志望動機で「人の役に立ちたい」はNG?良くない理由と上手に気持ちを伝える方法
2023年3月7日
就活をしていてどんな企業に入りたいと考えていますか?
キャリアプランナー 岡田
就活生 Aさん
私は、人の役に立つ仕事や社会貢献ができる企業に入りたいです。
人の役に立つ仕事や社会貢献ができる仕事は、とても魅力的ですよね。しかし、就活をするうえでそう発言しているなら逆効果かもしれません。
キャリアプランナー 岡田
就活生 Aさん
本当に人の役に立つ仕事がしたいのに..。では、私のような人の役に立つ仕事がしたい就活生は、どうやってその気持ちを伝えればよいのですか?
わかりました。人の役に立ちたい気持ちを上手に伝えるコツや伝える際に注意すべきポイントを解説しますので、参考にしてみてください。
キャリアプランナー 岡田
志望動機に「人の役に立ちたい」がNGといわれる理由
冒頭にも述べたように、就活での志望動機として「人の役に立ちたい」はNGです。企業や面接官によっては、あまり良い印象を抱かない可能性があります。しかし就活生の中には、心から人の役に立ちたいと願い、それを就活軸として企業探しをした人も少なくないですよね。
それなのに、なぜ「人の役に立ちたい」という志望動機がNGなのでしょうか。納得のいかない就活生に向けて、コラムの初めに「人の役に立ちたい」を志望動機としてはいけない理由について説明します。今後の就活で語る志望動機を考え直す際の参考にしてください。
「人の役に立ちたい」がNGな理由
「人の役に立ちたい」という志望動機がNGな理由は、そもそも求められている質問への回答として成り立っておらず、志望動機の内容には相応しくないからです。「人の役に立ちたい」という志望動機は、その企業に入ると人の役に立つ仕事ができて、社会貢献できるという点だけにフォーカスを当てています。けれどもESや面接で求められる”志望動機”は、その企業を志望する動機を答えるもので、その仕事を志望する動機を答えるものではありません。
どちらも縮めれば”志望動機”となってしまいますが、ESや面接の中で求められる”志望動機”とは、特に指定がない限り「その企業を志望する動機」のことです。つまり分かりやすく言い換えると、企業側は「他にも似たような企業がたくさんある中で、なぜうちの会社を志望したのですか?」と聞いています。それなのに「人の役に立ちたいから」と答えたら、同じような仕事をする企業すべてに当てはまり、その企業を志望する動機を述べたことにならないわけです。
それでは相手の質問とこちらの回答が適合しないので、質疑応答として成立せず、話がすれ違っています。「質問の意味を勘違い→理解力の低い人」「聞いていることと違うことを答える→協調性のない人」などと思われて、評価が下がってしまうのです。それどころか、その企業だからこそ志望しているという熱意がちっとも伝わらないため、「この仕事ができれば他の会社でもいい→入社の可能性は低い→内定を出しても意味がない」と判断される恐れもあります。
それに「人の役に立ちたい」という志望動機は、人の役に立ちたい就活生が志望する企業にとっては耳にタコができるほど聞いていて、印象に残りにくい言葉です。「人の役に立ちたい」という志望動機は、医療や介護、インフラなど一般に社会貢献度が高いイメージのある業界を志望する人に多く見受けられます。ところがそういう業界・業種の企業で働く人からすると、「人の役に立ちたい」という言葉は日頃から聞き飽きていて、ほとんど当たり前と言ってもいいくらいのことです。
しかも志望してくる学生はみんながみんな「人の役に立ちたい」と述べるので、今さら志望動機としてそんなことを言われても、「またその話か」という程度で何の印象にも残らないでしょう。もちろん「人の役に立ちたい」と思い、それを軸として企業選びをするのは良いことです。しかし人の役に立つ仕事ができる企業を志望するからこそ、志望動機はそれとは別の視点で、同業他社ではなく”その企業”を志望する理由を述べる必要があります。
そもそも“人の役に立っていない仕事”はない
「人の役に立ちたい」という志望動機がNGとなるもう1つの理由は、そもそも”人の役に立っていない仕事”なんて、この世に存在しないからです。どんな仕事も、誰かしら人の役に立つからこそその商品やサービスにお金を払う人がいて、企業の利益となり、仕事として成立しています。誰の役にも立たなければニーズがなく、その商品やサービスにお金を払う人はいませんから、仕事として成立しないです。
