長所と自己PRの決定的な違いはコレ!それぞれの回答方法と合わせて解説
2024年8月16日
「面接で自分の長所と自己PRを聞かれ、同じ回答を繰り返してしまった」なんて経験はありませんか?
「長所」と「自己PR」は、どちらもESや面接の中でよく問われる質問です。
「あなたの長所は?」と聞かれると、就活生は「自分の良いところを分かってもらって、企業に自分を売り込みたい」と思いますよね。
そして「自己PR」は、そもそも自分の良さを企業に売り込むものです。
どちらの質問に対しても同じような気持ちが働くため、この2つの違いを区別できていない就活生が多いですが、厳密にいうと「長所」と「自己PR」は違います。
企業は別々のことを聞いているのに同じ回答を繰り返しているようでは、質問の意図を理解していないと思われ、面接は突破できません。
そこで今回は、混同してしまうことの多い「長所」と「自己PR」の違いと、それぞれの回答方法について解説します。「長所」と「自己PR」の例文もそれぞれ掲載しておきますので、参考にしてください。
「長所」と「自己PR」の違いとは?
「長所」と「自己PR」は、一見すると同じ質問のように捉えられがちです。しかし「長所」と「自己PR」はそもそも言葉の意味が違いますし、従って求められていることも違います。
それらの違いをきちんと理解していないと、見当違いな回答になってしまい、面接の場で上手に自分をアピールできません。「長所」と「自己PR」の回答を考える前に、まずは2つの質問の違いについて説明しますので、理解しておいてください。
「長所」「自己PR」それぞれの意味と違い
「長所」と「自己PR」は、自分と企業のどちらに視点を置くかという点が違います。「長所」という言葉の意味は知っての通り、自分の優れている点や強みのことであり、「自分の思う自分の良いところ」です。
それに対して、自己PRの”PR”はパブリック・リレーションズの略であり、「内容を多くの人々に知らせて理解や協力を求める活動」「広報」「宣伝」といった意味があります。
つまり就活における「自己PR」は、自分自身の内容(=自分の価値)を志望企業に知ってもらって、理解や協力(=採用)を求めるための宣伝活動ということになるでしょう。
ですから「自己PR」では、自分の長所が志望企業の利益につながることを示し、企業にとって採用する価値があると証明しなければなりません。
「長所」は単に自分の価値観で考える自分の優れたところを聞かれているだけですが、「自己PR」は自分の中の「企業にとって利益となるところ」をアピールするものです。
自分目線で見た価値なのか、企業目線で見た価値なのかという視点が、「長所」と「自己PR」の決定的な違いになります。
「長所」「自己PR」それぞれからアピールすべきこと
「長所」からアピールするのは自分の能力であり、「自己PR」からアピールすべきなのは自分の人柄です。「長所」では単純に、あなた自身の考える自分の強みや優れたところを聞かれています。
「あなたの長所は何ですか?」という質問は言い換えれば、「あなたの持っている優れた能力を教えてください」ということです。ですから「長所」の中では自分の強みについて語りながらも、徹底した自己分析を行って、強みも弱みも含めた自分自身の能力を把握できていることをアピールします。
一方「自己PR」は企業に対する自分の宣伝ですから、「自己PRをお願いします」という質問は、「あなた自身を弊社に売り込んでみてください」と言われているのと同じです。つまり「自己PR」では単なる個別の能力を聞かれているのではなく、あなたが採用に値する人間かどうかを問われています。
したがって「自己PR」の中では、「自分は企業にとって必要な強みを持っていて採用する価値のある人間だ」という風に、人柄全体をアピールしなければなりません。
「長所」を上手に答えるためのポイント
「長所」と「自己PR」の違いが理解できたら、次は実際にそれぞれの質問に対する回答を考えていきましょう。
まずは「長所」の方から、質問の意図と上手な答え方について解説します。最後に例文も記載しておきますので、参考にしてください。
長所を聞く面接官の意図
面接で「長所」を聞く企業の意図は、学生がしっかりと自己分析を行い、自分自身のことを把握できているか確認するためです。
自分自身を正確に把握できていない人は、必要な時に自分の持っている強みを十分活かせませんし、弱みから発生するリスクも回避できないでしょう。企業はきちんと己を理解し、働く上で適切に自分をマネジメントできる人を求めているのです。
また「長所」を聞く面接官は同時に、学生の語っている「強み」そのものについても評価の対象としています。どんな強みを持っていて、学生時代や私生活の中でどれだけ活躍していたとしても、それが自社の仕事の中で役立つ強みでなければ、企業にとっては魅力がありません。
学生の「長所」が自社で働く上でも再現性のある強みかどうか、その強みが企業の求める人物像とマッチしているかどうかで、自社との相性を見ています。
長所を上手に答えるポイント
面接で上手に長所を答えるためのポイントは、その長所が仕事においてどう活かせるのかを述べることです。自分の良いところはたくさんあると思いますが、いろいろ盛り込むと論点がぼやけてしまうので、1つの強みに絞って話をします。
「長所」は自分の思う自分の良いところですが、会社で役に立たない強みを語っても、面接官に魅力的な学生だと思ってもらえません。
