【24卒向け】就活生なら知っておきたい『売り手市場』がもたらす影響と仕組み
2023年3月16日
「売り手市場」とはどういう意味か知っていますか?
キャリアプランナー 平崎
就活生 Aさん
「売り手市場だから内定がもらいやすい」とよく聞きます。しかし、詳しくはわかりません……。
その言葉は間違っていないです。少子化で求人の応募者が少なく、就活生にとって優位な状況なんです。
キャリアプランナー 平崎
就活生 Aさん
そうなんですね!けど、油断してたら就活に失敗しそうで怖いです……。売り手市場でうまく就活をする方法、教えてくれませんか?
今回は「売り手市場」についてまとめました。これで売り手市場の仕組みがわかるでしょう。
キャリアプランナー 平崎
売り手市場とは?
就活を始めることで耳にする機会の増える「売り手市場」。一体この売り手市場とは何なのでしょうか?
就活生である以上、「売り手市場」の仕組みについては知っておく必要がありますので、しっかりと確認していきましょう。
「売り手市場」と「買い手市場」
「売り手市場」とは、”就活をする求職者(就活生)が優位な状況”を指します。つまり、企業側は人材不足のために、可能な限り多くの良い人材を確保したいと考えている状況から、求職者よりも企業側が不利な状況にあることを言います。
一方、一つの企業に集まる応募者(就活生)が増え、多くの中から優れた人の採用を検討できる、“企業側が優位”な状況を「買い手市場」といいます。
簡単に「コンビニ」を例に、売り手市場と買い手市場について下記にまとめました。
- 売り手市場→求職者数が多くあり(=コンビニの商品が多い)、就活生(=コンビニのお客)が入社するチャンスが多い状況。(=商品を選びやすい)
- 買い手市場→求職者数が少なく(=コンビニの商品が少ない)、就活生(=コンビニのお客)が入社するチャンスが少ない状況。(=商品を選びにくい、選べない)
上記はコンビニを例にしましたが、就活において取引されるのは「労働力」で、就活生は働く人材であることから、労働力を売る「売り手」となり、労働力を買うのが給与を支払う側の「企業(買い手)」に当たる仕組みです。
近年では、少子化などの労働人口減少により、「売り手市場」の傾向となっていることから、就活生に優位な状況とされています。
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「有効求人倍率」との関係性
有効求人倍率とは、企業からの求人数(有効求人数)を、公共職業安定所(ハローワーク)に登録している求職者(有効求職者数)で割った値を言います。これは雇用状況から景気を知るための統計資料の一つとされています。
一人あたりに何件求人があるかを示したものとなり、この倍率が1.0以上だと求人者が多く、1.0未満であれば求職者が多いという計算となります。そして1.0以上だと「売り手市場」、1.0以下だと「買い手市場」という判断です。
売り手市場がもたらす影響
売り手市場の仕組みについて理解したら、具体的に売り手市場がもたらす影響とは何なのかについて確認していきましょう。
具体的に24卒の学生にどう影響されてくるのかについても記載しているので、これから本格的に就活と向き合っていく学生はしっかりと勉強していきましょう。
求職者の選択肢が増えるなどといったメリットが多い
求人数が多く、求職者にとって有利な状況を示す売り手市場では、選択肢が増え、応募先の企業をじっくり吟味できたり、内定がもらいやすくなったりなど、就活生側にとってメリットが多いものとなります。
とくに流通業界や建設業界ではこの売り手市場の影響を多く受けており、これらの業界を目指す学生にとっては内定が獲得しやすい状況だといえます。
企業側にとっては、人材が集まりづらく、採用難の状況が続くこととなり、どの企業も優秀な学生を早期に確保しようと、就活全体の早期化が年々目立つようになりました。
学生側の内定が獲得しやすくなっている状況から、早期に就活を終えるようになるなど、「就活の早期化」が売り手市場による最も大きな影響だといえます。
売り手市場によるデメリットもある
一見、内定がもらいやすい状況ということで就活生にとってメリットばかりにも感じますが、そうでもありません。
内定がもらいやすくなるということで、「本当にこの企業で決めていいのか」「他にもっといいところがあるのではないか」と、内定に対して不安を覚えてしまう“内定ブルー”へと陥りやすいというデメリットがあります。
さらに、多くの内定先から入社先をなかなか決めれなかったり、内定の取りやすさから自分に合った企業を選べていないことに気づかず、そのままミスマッチにつながったりと、内定がもらいやすいからこそのデメリットもあるのです。
また、企業側にとっても、学生が複数社の内定を持っているということで、「辞退」のリスクが高いというデメリットがあります。
「売り手市場のメリット・デメリットを詳しく知りたい。」と考えている就活生は、キャリチャンの「就活相談サポート」を利用してはいかがでしょうか。就活のプロであるキャリアプランナーがあなたの疑問・悩み事を解決します。気軽に活用してください。
24卒の学生にはどう影響されるのか?
