内定先の給料が低い…。新卒で選んだ企業の給料額に不満な際の対処法とは

 2025年6月27日

就活生 Aさん

内定先の給料が同業他社より低いみたいなんですけど、これってどうにもならないんでしょうか?せっかく内定をもらったけど、安月給でこき使われるなんて嫌だなぁ…。

残念ながら新卒の場合はポテンシャル採用なので、ほかの内定者との公平性から言っても、現時点で賃上げの交渉は難しいでしょうね。

キャリアアドバイザー 平崎

就活生 Aさん

初任給が明らかに同業他社より低いなんて、ブラック企業かもしれないし、辞退した方がいいですかね?

慌てて結論を出さない方がいいですよ。基本給以外の給料があるかもしれないし、昇給率が高いのかもしれない。総合的に判断しましょう。このコラムでも、新卒の平均年収や給与に対する考え方について解説します。給与が低い内定先を辞退するべきかも考察するので、参考にしてください。

キャリアアドバイザー 平崎

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内定先の給料が低いかは「新卒の平均年収」を参考に

「内定先の給料が低かった」「給料の低さから辞退を考えている」など、給料や年収を理由に入社を悩む人が多くいますが、そもそも低い給料ラインとはどのぐらいなのでしょうか。ここではそんな新卒の平均年収から見る“低い給料ライン”について、以下の3点から解説していきます。

低いと思っている給料は一般的に低いといえるのか、そもそも年収の仕組みとは何なのかなどを知ることで、どの選択が正しいのかを自分の中でしっかりと明確にしていきましょう。

「年収」の仕組み

まずは“年収”の仕組みから理解していきましょう。年収とは、月々に受け取る給料や各種手当に加えてボーナスを含めた総支給額のことを言います。具体的に年収に含まれるものは下記のとおりです。

  • 基本給
  • 賞与・ボーナス
  • 時間外労働手当(残業代)
  • 休日出勤手当
  • 住宅手当など

上記の金額の全てを含んだものが“年収”となりますが、この額が丸々手元に入るわけではありません。実際に受け取れる金額は税金などを差し引いたものとなり、それらを「手取り額」と言います。

具体的に差し引かれるものは「所得税」「健康保険料」「厚生年金料」「雇用保険料」「住民税」です。「所得税」「健康保険料」「厚生年金料」「雇用保険料」の4つは初任給から差し引かれますが、「住民税」は前年の所得に応じて課税されるため入社1年目に差し引かれることはありません。しかし2年目から差し引かれることとなりますので、月にもらえる給料額が低くなることを覚えておきましょう。

基本的にこれら税金は給料から天引きとなることがほとんどですので、実際に入社した後に振り込まれる給料は募集要項で見た年収よりも低くなることを理解しておいてください。

また通勤手当や結婚祝い金などといったものは年収に含まれないことがほとんどのため、実際の手取り額を調べる際にはこれらの手当てについてのチェックすることが大切でしょう。

新卒の平均年収

大卒の場合、新卒の平均年収はおよそ300~350万円です。

厚生労働省が発表した『令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況』によると、新規学卒者の初任給の平均は、以下の通りでした。

一番右の列は、初任給の平均値に0~2か月分の賞与が加算された場合の予想年収を記載してあります。

最終学歴 平均初任給(万円) 予想年収(万円)
大学院卒 28.7 344.9~402.4
大学卒 24.8 298.0~347.6
高専・短大卒 22.4 268.7~313.5
専門学校 22.3 267.6~312.2
高校卒 19.8 237.0~276.5
データ参照:厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況

ただし、これを見てただちに「大卒なのに初任給が25万円に満たないから給料が低い」「予想年収が300万円に満たないから給料が低い」と判断するのはまだ早いです。

初任給の額は、業界・地域・企業規模などで大きく異なります。業界・地域・企業規模別の初任給については、次の項を参照してください。

業界・地域・企業規模別の初任給と年収の関係

厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況』によると、同じ最終学歴でも業界・地域・企業規模によって初任給に大きな違いがあることが明らかになりました。

