就職したくない学生の選択肢は?就職以外の生き方や方法を紹介
2023年7月13日
「そろそろインターンシップの申し込みが始まりますね。どこに申し込むか決めましたか?」
キャリアアドバイザー 平崎
就活生 Aさん
「実は、就職したくないんです……。」
「そうなんですね。大学院に進学するとか、卒業後の予定は決まっているのですか?」
キャリアアドバイザー 平崎
就活生 Aさん
「そうでもなくて……。なんとなく就職したくないという気持ちがあって……。」
「就職しないのも1つの人生の選択肢ですよね。このコラムでは、就職したくない人が選択できる生き方や注意点を説明します。ぜひご覧ください。」
キャリアアドバイザー 平崎
そもそも就活をしないのはあり?
就職活動は義務ではなく、就職する・就職しないは個人の自由です。就職をして夢を実現したい、社会貢献したいと考えるのも自由ですが、就職をしたくないと考えるのも自由です。
大学3年、4年になると多くの人が就活を始めるため、就活をしないという選択をするのは難しいかもしれません。特に大学院への進学が一般的ではない学校や学部では、就活しない学生は目立つことがあります。
ただし、大学を卒業するタイミングは、多くの企業が新卒採用に力を入れています。将来的に就職をしたいと思うのであれば、大学を卒業するタイミングは就活を始めるのに適した時期といえます。
令和4年度学校基本調査によれば、大学(学部)を卒業した後に就職する人は74.5%、大学院などに進学するのは12.4%です。
大学(学部卒業) | 令和2年3月 | 令和3年3月 | 令和4年3月 |
---|---|---|---|
就職率 | 77.7% | 74.2% | 74.5% |
進学率 | 11.3% | 11.8% | 12.4% |
有期雇用労働者 | 1.0% | 1.2% | 1.2% |
臨時労働者 | 0.5% | 0.8% | 0.7% |
4人に3人の学生は就職していますが、進学やそれ以外の道を選ぶ学生も4人に1人はいます。就職・進学・それ以外のいずれにしても、どのような生き方をしたいのかを明らかにし、自分に合う選択をすることが大切です。
就職したくないと思う理由
就職したくないと考える理由はさまざまです。よくある理由としては、以下の4つが挙げられます。
就職活動(就活)をしたくない
就職活動にはインターンシップや企業説明会に参加することや、ES(エントリーシート)の提出や面接なども必要になるため、手間がかかります。また、ESの作成や面接対策のために、自己分析や企業分析も必要です。
就職活動のためにしなくてはいけないことを考えると、あまりにも多くのことがあり、面倒に感じる人も多いです。周囲の学生が就職活動を始めるようになっても、前向きに取り組もうと思えず、就職活動の時期を逃してしまうこともあります。
やりたい仕事が分からない
就職したくない理由の中でそもそも自分がどういった仕事をしたいのか分からないためという人もいると思います。今まで大学入学だけを目標に勉強してきた人なら、目標を達成したことで燃え尽き、次の目標がなかなか見つからないというケースもあるでしょう。
やりたい仕事が分からないまま就職活動をするのは難しいです。特に3年、4年になると実験や論文などで学業も忙しくなるため、モチベーションが湧かない就職活動を続けることに苦痛を感じるようになります。
組織に所属したくない
就職したくない理由の1つに人間関係を構築していくことや大人数が苦手だからというのも多いです。社会に出てまた新たな人間関係を作ることを思うと、就職活動に踏み出す勇気が出ないというケースもあります。
同じことの繰り返しが苦手という人も多いです。大学のスケジュールは比較的自由度が高いですが、就職して会社員や公務員になると、休日以外は毎日通うことになります。同じメンバー、同じ職場、同じ仕事……と思うだけでストレスを感じる人もいるでしょう。
そのほかに、指示に従うことが苦手だという人も多いです。社会人になると、基本的には組織の輪を見出す行為は許容されないため、上司の指示に従い続けることが前提となります。つまり、就職することは、指示に従い続ける生活を始めるということです。前向きな気持ちで取り組むことが難しいと感じるのは、自然なことといえます。
時間を拘束されたくない
就職したくない理由で時間を拘束されたくないという理由もあります。大学時代は比較的時間を自由に使えます。朝まで友人と語り合ったり、何日間も通して実験をしたり、平日に旅行に行ったりと自由な生活が可能です。
しかし、就職すると時間的な自由さは失われます。週5日、8時間勤務し、時間を拘束されることになるのが一般的です。同じことを繰り返し時間を拘束される生活を思い浮かべるだけでも、就職したくないと考える人は少なくありません。