つまり志望動機として「人の役に立ちたい」とだけ伝えてしまうと、全ての仕事・全ての企業に当てはまることになります。それは言い換えると、どんな仕事でもどの企業でも構わない=別にこの企業に対する思い入れなんて特にないと言っているようなものです。他にもこの企業を志望している就活生がたくさんいるのに、わざわざそんな人を採用する企業はありません。
そもそも採用活動において企業は、単に人の役に立つ人(=仕事をする人)ではなく、仕事をすることによって売上や利益を高め、自社の成長に貢献してくれる人を求めています。そして自社への貢献度は、単純に人の役に立とう(仕事を頑張ろう)とする人よりも、その会社の理念や方向性に共感し、愛社精神のある人の方が高いです。自分の所属する会社の理念や方向性に共感し、会社に愛着を持っている人は、人の役に立つだけでなく会社の役に立とうとするので、結果として会社の利益や成長につながる仕事をしてくれます。
しかし愛社精神がなく単に人の役に立ちたいだけの人は、自分が誰かの役に立てれば満足なので、極端に言えば会社のことはどうでもいいわけです。そういう人は「誰かの役に立った」という自己満足に終始し、会社の方針や利益を無視したボランティアのような仕事の進め方になったり、場合によっては会社に損害を与える行動を取ったりする恐れがあります。そんな人を、わざわざお金を払って雇いたいと思う企業は無いです。
くり返しになりますが、世の中に人の役に立たない仕事なんて存在しません。どんな企業のどんな仕事も、何らかの形で誰かの役に立っています。ですから企業は単に人の役に立ちたいだけではなくて、自社の理念や目指す方向性に共感し「この会社の利益・成長に貢献する仕事こそが他の何より人の役に立てること」だと感じる人、言い換えると「この会社に貢献する=人の役に立つ」と考える人を求めているのです。
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人の役に立ちたい気持ちを上手に伝えるコツ
ここまで述べてきたように、「人の役に立ちたい」は就活における”志望動機”として通用しません。ただし、仕事を通して人の役に立ちたいと思うのは素晴らしいことですし、それを就活軸として仕事選び・企業選びをするのがNGだと言っているのではないです。「人の役に立ちたい」という志望動機の問題点は、仕事を通して人の役に立ちたいと思っていることや就活方針そのものではなく、その伝え方にあります。
ただ「人の役に立ちたい」とだけ伝えると、どんな仕事にも当てはまるので”その企業”を志望する動機にならないばかりか、別にこの企業でなくてもいいし、人の役に立つならこの企業の利益や成長なんてどうでもいいと思っていると誤解されてしまうのです。しかし、もちろん就活生の皆さんは決してそんなつもりではなく、その企業だからこそ人の役に立てると考えて志望しているのだと思います。
では一体どのように伝えたら、その「人の役に立ちたい」という思いを変に誤解されることなく、就活で通用する志望動機として表現できるのでしょうか。ここからは、「人の役に立ちたい」という気持ちを上手に志望動機として伝えるコツについて説明していきますので、参考にしてください。
具体的かつ論理的に伝えるように意識する
仕事を通して人の役に立ちたいという自分の気持ちを、就活で通用する志望動機として上手に表現するコツは、具体的かつ論理的に伝えるよう意識することです。「人の役に立ちたい」という表現は、それが正直な気持ちだとしても、あまりに漠然とし過ぎています。たとえば極端な話、企業の保有する機密情報を社外に漏洩することは犯罪ですが、漏洩してもらった側からすれば大変人の役に立つ行為だとも言えるわけです。
「人の役に立ちたい」というのは漠然とし過ぎて何がしたいのか不明瞭だからこそ、いかようにも解釈でき、さまざまな誤解を生んでしまいます。ですから志望動機ではただ「人の役に立ちたい」と答えるのではなくて、自分にとって「人の役に立つ」とは具体的に何を指すのか、どう人の役に立ちたいのかを説明しましょう。それは言い換えると、自分の頭の中で思い描いている「人の役に立っているイメージ」を企業側へ分かるように説明して、そのイメージを共有するということです。