売り手市場に合わせ、「就活ルール」が廃止された24卒では、さらなる就活の早期化が見込まれます。
もともとあまり守られていなかった就活ルールですが、それらが廃止ということで、さらに優秀な学生の取り合いが激しくなり、企業側はどんどん採用活動を早めていきますし、学生自身も早くから動きださなくてはいけない状況となります。
この勢いは2020年の東京オリンピックまで続くといわれており、24卒は就活ルール廃止の初年度となりますので、就活の流れや状況を随時チェックしていく必要があるでしょう。
売り手市場だからといって油断は禁物
売り手市場には学生にとって多くのメリットがありますし、「内定がもらいやすい」という環境はこれから就活を迎える23卒にとっては嬉しいことだと思います。
しかし、「売り手市場だから大丈夫」と油断するのは危ないです。ちょっとの油断が命取りとなります。そうならないためにも、なぜ売り手市場だからといって安心しきってはいけないのかを確認していきましょう。
「売り手市場だから内定がもらえる」は甘い考え
これまで、「売り手市場=内定が獲得しやすい」と述べてきましたが、だからといって「売り手市場だから内定が簡単に手に入る」というのは甘い考えです。
いくら採用難だからといって、企業側も採用活動には莫大のお金と時間をかけていますから、少なからず会社のために働いてくれる人が欲しいというのが本音です。つまり、“誰でもいいというわけではない”のです。
ただ就活生をしているからといって、勝手に内定が手元にくるわけではありません。内定を自分のものにするためには、売り手市場の仕組みを理解し、上手に付き合っていかなくてはならないのです。
すべての求人倍率が低いわけではない
もう一つ、売り手市場だからといって油断しないで欲しいことが、「求人倍率の差」です。残念ながら、いくら売り手市場だからといっても、日本にあるすべての企業の倍率が低いわけではありません。
大手企業や有名企業では毎年多くの応募者が集まるため買い手市場に当てはまりますし、人気の高い航空業界や広告業界なども買い手市場となります。
このように、企業規模や業界、業種によって倍率には大きな差が開くこととなりますので、「売り手市場だから内定が簡単にもらえる」という甘い考え方ではいけないのです。
大手企業や人気業界ばかりを受けていれば、その分内定は難しいものとなりますので、数値や「売り手市場」という肩書だけで油断しないよう、注意してください。
売り手市場でも内定がもらえない原因と対策
前項より、売り手市場は内定がもらいやすいにも関わらず、甘い考えから内定がもらえない人が多くいます。内定がもらえないのは、「売り手市場“なのに”内定がもらえない」のではなく、「売り手市場なのに“自分から内定のチャンスをつぶしている”」からです。
せっかくのチャンスを自分でしまわぬよう、なぜ売り手市場にも関わらず内定がもらえないのか、また内定を獲得するためにはどのような対策が必要なのか、しっかりと確認していきましょう。
求人倍率が高いところばかりを受けている
前項でも述べたように、内定がもらえない原因の1つとして、「求人倍率の高いところばかりを受けている」ことが挙げられます。
大手企業や有名企業、就活生から人気の高い業界などでは多くの応募者が集まるため、倍率は上がってしまいますし、そのような企業ばかりを受けていれば、当然内定を獲得するのは難しくなります。
このような企業は応募してくる学生のレベルも高いですので、十分に対策をしていたとしても、倍率や能力によって内定は難しくなるという仕組みです。
そのため、内定をもらうためには他の企業や業界に目を向ける必要があります。「昔からこの業界に進むと決めていた」という人もいますが、多くが視野の狭さが原因でこのような結果を招いていますので、まずはどのような企業・業界があるのかをチェックしていきましょう。
自分に合った業界を選べていない
自分が志望している企業・業界が自分に合っていないという理由から、売り手市場にも関わらず内定がもらえない場合があります。