また、勤務地によっては通勤ラッシュを毎日経験することになります。混雑した場所にストレスを感じる人には、就職は苦痛の連続です。就活に対して前向きに取り組めないときは、就活の専門家であるキャリアアドバイザーと相談してみることも1つの方法となります。
「就活相談サポート」は、就活に悩む人や就活にやる気が出ない人も気軽に個別相談を受けられるイベントです。まずは一度相談し、客観的な意見も参考にしてご自身の将来について判断することをオススメします。
就職しない生き方と方法
就職しないという選択肢も可能ですが、ほとんどの人は、生きていくためにお金を稼がなくてはいけません。就職しないでお金を稼ぐための方法としては、大きく以下の4つがあります。
フリーター(アルバイト・パート)
フリーターとは正社員以外、例えばアルバイトやパートといった雇用形態で生計を立てている人のことです。
正社員と比べると採用までの過程が少なく、履歴書を渡して面接だけで合否をもらえることも多いです。そのため、働くまでの難易度が低く、就職活動を面倒に感じている人にも向いています。
また、勤務時間の自由度も高く、午前中だけ、土日だけといった働き方も可能です。単発のアルバイトを選べば、お金が必要になったときだけ働くこともできます。
正社員と比べると、責任の高い仕事に従事しないことが多いのも特徴です。気軽に働きたい人には適しています。
ただし、ある程度稼ぐには、長時間働くことが必要です。社会保険への加入などは条件次第となるため、将来に不安が残る点もデメリットといえます。
フリーランス
フリーランスとは、企業などの組織に属さず業務委託として個人で仕事を請け負って報酬を受け取る人のことです。プログラマーやライター、ウェブデザイナーなどのインターネットを使って在宅勤務している人のなかには、フリーランスとして働いている人も多くいます。
自由な働き方ができるだけでなく、好きな仕事だけを選べるという点がフリーランスのメリットです。正社員や公務員のように基本給が決まっているわけではないため、仕事をすればするだけ稼げるのもメリットといえます。
その一方で、一定のスキルがないと仕事の依頼もないため、生活が成り立たない可能性があるのがデメリットです。また、企業に雇用されているわけではないため、労働法規の適用外となり、最低賃金や労働災害の保障がない点にも注意が必要になります。
起業
起業とは事業を新しく始めることで、法人設立を指すことが一般的です。一方、フリーランスは法人を設立せずに個人事業主として働くことを指します。
起業をするには、お金を稼ぐ仕組みを明確にしておくことが必要です。ビジネスモデルが不明瞭なまま起業しても、お金を稼げず、法人を維持できない可能性があります。
起業のメリットとしては、自分のやりたい仕事だけに注力できることが挙げられます。そのほかにも、仕事の成果に応じて高収入を得られる点、定年がなくいつまでも働ける点もメリットです。
しかし、失敗するリスクがある点、収入が保障されていない点はデメリットとなります。起業して間もないときは会社の信用がないため、案件獲得が難しいだけでなく、金融機関から融資を受けることも困難です。
家業を継ぐ
家業がある場合は、継ぐという選択肢もあります。学生のときから少しずつ仕事を覚えていけば、卒業するときにはスムーズに継ぐことが可能です。
特に自分がしたい仕事と家業が同じであれば、仕事に対して意欲的に取り組めます。しかし、誰もが家業を継げるわけではないため注意が必要です。家庭の方針で家業を継がせないケース、あるいは一度ほかの会社で仕事を経験してからでないと受け入れないケースもあります。
また、家業の経営状況が思わしくなく、子どもに継がせないケースもあります。まずは家族で話し合ってから、家業を継ぐという選択が可能か確認してください。
就職しないメリット
就職したくないと思い、就職しない場合のメリットは、以下の2つがあります。
時間や場所にしばられない働き方ができる
会社員ではないため、働きたいとき、お金が欲しいときだけ自由に働くことが可能です。週5、毎日8時間勤務など決まりがなく、自由なスタイルで働けます。在宅でフリーランスとして働く場合は、時間だけでなく場所も自由です。
ただし家業を継ぐ場合は、経営者としてあまりにも自由な行動は慎まなくてはいけません。とはいえ、一般的な会社に勤めるよりは自由度が高く、希望に近いスタイルで働けることが多いです。
新卒の収入より多く稼げる場合がある
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)」によると大学卒の初任給は平均約21万円、大学院修士課程修了の初任給は平均約24万円です。フリーターやフリーランスなどの働き方の場合、仕事内容や労働時間によっては初任給より多く稼げることがあります。