そのためには自分が「誰に対して」「どのように」役に立ちたいのか、その結果としてどんな状態となれば”役に立った”と考えられるのかという「理想像」まで語る必要があります。ただし、いくら内容が具体的でも話があちらへ行ったりこちらへ行ったりと込み入っていて、ESを読む人・面接で回答を聞く人に分かりにくいのではダメです。それらの内容が相手にとって分かりやすいよう、きちんと筋道を立て、順序良く論理的に説明することが大切になります。
そのように自分の頭の中にあるイメージを言葉で具体的な言葉で論理的に説明できれば、おかしな誤解を受けることなく、自分の気持ちを正確に伝えることができるのです。また、前述のように企業は採用活動において、自社の理念や目指す方向性に共感し「その企業の利益に貢献する=人の役に立つこと」と考えてくれる人を求めています。それだけでなく就活生自身も、その企業で働くことが「人の役に立つ」という就活軸に合致すると感じたからこそ、その企業を志望したはずです。
それはつまり、自分でははっきり意識していなくても頭のどこかで「その企業で働く(その企業に貢献する)こと」=「人の役に立つ理想像」と結びついているに他なりません。そのため志望動機の中では無駄な誤解を与えないよう、「人の役に立ちたい」という気持ちをもっと企業にとって分かりやすい言葉で、「この会社に貢献したい」などと言い換えるとなお良いです。
自分だけのオリジナルな理由を述べる
「人の役に立ちたい」理由をより具体的にすることで、本気でそう思っていることが人事にも伝わります。
話を具体的にするために重要なのが“オリジナルな理由”を考えることです。先ほども述べたように、「人の役に立ちたい」という動機はみんな同じになりがちです。
しかし、そこで周りと差をつけることができれば、好印象を与えることができるのです。
オリジナルな理由を考えるためには、自己分析が欠かせません。
- 自分はどんな人間か(性格)
- なぜ人の役に立ちたいと思ったのか
- 自分の強みがどう人に役に立つのか
- 自分が周りに与える影響はなにか
- 「人の役に立ちたい」を自分の中でどう捉えているか
上記のことを5W1H(Who誰・Whenいつ・Whereどこで・Whatなにを・Howどのように)をもとに、人の役に立ちたい理由をまとめれば、厚みのある回答をすることができます。
そしてさらに重要なのが、“その企業にとって役に立つこと”を中心に理由を述べることです。先ほども述べたように、企業側は「売上や利益を高めてくれる人」を求めています。
企業が求めている人材に近づかなければ当然、内定は遠のいてしまうので、人の役に立ちたいという気持ちに合わせ、自分が企業にとってメリットのある人材だとアピールしましょう。
就活エージェントから“伝え方”を学ぶ
仕事を通して人の役に立ちたいという自分の気持ちを、就活で好印象を得られる志望動機として表現するには、就活エージェントなどのプロから上手な”伝え方”を学ぶのが一番です。前述のように「人の役に立ちたい」という志望動機の問題点は、人の役に立ちたいと思うことや就活軸そのものではなく、漠然とし過ぎて余計な誤解を招きやすいことにあります。つまり”伝え方”を工夫し、自分の気持ちを正確かつ上手に伝えることさえできれば良いわけです。
しかし残念ながら、それは言うほど簡単なことではありません。そもそも自分の頭の中にある漠然としたイメージを明確にするのも大変ですし、それを言葉として具体化し、論理的に順序立てて説明するのはもっと大変です。下手をすると難解な言い回しとなり、結局は企業側に全く志望の思い(熱意)が伝わらないということもあり得ます。そんな風にならないためには、毎年多くの学生の就活を手伝い、企業側のフィードバックなども聞いている就活エージェントなどのプロに、上手な伝え方を教えてもらうと良いです。
就活エージェントなら、自分の思いをどう具体化し志望動機としてどんな要素を盛り込むべきか、どういう言い回しが好まれるかなど、確実に好印象を狙える伝え方を知っています。「人の役に立ちたい」という就活生の思いを具体化する手助けをするとともに、大筋では就活生自身の考えた志望動機の主旨は変えずに、好印象を与えるような言葉に言い換える方法を教えてくれるはずです。ですから志望動機で悩んだら、迷わず就活エージェントに頼ることをオススメします。
