口約束だけの内定は危険?よくあるトラブルと適切な対処法をプロが解説
2023年3月23日
面接終了後に「ぜひうちに入社してほしい」と、口約束で内定をもらっても信じてはいけません。
キャリアプランナー 岡田
就活生 Aさん
そうなんですか?なぜ信用したらダメなのでしょうか?
本来、内定を伝えられたあとには必ず「内定通知書」送られてきます。なので内定通知書がない口約束だけの内定は嘘なんです。
キャリアプランナー 岡田
就活生 Aさん
初めて知りました……。では口約束だけで「内定通知書」がこない場合は、どうすればいいのですか?
任せてください。ここでは「口約束による内定の法的効力」や「トラブルが起きたときの対処法」を紹介します。内定のトラブルで悩んでいる人は、参考にしてください。
キャリアプランナー 岡田
口約束だけで内定は成立するのか?
「ぜひうちに」「内定だよ」と、面接において内定を告げられることがあると思います。普通であればその後、書面やメールにおいて内定の通知が来ると思いますが、面接でした“口約束”のみという場合には不安になりますよね。
そもそも“口約束”のみで内定は成立するのでしょうか?まずは「口約束になる内定は成立するのか」について確認していきましょう。
有効にはなるが注意が必要
口約束による内定も法律上では「契約成立」とみなされますが、注意が必要となります。なぜなら、口約束による内定には「内定が成立した」という決定的な証拠がないことから、トラブルが起きた際に対処しづらいです。
冒頭でも述べましたが、面接で「内定だよ」と口約束されたのちに内定を知らせる「内定通知書」やメールが送られてくるのが一般的です。そして内定通知書と一緒に送られてくる「内定承諾書」に署名捺印し、返送することで内定が正式に成立します。
これらの内定通知書やメールは「内定が結ばれた」という証拠となり、トラブルが起きた際にも対処することができます。しかし口約束のみの内定は録音でもしていない限り、“決定的な証拠”はありませんので、トラブルが起きた際にはどうすることもできないのです。
ですから、内定は成立するものの、決定的な証拠がないということから、トラブルが起きた場合にはどうすることもできないということを注意しておきましょう。また、口約束だけでは“トラブルも起こりやすい”ということを覚えておいてください。
「内々定」は口約束が多い
多くの企業では内定を出す場合には書面やメールで改めて内定を通知しますが、内々定の場合は口約束だけで済まされる場合が多いです。
内定は4月から就業することを前提にした正式な「労働契約」なので、法的な拘束力があり、正当な理由がなければ、簡単に破棄することはできません。
しかし内々定は「10月(内定式)になったら正式に契約を結びますよ」という約束をしたもので、いわば内定を“仮契約”した状態です。つまり内々定には法的な拘束力がありません。
そのことから、書面などで契約を交わすといったことは少なく、多くの企業では口約束で内々定を言い渡します。
口約束による内定で起きるトラブル
口約束による内定には決定的な証拠がないことから、トラブルが起きたときに対処しづらいだけでなく、内定によるトラブルも起きやすいです。
頑張って手に入れた内定に何かトラブルが起きてしまうのは嫌だと思うので、事前にどのようなトラブルが起きてしまう恐れがあるのかを確認していきましょう。
入社後に聞いていた条件と違うことがある
一番多いトラブルは、入社後に聞いていた条件と違うことがあることです。つまり、面接で聞いていた条件と実際に入社した時とで異なる場合があるということです。
内定時に送られてくる内定通知書には業務内容や労働時間、賃金などの条件が書かれており、学生はここで改めて面接で言われた内容と実際の条件とに違いがないかを確認します。そして、それら条件を確認したうえで承諾をする際には署名捺印し、返送することで正式に内定が結ばれます。
しかし、口約束だけの内定ではこのような書面による通知がないことから、条件などを改めて確認する機会がなく、入社後にギャップを感じてしまうことがあるのです。
売り手市場ということもあり、企業側は学生を集めるのに必死ですから、面接や説明会において良い条件ばかりをいったり、場合によっては盛られた条件などを提示する場合もあります。
そのような好条件に食いつき、入社を決めた学生は特にギャップを感じやすく、最悪の場合早期退職へとつながりかねません。しかし、事前に条件を確認しなかった学生にも責任があるわけですから、このようなトラブルは自己責任となります。
ですから、そのようなことがないよう、口約束だけの内定を結ぶのではなく、改めて書面やメールにて通知してもらい、労働条件を確認しましょう。
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「正式なものではない」という理由から取り消しされる
口約束だけの内定では、「正式なものではないから」という理由から内定が取り消されるケースが多くあります。実際は口約束でも内定は成立していますが、口約束では内定を通知したという証拠がないことから、法的にトラブルを解決するのが難しいのです。
つまり、「内定なんて出してない」と言われてしまえば、もうどうすることもできないというわけです。実際に内定をもらったという証拠がないわけですから、内定は正式なものとして扱われないことが多いのです。
さらには、企業側による不当な理由から一方的に内定を取り消された場合でも、内定の証拠がなければ、やっとの思いで手に入れた内定も手放すことになってしまいます。
証拠がないと「正式なものではないから」と言いくるめられてしまい、どうすることもできなくなってしまいますので、注意しましょう。
口約束だけの内定で不安な人の対処法
内定通知書などの書面やメールが届かず、口約束だけで内定が結ばれてしまうと不安ですよね。口約束だけでも内定が成立するといっても、その分トラブルも起きやすいことから、安心しきれません。
そうならないためにも、口約束だけの状態の内定がある人はどうしていくべきなのかを確認しておいてください。
書面などの証拠となるものの提示を求める