ですから「長所」を答える際も、自分の能力の中からその企業で役立つ強みを答えるべきです。そのためには、しっかり企業研究を行い企業理解を深め、どのような能力が求められているのか把握する必要があります。
ただし、ただ求められている強みを持っているというだけで、仕事で活かせなければ意味がないので、その強みを仕事でどう活かしていくのかまで具体化させてください。また、長所を聞かれる際には、深堀質問として短所も聞かれることが多いので、そちらも合わせて対策しておきましょう。
【言い換え例あり】面接で「長所」を上手に答える方法を就活のプロが伝授
【例文あり】好印象を狙える!面接で「短所」を上手に答えるコツを紹介
例文
以下に「長所」を答える際の例文をご紹介しますので、面接官の意図と上手に答えるポイントを踏まえながら参照してください。
私の長所は、チャレンジ精神が旺盛なところです。
自分の限界はやってみなければ分かりません。私は毎年さまざまなことに挑戦して、自分の可能性を広げる努力をしています。
大学1年の時は自転車で日本縦断に挑戦して各地でたくさんの人と交流できましたし、2年の時は富士登山に挑戦して苦しくても諦めないことで得られる達成感を経験できました。昨年のスキューバダイビングでは水中で酔ってしまって大変でしたが、そんな失敗も挑戦したからこそ分かったことです。そうやって未知のことに挑戦することで新たな学びと成長があります。
仕事の上でもこのチャレンジ精神を活かし、自分の得意分野に囚われることなくどんな目標や役割にも挑戦していきたいです。
「長所」について答える際にはPREP法に則り、「長所は何か」→「長所だといえる理由」→「裏付けエピソード」→「仕事でどう活かせるか」の順で述べます。
上の例文では成長中のベンチャー企業を想定し、企業の方向性とマッチする「チャレンジ精神」を長所に選びました。
理由と具体的な事例を示すことで、自分が上げた長所を説明してください。回答の中では主に、自分の視点で長所がもたらすメリットを述べています。最後にそれが仕事でどう活かせるのか述べ、自分の長所が仕事の上でも再現できるとアピールすることが大切です。
「自己PR」を上手に答えるためのポイント
「長所」の次は、「自己PR」のやり方を考えていきましょう。「自己PR」は企業に対する自分の宣伝ですから、「長所」よりももっと踏み込んで、その企業にとって自分が有益な人間であることを示すものです。
そのためにどうすれば良いのか、ここからは「自己PR」を求める面接官の意図と、上手に答えるためのポイントを解説します。
自己PRを聞く面接官の意図
面接で「自己PR」を求める企業の意図は、学生の今までの経験や今後の可能性について知るためです。「自己PR」は企業に対する自分の宣伝なので、もし面接を受ける人が経験者ならそれまでの実務経験を語り、自分が入社すればどれほど企業にとって役立つかを示します。
面接官はそれと同様のことを、新卒の学生にも求めています。ただし新卒の場合は業務に関して未経験で当然ですから、面接官は学生がこれまでの人生経験の中で培ったスキルや人柄から、今後の可能性を判断するのです。
また「自己PR」では学生が、「私はこういう人間です」という自己認識を示します。どんなに仕事で役立つスキルを持った人間であっても、社内で受け入れてもらいにくい人柄の人物を採用するわけにはいきません。
面接官は学生が自分をどう見なしているのかを把握し、その人柄から学生が「一緒に働きたい」と思える人物かどうかも確認しています。
自己PRを上手に答えるポイント
「自己PR」を答える際は、その企業で自分の能力をどう活かせるかを述べることが絶対条件です。「自己PR」は自分を商品として企業に宣伝するのですから、自分がその企業にとって買う価値のあるもの、つまり採用する価値のある人間であることを証明しなければなりません。
分かりやすい表現にすると、「私はこういう商品です。こんなにお役に立ちますからお買い得ですよ!」とプレゼンするわけです。
そのためには、その企業にとって”お役に立つ”部分を知る必要があるので、まずは徹底した企業研究を行い、その企業が求めている人柄・スキル・能力などを把握してください。
ただし自分が「私はこういう商品です」と述べても、面接官にもそう思ってもらえなければダメですから、「自己PR」で述べる強みは”客観的”な視点で探すことがポイントです。そしてその強みを、その企業でどう活かして役に立つのかまで具体的に語りましょう。
自己PRで内定を狙え!好印象間違いなしのアピール方法をプロが伝授します
例文
以下に「自己PR」の例文をご紹介しますので、面接官の意図と上手に答えるポイントを振り返りながら参照してください。
私は苦しいときこそ諦めず、粘り強く頑張る人間です。
私は中学の時から陸上部で長距離を得意としていますが、折り返しを過ぎて苦しくなってからが本当の勝負だと思っています。
大学1年の時には練習中に靭帯を痛めてしまい、けがが治っても以前のようには走れなくなって、一時は陸上をやめることも考えました。しかし根気強くリハビリと練習を続けることによって、1年越しでどうにか元のタイムまで戻すことができ、大会にも出場できるようになったのです。
営業として働くうえでは思うように行かないことがたくさんあると思いますが、それでも私は簡単には諦めません。持ち前の粘り強さを活かして一件でも多くの契約を目指し、きっと御社の売り上げ向上に貢献できると考えています。