最終学歴 | 大学院修士課程修了 | 大学卒 |
---|---|---|
男女計 | 23.89万円 | 21.02万円 |
男性 | 23.90万円 | 21.28万円 |
女性 | 23.83万円 | 20.69万円 |
就職しないデメリット
就職したくないと思い、就職しない場合のデメリットは、以下の3つがあります。
収入が不安定
フリーターやフリーランスの収入は、勤務時間や案件数に左右されるため不安定です。病気やケガで働けないときにも労災保険では保障されず、仕事を辞めたときも雇用保険で保障されないため、給付金を受け取ることもできません。また、起業する場合も、軌道に乗るまでは収入は不安定になります。
家業を継ぐときも、収入が不安定になる可能性があるため注意が必要です。事業規模が大きく経営が安定している場合はよいのですが、事業規模が小さく、収益が安定していないケースもあります。
社会的な信用がない
社会的信用は、どの企業に所属しているか、安定した収入を得ているかによって判断されることが一般的です。公務員や大企業に勤務している場合は社会的信用が高いとみなされ、また、中小企業やベンチャー企業に勤務している場合も勤続年数が長いと社会的信用は高くなります。
しかし、フリーターやフリーランスとして働く場合、正社員と比較すると社会的信用は低いです。クレジットカードやローンの審査に通らない、不動産の賃貸契約を結べないといった不都合が生じることもあります。
新卒での就職ができなくなる
多くの企業では新卒の採用を積極的に実施しています。つまり、新卒時は就職しやすいタイミングです。
しかし、就職をしないまま卒業後時間が経過すると、就職がしやすいとされる新卒ブランドを利用できなくなります。いざ就職したいと思ったときには採用枠が狭く、就職が難しくなることも多いです。
新卒ブランドを活用するためにも、新卒と呼ばれる間に就職することが必要になります。何から就活を始めようか迷ったときは、ぜひ「就活相談サポート」にご参加ください。就活の専門家であるキャリアアドバイザーが就職まで個別にサポートいたします。
また、下記のコラムでは就活のやり方を1から詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。
就職しない人の人生設計の立て方
就職したくないと思い就職をしない場合でも、将来のためにライフプランを考えることが大切です。5年後、10年後どうなりたいかを想像し、そのために今どのような選択をしなくてはいけないか考える必要があります。
将来の自分を想像するときは、どのような状況になりたいかだけではなく、どのような状況にはなりたくないかについても考えることが必要です。なりたくない姿を思い浮かべることで、選択するべき道が見えてくることがあります。
なりたい姿・なりたくない姿を抽象的にでも思い浮かべることで、フリーター・フリーランス・起業・家業を継ぐのなかで自分に合うものが見つかるでしょう。就職をしないという選択で、自分のなりたい姿を実現できそうにないときは、就職活動を始めるのも1つの方法です。
就職活動に出遅れてしまった人には「出遅れ就活サポート」がオススメです。キャリアアドバイザーがマンツーマンでサポートしているので悩みや不安を抱える就活生は、ぜひ活用してください。
就職したくないと思ったらキャリアアドバイザーに相談がオススメ
就職したくないと思ったときには、まずは卒業後のライフプランを考えることが大切です。どのような人生を歩みたいか、どのような人生にはしたくないのかを想像し、将来のライフプランを立てましょう。
なかなか答えが出ないときは、キャリアアドバイザーに相談してみることも1つの方法です。キャリアアドバイザーは、就活だけでなく将来のライフプランについての相談にも対応しています。
客観的に状況を分析し、検討できる選択肢を提案してくれるため、1人で考えるよりも情報を整理できてオススメです。キャリアや将来についてのお悩みは、ぜひキャリアアドバイザーにご相談ください。
「就活相談サポート」に参加しよう!
この記事の監修者
平崎 泰典
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2016年に入社後、企業向けの採用コンサルティング業務を経て、就職・転職希望者に対する個別就職支援を担当。「キャリチャン」「合説どっとこむ」において年間100回以上の就職・転職セミナーの講師も務める。
主な担当講座に「営業職や種類が適性がよくわかる解説講座」「手に職をつけられる仕事解説講座」などがあり、これまで3,000名以上に対して講座を実施。
就職支援では「自己分析」と「業界研究」を得意として、就活初期の学生や求職者を相手に基礎からサポートを行う。年間1,000名以上の内定獲得を支援。