内定は必ず口約束だけで済ますのではなく、書面やメールなどの「内定を通知した」という証拠となるものを受け取るようにしてください。
内定は正式な労働条件ですので、基本的に不当な理由から取り消すことはできないとされているものの、口約束だけでは内定を通知したという決定的な証拠がありませんから、「出していない」と言われてしまえばそれまでです。
それに、書面などで正式な労働条件を事前に確認できないと、入社後にギャップを感じてしまいますし、最悪の場合にはミスマッチから早期退職へとつながりかねません。
ですから、そのような内定取り消しなどのトラブル回避や、労働条件の確認のためにも必ず書面やメールなどで改めて内定を通知してもらうようにしてください。
いつまで経っても通知が来ない場合には自ら連絡し、書面やメールにて内定通知をしてもらうよう、お願いをしましょう。
もし応じてもらえない場合には労働相談情報センターなどに相談するとよいですが、そもそもそのような企業は「何かあれば内定を簡単に取り消すつもり」の場合がありますので、書面などの通知を拒否された場合には内定承諾自体を考え直しましょう。
内定を取り消された場合には「文書回答」を求める
口約束だけでも内定は成立しますが、「正式なものではない」という理由から内定が取り消されてしまうことがあります。その際には必ず、文書にて取り消し理由を提示してもらってください。そうすることで、「内定をもらっていた」という裏付けができ、証拠として残しておけます。
企業側は内定取り消し理由を学生に伝える義務がありますので、申し入れを拒否することはできませんから、内定を取り消された場合には必ず「形に残る」証拠として文書回答を求めます。
また、そもそも不当な理由から内定は取り消せませんので、不当だと感じた理由と取り消し理由(文書)を用意し、内定取り消しは不当だと企業へ訴えてください。
話し合いの結果、企業が不当な取り消しと認めればそれでOKですが、一度取り消しを提示した企業があっさり「取り消しは無効」と認めることも少ないので、万が一に備えて法的な手段も視野に入れておいてください。
- 地位確認の請求
→内定取り消しを無効にさせるための手段。会社に入るため、従業員としての地位の確定を求めます。 - 損害賠償請求
→内定を取り消した会社への入社を諦める代わりに損害賠償金や慰謝料を求める手段。
他にも入社を求める裁判では、職に就いていない裁判期間中の生活費を求める「賃金仮払いの請求」などもあります。これらの法的手段を使う際は弁護士に頼るのが賢明です。お金はかかってしまいますが、個人でやるよりも確実な成果を出せますので、状況に合わせて対応していきましょう。
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口約束された内定でも辞退は可能
口約束の内定は面接時の何気ない会話から成立されることが多く、「内定だよ」「ぜひうちに」などの流れから「ありがとうございます=承諾」せざるを得ないという人も多いと思います。
また、その時は内定承諾したつもりでも選考を進める中で「やっぱ他の企業がいい」となることもあるでしょう。そのような場合、一度承諾したにも関わらず内定を辞退することはできるのでしょうか?
答えはyes。たとえ口約束だけの内定だとしても辞退をすることは可能です。むしろ会話の流れから仕方なく承諾してしまったという人も多いことから、口約束だけ内定を辞退する人は結構います。
しかし当然、辞退をする際には正しいやり方で行わなければなりません。OKと言わざるを得ない状況だったとしても一度承諾したということで、企業側は学生が入社することを前提に準備や採用活動をしていくこととなりますから、その手を止めるということを頭において、最小限ダメージを抑えられるようにする必要があります。
そのためにも内定を辞退する際には、辞退を決めたらなるべく早く連絡するようにしてください。そして、自分を採用してくれたにも関わらず、辞退をしてしまうことに対する謝罪をしっかりと述べてください。
連絡手段はまず電話をし、次にメール、そして最後に手紙を送ります。詳しい辞退のやり方は下記コラムより紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
おわりに
口約束の内定でも内定として成立はされるものの、トラブルには十分に注意しなくてはなりません。やっと手に入れた内定ということで、浮かれてしまう気持ちもわかりますが、口約束だけのままでいると、内定を取り消されてしまったり、入社後にギャップを感じてしまう恐れがあります。
また、内定を取り消されてしまっても、口約束だけでは「内定をもらった」という証拠がない状態となりますので、トラブルが起きたときには内定を手放すことになってしまいます。
せっかく頑張って手に入れた内定ですから、そのようなことがないよう、口約束だけで終わらせるのではなく、書面やメールにて改めて通知してもらいましょう。
書面やメールにて内定通知を受け取れば、正式に内定をもらったという決定的な証拠となるため、トラブルが起きたとしても適切に対応できます。
もし、内定に関するトラブルが起きてしまったり、思うように就活が行かない場合にはぜひキャリチャンを頼ってください。キャリチャンが開催するイベント「就活相談サポート」では、内定に関するトラブルや様々な悩みなどを解決しています。
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この記事の監修者
岡田 章吾
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2014年に入社後、人材業界に10年間携わる。企業向けの採用コンサルティングを経て現在に至る。これまでに大手企業含めた150社の採用支援と、3,000人以上の就職支援を担当。
就活支援の得意分野は「書類・動画選考の添削」。特に大手企業のエントリーシートや動画選考に強みを持つ。これまで大手企業を中心に、「1,000名、150社以上」の書類・動画選考突破を支援した実績を持つ。
またこれらの知見を活かして学校におけるキャリアガイダンス セミナー内容の監修、講師を務めるなど、幅広くキャリア育成に尽力している。