これは、たとえ倍率が低かったとしても、自分に合っていなければ内定はもらえないということです。なぜなら、いくら売り手市場だとしても企業側は採用活動に莫大なお金と時間をかけている以上、少なからず会社のために働いてくれる人を求めているからです。
会社のために働けるかどうかは熱意だけでは推し量れません。その企業や業界が求めている人物像とマッチしているかどうかで、今後の成長や仕事への期待値などを判断することができるのです。
また、莫大なお金や時間をかけていますので、ミスマッチからの早期退職も避けたいというのが企業の本音です。
これらから、いくら売り手市場だからといっても企業側は適当に学生を採用するようなことはなく、吟味されたうえで判断されるということをしっかりと覚えておきましょう。
「早期から取り組むこと」と「正しい企業・業界選び」が重要
売り手市場でも内定がもらえないことも十分にありえます。しかし、内定がもらいやすいというのも事実ですので、この状況を上手に利用するためにも適切な対策をしましょう。
売り手市場の中で内定をもらうために意識すべきことは、「早期から就活に取り組むこと」と「正しい企業・業界を選ぶこと」です。
まず、売り手市場の傾向として就活の早期化が見込まれますので、学生自身も早くからの対策が必要となります。企業側は採用に必死ですので、優秀な学生に次々と内定を提示していきます。
内定提示予定数が達成してしまえば、企業は採用活動を終えていくととなりますので、この波に乗り遅れてしまわぬよう、常に情報をチェックし、早期から万全な状態でいれるように対策をする必要があります。
具体的には、大学3年生の夏インターンには自己分析を終え、ある程度目星となる業界や企業を決めておきます。そこからインターンや説明会を通して業界・企業研究を行っていきます。
このように、本格的な就活が始まる前にある程度の基盤を作っておければ、いざ就活が始まってもスムーズに活動していくことができるため、波に乗り遅れることなく、内定を狙うことが可能となります。
次に大切なのが「正しい企業・業界選び」です。先ほども述べたように、自分に合った企業や業界を選べていないと、内定がもらえないだけでなく、ミスマッチから早期退職も起こしかねません。
ですから、「自分がやりたいこと(行きたい企業・業界)」と限定するのではなく、「自分が活躍できる企業・業界はどこか」という視点から企業や業界を見てみましょう。
自分のやりたいことを仕事にしている人は少ないですし、そもそもその自分がやりたいことが自分に合っているとは限りません。それなら、「自分にできること」を仕事にしたほうが成長が見込めますし、少なからずミスマッチを防ぐことができます。
ですから、売り手市場の中で内定を狙うためにも、視野を広げましょう。早期から準備をしていれば、他の業界にも目を向けることができるはずですので、一石二鳥です。
おわりに
倍率の高い企業を受けていたり、自分に合った業界を選べていなかったり、「売り手市場だから大丈夫」と満足に準備をしていないと、いくら内定がもらいやすい売り手市場だとしても、内定はもらえません。
そうならないためにも、まずは売り手市場の仕組みについてしっかりと理解を深め、適切な対策と準備をしていきましょう。
もし、「どう対策をしていけばいいのかわからない」「対策をしても内定がもらえない」「自分に合った企業・業界がわからない」という人は、ぜひキャリチャンを頼ってください。
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この記事の監修者
平崎 泰典
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2016年に入社後、企業向けの採用コンサルティング業務を経て、就職・転職希望者に対する個別就職支援を担当。「キャリチャン」「合説どっとこむ」において年間100回以上の就職・転職セミナーの講師も務める。
主な担当講座に「営業職や種類が適性がよくわかる解説講座」「手に職をつけられる仕事解説講座」などがあり、これまで3,000名以上に対して講座を実施。
就職支援では「自己分析」と「業界研究」を得意として、就活初期の学生や求職者を相手に基礎からサポートを行う。年間1,000名以上の内定獲得を支援。