そのため、内定先の給料が高いか低いかは、同じ業種・同じ地域・同じ企業規模で比較しないと意味がないといえるでしょう。

ただし、以下に示す業界・地域・企業規模別の初任給と年収は、令和元年当時のものです。今年の傾向とは若干異なる場合があるので注意してください。

■ 業界による給料の違い

産業 大卒初任給(万円)
産 業 計 21.0
建 設 業 21.7
製 造 業 20.7
情 報 通 信 業 21.8
運 輸 業 , 郵 便 業 20.2
卸 売 業 , 小 売 業 21.1
金 融 業 , 保 険 業 20.7
学術研究,専門・技術サービス業 22.7
宿泊業,飲食サービス業 20.1
教 育 , 学 習 支 援 業 20.9
医 療 , 福 祉 20.7
サ ー ビ ス 業 (他に分類されないもの) 20.5
データ参照:厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況

これによれば、最も初任給が高い産業と、最も初任給が低い産業の間に、2.6万円の差があります。これを予想年収に換算すれば、2.6万円×12~14か月=31.2~36.4万円の開きが出るわけです。

■ 地域による給料の違い

都道府県 大卒初任給(万円)
北海道 19.9
青森 19.0
岩手 19.3
宮城 20.7
秋田 19.0
山形 19.3
福島 20.1
茨城 20.3
栃木 20.7
群馬 20.5
埼玉 21.0
千葉 21.2
東京 22.1
神奈川 21.1
新潟 20.0
富山 20.4
石川 20.1
福井 20.2
山梨 19.1
長野 20.0
岐阜 19.9
静岡 20.5
愛知 21.0
三重 20.6
滋賀 20.8
京都 20.7
大阪 21.0
兵庫 20.3
奈良 20.4
和歌山 19.4
鳥取 19.1
島根 19.1
岡山 20.6
広島 20.6
山口 19.8
徳島 19.4
香川 20.0
愛媛 19.3
高知 19.4
福岡 20.4
佐賀 19.2
長崎 19.5
熊本 19.7
大分 19.1
宮崎 18.8
鹿児島 19.2
沖縄 17.5
データ参照:厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況

最も初任給が高い東京と、最も初任給が低い沖縄では、4.6万円の差があります。予想年収に換算すると、55.2~64.4万円の開きです。

■ 企業規模による給料の違い

企業規模 大卒初任給(万円)
大企業 24.2
中企業 23.2
小企業 22.9
データ参照:厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況

最も初任給が高い大企業と、最も初任給が低い小企業の差は、1.3万円です。これを年収に換算すると、15.6~18.2万円の違いとなります。業界や地域による違いに比べると、企業規模による初年度の収入差は意外と小さいといえるでしょう。

「給料が低い」を理由に内定を辞退するのはあり?

「内定先の給料が低い」と理由で辞退するのはあり?

学歴・業界・地域・企業規模など、さまざまな要素を考慮しても内定先の給料が低い場合、「もっと他にいい企業があるのでは」と考えるのは当然のことですよね。

しかし、ほかの企業に行くということは、今ある内定を辞退するということです。給料の低さを理由に辞退することが、果たして正解なのか迷う就活生も多いでしょう。

その疑問に対する回答は、以下の通りです。

以下で詳しく解説するので、参考にしてください。

「給料」を理由に辞退するのは間違いじゃない

結論から言うと、給料が低いという理由から内定を辞退することは間違いではありません。

生活をする上でお金は必要なものなので、給料額も就職先選びの重要な指標となりえます。そしてそのことを企業側もよく理解しているので、給料を理由に辞退してもそれを拒否することは基本的にないでしょう。

学生には仕事や企業を選ぶ権利があり、選ぶ基準となるものは人それぞれです。それらに対して否定する権利は企業側にありませんから、どのような理由にしろ辞退をすること自体は問題ありません。