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人の役に立ちたい気持ちを伝える際に注意すべきこと
志望動機で「人の役に立ちたい」という気持ちを伝える際には、伝え方以外にも内容において注意すべきことがあります。まず注意すべきことは、志望動機の中で語る「人の役に立つイメージ・理想像」が、志望企業の業務内容とズレないようにすることです。くり返しになりますが、採用活動において企業は自社の理念や方向性に共感し、自社の利益・成長に貢献できる人材を求めています。そもそも就活生の語る「人の役に立つイメージ・理想像」が志望企業の業務内容とズレていたら、「人の役に立ちたい」というのがその企業への志望動機として成立しないです。
それでは志望企業の理念や方向性に共感していることを示せず、”その企業”に対する志望度の高さも熱意も伝わりません。それどころか自社と利害の一致しない方向性を目指していると思われ、その就活生がどれほど優秀で努力家であろうと、自社の利益・成長には貢献できないと判断されてしまいます。志望動機で好印象を得るには、自分の望む「人の役に立つ将来像」がその企業の目指すものと同じで、互いの利害が一致していると示すことが大切です。それでこそ「人の役に立ちたい」という自分の思いが、その企業の利益・成長に直結し、採用の価値のある人物だとアピールできます。
また、志望動機の中で語る「人の役に立つイメージ・理想像」が曖昧で、どの企業にも当てはまるような内容を述べるのもNGです。世の中に人の役に立たない仕事なんて存在しませんから、どの企業にも通用するような志望動機を考え、使い回ししているのだと思われてしまいます。もちろん志望先は1社だけではないですから、就活生は何社分もの志望動機を書くことになるはずです。
しかしそれでも、使い回しの志望動機では志望度の高さや熱意は伝わらず、入社の可能性は低いから、内定を出しても意味がないと判断されるでしょう。そんな風に思われないためには、志望企業それぞれに”その企業”1社だけに特化した志望動機を考え、「この企業で働きたい」という思いを伝える必要があります。それにはしっかりとした業界・企業研究に基づき、志望企業ごとの業務・理念にピッタリ合った「人の役に立つ将来像」を語って、1社1社に対する思い入れを込めた志望動機にしてください。
おわりに
人の役に立っていない仕事がないことから、就活において「人の役に立ちたい」はあまり言わない方がよい言葉です。
社会人は人の役に立って当たり前のこと(仕事)をします。そのため企業はその先の「売上や利益を高めてくれる」「企業にとってメリットとなる」人材を探しているのです。
また「人の役に立ちたい」は、「仕事できれば会社はどこでもいい」と言っているのと同じです。そんな人、企業側が欲しいと思うわけありません。
そのため、人の役に立ちたいという気持ちも大切ですが、そのさらに先を見据えて動くようにしましょう。
就活は、企業が求めている人物像に近づくことも大切なことです。自己分析や企業研究を重ね、自分に合った企業を見極めましょう。
もし少しでも迷いや不安がでたら他人に頼りましょう。就活は1人ですることはできません。友人や家族だけでなく、大学のキャリアセンターや就活エージェントなど、就活に関する知識が豊富な人に頼ることで、就活の悩みや不安を減少することができます。
就活相談サポートに参加しよう!
この記事の監修者
岡田 章吾
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2014年に入社後、人材業界に10年間携わる。企業向けの採用コンサルティングを経て現在に至る。これまでに大手企業含めた150社の採用支援と、3,000人以上の就職支援を担当。
就活支援の得意分野は「書類・動画選考の添削」。特に大手企業のエントリーシートや動画選考に強みを持つ。これまで大手企業を中心に、「1,000名、150社以上」の書類・動画選考突破を支援した実績を持つ。
またこれらの知見を活かして学校におけるキャリアガイダンス セミナー内容の監修、講師を務めるなど、幅広くキャリア育成に尽力している。