「自己PR」もPREP法に則り、「私は○○な人間です」→「○○な人間と言える理由」→「裏付けエピソード」→「企業でどう活かすのか」の順で述べていきます。上の例文では営業職を想定し、「粘り強さ」を強みとしてアピールしました。
「自己PR」で述べるのは自分の人柄なので、冒頭で自分の考え方を盛り込み、「自分という人」について集約して言い表しています。
ただしあまり長くなり過ぎると何が言いたいのか伝わりにくくなりますので、簡潔に述べてください。結びの結論では「長所」の回答より具体的で直接的に、自分がその企業に貢献できる人材であると述べます。
それぞれ共通して注意すべきこと
ここまでは「長所」と「自己PR」の違いと、それぞれを回答する際のポイントについて説明してきました。例文を見比べて、二つの違いが理解できたでしょうか。
しかし実際に面接で上手に回答するためには、それだけでは足りません。ここからは「長所」と「自己PR」の両方に共通して注意すべきことをお話ししておきます。
それぞれを区別して答えてること
「長所」と「自己PR」は、それぞれの意味、意図、答えるものをしっかり区別して答えてください。「長所」と「自己PR」の両方を聞かれることもありますから、二つの違いが曖昧なまま回答すると、理解力が足りないと思われ面接官の評価が下がってしまいます。
どちらも自分の強みについての話になるので、複数の強みやエピソードが思いつかない場合、どうしても内容が被るため回答が似てしまうのは仕方がありません。
しかし、それぞれの意味や意図、答えるべきポイントを区別できていない回答はNGです。くり返しになりますが、「長所は自分で思う良いところ」「自己PRは企業にとって利益となる強み」を答えます。視点を自分におくのか、企業に置くのか、ハッキリ意識して回答しましょう。
どちらもその企業に関連しないものはNG
「長所」と「自己PR」は、どちらもその企業に関連した強みを述べてください。「自己PR」は自分を企業に売り込むための宣伝なので、当然その企業で求められる人物像に沿った回答を考えると思います。
しかし何も自己PRでなくても、そもそも就活自体が企業に自分を売り込むための活動なのです。「長所」は自分で思う良いところを述べるものですが、単純に自分の強みを言うだけでは企業へのアピールになりません。
少しでも企業から興味を持ってもらうためには、「自己PR」だけでなく、「長所」でも志望企業を意識した回答をする必要があります。
面接で「長所」を回答する際には、自分の視点で語りながらも、その企業に関連する強みを選んで述べましょう。
普段の徹底した面接練習が重要
面接本番で「長所」と「自己PR」をきちんと区別して回答するためには、普段から徹底した面接練習を行うことが重要です。
頭では「長所」と「自己PR」の違いが分かっていても、面接の場では緊張しますから、きちんと区別できていることが伝わるように本番で回答するのは簡単ではありません。
本番で本領を発揮するためには、普段から本番に近い雰囲気で練習を重ね、緊張感に慣れておく必要があります。そこでオススメしたいのが、プロによる面接練習を受けることです。
プロの指導の下に面接練習を行えば緊張感に慣れておけるとともに、企業側の目線に則した的確なアドバイスを受けられ、より質の良い回答ができるようになります。
キャリチャンでも、「模擬面接イベント」を開催していますので、ぜひ活用してください。プロのキャリアプランナーが、マンツーマンで面接指導を行う無料の就活イベントです。
もちろん「長所」と「自己PR」の区別だけでなく、面接マナーや話し方といった基本的なことも含めて、あなたが面接を突破できるように就活のプロがアドバイスします。模擬面接の後はあなたに合った企業の紹介や就活のサポートを行いますので、一緒に内定獲得を目指しましょう!
おわりに
きちんと区別できていない就活生が多いですが、面接でよく聞かれる「長所」と「自己PR」は違います。「長所」は自分自身が考える自分の良いところを聞かれているのであり、自分視点です。
一方「自己PR」は企業に対する自分の売り込みを求められているですから、企業視点から見てあなたを採用するメリットを提示する必要があります。
「長所」と「自己PR」それぞれを明確に区別して回答しないと、質問が正しく理解できていないと判断され、企業の評価は得られません。
「長所」と「自己PR」の違いをしっかり理解しておくとともに、面接本番で緊張した中でもきちんと区別した回答ができるように、プロの指導の下で練習を積みましょう。
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この記事の監修者
平崎 泰典
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2016年に入社後、企業向けの採用コンサルティング業務を経て、就職・転職希望者に対する個別就職支援を担当。「キャリチャン」「合説どっとこむ」において年間100回以上の就職・転職セミナーの講師も務める。
主な担当講座に「営業職や種類が適性がよくわかる解説講座」「手に職をつけられる仕事解説講座」などがあり、これまで3,000名以上に対して講座を実施。
就職支援では「自己分析」と「業界研究」を得意として、就活初期の学生や求職者を相手に基礎からサポートを行う。年間1,000名以上の内定獲得を支援。