ただし、給料の低さを理由に辞退を申し入れた際、その学生がどうしても欲しいと考えている場合には給料増額を提示し、入社を交渉してくるケースもあります。そのような場合にどの条件なら応じられるのか事前に考えておいた方がよいでしょう。

理由をぼかした方が円満かつスムーズに辞退できる

給料を理由に辞退をすることは何も問題ありませんが、理由をぼかした方が円満かつスムーズに辞退の連絡を終えられる可能性が高いです。

企業を選ぶ際、給料に関する情報は募集要項に記載されて、学生側も承知しています。それでもその企業を志望していたはずなのに、内定後になって給料を重視する発言をすると、騙されたような気分になり、快く思わない人もいるかもしれません。

また、前述のように給料の低さを理由に辞退を申し出ると、企業側に交渉を始められてしまい、辞退するのかしないのかはっきりしないまま、話が長引いてしまう可能性があります。

もしも自分の気持ちがすっかり辞退に傾いているのであれば、給料という言葉を使わずに、ぼかして伝えた方が後腐れがありません。

その場合は、「自身の将来設計を熟考した結果、誠に勝手ながら、この度の内定を辞退させていただきたく存じます」などと伝えるのが無難です。直接的に給与の話に触れず、円満かつスムーズに辞退できるでしょう。

新卒入社で給料について考える際のポイント

新卒入社で給料について考える際のポイント

給料が低いことで内定を辞退することは可能ですが、辞退するには手間がかかりますし、辞退後に限られた時間の中で再就活を行うのは大変です。今の内定先を本当に辞退すべきかどうかは、以下のポイントを踏まえて慎重に判断してください。

それぞれのポイントを解説していきますので、しっかりとチェックしていきましょう。

賞与の有無や各種手当の確認をする

企業を選ぶうえで給料をチェックする際、賞与の有無や各種手当の確認をしっかりと行いましょう。

これまでの話からもわかるように、年収には含まれるもの、含まれないものとあります。また、総支給額から税金などが引かれることから、募集要項に書かれている金額が丸々手元に入るわけではないため、詳しい内訳を知ることが大切です。

賞与とは簡単にいうと「ボーナス」のことです。ボーナスすべての企業で支給されるわけではないため、ボーナスが支給されるのかどうかを確認する必要があります。

そもそも基本的にボーナスがない企業もあれば、業績によってボーナスを支給する年がある場合など、条件はさまざまです。ボーナス支給が必須でないからこそ、ボーナスの仕組みは企業ごとに異なりますので、しっかりとチェックしましょう。

さらに、ボーナスとはこれまでの実績や企業の業績などが反映されるものであることから、入社間もない夏にはボーナスが支給されない、もしくは少額の支給しかないことがほとんどです。それらの仕組みについてもチェックしておくと良いでしょう。

それに加えて、各種手当においても企業によってさまざまです。通勤手当や住宅手当、資格手当や結婚・出産手当などの各種手当は企業が「福利厚生」として設けており、これらも給料額を上げる要因となります。各種手当と金額を確認することで総支給額・手取り額はいくらになるかをチェックしてください。

基本給が低くても各種手当によって手取り額が上がることはよくあることです。同じ年収でもボーナスの有無で手取り額は異なってきますので、細かな内訳を確認することは企業を選ぶうえで重要になります。

給料の伸び率の確認をする

企業を選ぶうえで給料をチェックする際、給料の伸び率を確認することも大切です。1年でどれほど給料が上がるのか、給料が上がる仕組みはどのようなものなのかなど、企業によってそれぞれ異なるので、伸び率についてもしっかりと確認するようにしましょう。

多くの企業は継続年数を重ねる毎に少しずつ増額していきます。ただし、給料が上がる査定も年に1回の企業もあれば、年に数回行う企業もあります。そのパーセンテージも企業それぞれで異なりますので、それらを調べておくと良いでしょう。

1年を通してどれほど給料が増えるのかなどは実際に働く社員と接触することでわかりますので、OB訪問やインターンシップなどに参加してチェックしてみましょう。初任給が低くても伸び率が良ければすぐに給料で悩むこともなくなるはずですので、大切な問題です。

さらに今は従業員の年齢や継続年数を考慮し、基本給や手当を決めて支払う「月給制」のほかに、成果主義と結びつけて1年単位の給与を決定する「年俸制」を取り入れる企業も増えてきています。

年俸制は1年の給料が毎年決まっていく形となりますので、1年で何%上がるのかはもちろん、3年5年と年月を重ねることでパーセンテージが上がるのかどうかなどを確認することも大切でしょう。

高すぎる給料には要注意!

