中心に、「1,000名、150社以上」の書類・動画選考突破を支援した実績を持つ。
またこれらの知見を活かして学校におけるキャリアガイダンス セミナー内容の監修、講師を務めるなど、幅広くキャリア育成に尽力している。