企業を選ぶうえで給料をチェックする際、“高すぎる給料”には注意してください。募集要項に書いてある高すぎる月給・年収は学生を引き付けるためのものである可能性が高く、本当にもらえる額とは限らないため、鵜呑みにしてはいけないのです。

人手不足の企業や毎年人集めに苦労する企業などでは学生を集めるために高い給料額から学生を引き付けようとする場合があります。

しかし後々天引きされるものが多かったりすることで、結局平均、もしくは平均以下の給料しかもらえないといったことはよくあることです。また、給料そのものは実際に高額でも、尋常でなく仕事がきついブラック企業もあるので、甘い言葉に騙されてはいけません。

もちろん業種によっては、募集要項に書かれている高額な給料を受け取れる場合もあります。詳しい内訳などをOB訪問やインターンシップなどを通して自分の目でしっかりとチェックするようにしましょう。

新卒学生に給料交渉は難しい

残念ながら、新卒学生における給料交渉は難しいと思った方がよいでしょう。

企業を選ぶ際はもちろん、すでにある内定先の給料に対して不満があり、「給料がもう少し高ければいいのにな」と思った際、給料額の増加を交渉したいと考えると思います。

しかし、新卒学生には社会人としての仕事経験がないため、交渉材料として示せる実績がありません。給料はその人の会社での働きや企業に対する貢献度などを評価することで決まりますので、そのベースとなる経験がない新卒学生には交渉することはできないのです。

稀に企業側の方から「給料額を上げるので辞退しないでほしい」と言われることもあり、そのような場合には交渉することが可能ですが、このようなケースはまれですので期待しない方はよいでしょう。

給料の交渉をするのではなく、はじめに給料の仕組みについてチェックすることで満足のいく選択ができるようにしましょう。またすでに内定がある場合にも、給料の低さがネックになる場合には辞退も視野に入れ、自分にとって正しい選択は何かをしっかりと考え、判断してください。

最適な内定先を選ぶには給料に関する情報も確認を

これから社会人として生きていき、生活をしていくためには給料額も重要なものとなることから、「給料が低い」という理由で辞退することは可能です。企業側も給料を理由に辞退する学生のことを理解していますので、辞退することを躊躇する必要はありません。

しかし、給料が高いのか低いのか比較するには、業界・地域・企業規模のほか、伸び率などさまざまな要因を考慮に入れる必要があります。同じ条件で再就活しても給料が変わらない場合があるので、本当に内定を辞退すべきかどうかは慎重に判断してください。

もし再就活を選んだ場合は、企業を選ぶ時点から給料額についてしっかりとチェックしていきましょう。直接的に聞きにくい内容ではあると思いますが、自分の生活に関わってくることですのでしっかりと聞き出すことが大切です。

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この記事の監修者

監修者:平崎泰典

平崎 泰典

株式会社ジールコミュニケーションズ 
HR事業部マネージャー

2016年に入社後、企業向けの採用コンサルティング業務を経て、就職・転職希望者に対する個別就職支援を担当。「キャリチャン」「合説どっとこむ」において年間100回以上の就職・転職セミナーの講師も務める。

主な担当講座に「営業職や種類が適性がよくわかる解説講座」「手に職をつけられる仕事解説講座」などがあり、これまで3,000名以上に対して講座を実施。

就職支援では「自己分析」と「業界研究」を得意として、就活初期の学生や求職者を相手に基礎からサポートを行う。年間1,000名以上の内定獲得を支援。

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