内定先の給料が低い…。新卒で選んだ企業の給料額に不満な際の対処法とは
2022年5月23日
希望企業に内定が出て入社承諾、と思ったら給料が想像よりも遥かに低い。。実際に入社を考えるタイミングで、「給料が低い」という懸念が多くあげられます。皆さんは内定をもらった企業の給料が低い場合にどうしますか?
キャリアプランナー 平崎
就活生 Aさん
初任給が明らかに同業他社より低いのは、ブラック企業と疑ってしまいます。給料以外にも悪いところが多くありそうなので、怖さがあります。どうして同じ業界でそこまで、給料にばらつきがでるのですか?
仕事に見合わないほど給料が低い場合、ブラック企業かと思いますよね。しかし、給料=初任給ではないのです。給料に関するそもそもの仕組みや、将来的な収入に関してまとめました。企業探し中の方も必見の内容です。
キャリアプランナー 平崎
新卒の平均年収はどれぐらい?
「内定先の給料が低かった」「給料の低さから辞退を考えている」など、給料や年収を理由に入社を悩む人が多くいますが、そもそも低い給料ラインとはどのぐらいなのでしょうか。ここではそんな新卒の平均年収から見る“低い給料ライン”について解説していきます。
低いと思っている給料は一般的に低いといえるのか、そもそも年収の仕組みとは何なのかなどを知ることで、どの選択が正しいのかを自分の中でしっかりと明確にしていきましょう。
そもそも「年収」の仕組みとは
まずは“年収”の仕組みから理解していきましょう。年収とは、月々に受け取る給料や各種手当に加えてボーナスを含めた総支給額のことを言います。具体的に年収に含まれるものは下記のとおりです。
- 基本給
- 賞与・ボーナス
- 時間外労働手当(残業代)
- 休日出勤手当
- 住宅手当など
上記の金額の全てを含んだものが“年収”となりますが、この額が丸々手元に入るわけではありません。実際に受け取れる金額は税金などを差し引いたものとなり、それらを「手取り額」と言います。
具体的に差し引かれるものは「所得税」「健康保険料」「厚生年金料」「雇用保険料」「住民税」です。「所得税」「健康保険料」「厚生年金料」「雇用保険料」の4つは初任給から差し引かれますが、「住民税」は前年の所得に応じて課税されるため入社1年目に差し引かれることはありません。しかし2年目から差し引かれることとなりますので、月にもらえる給料額が低くなることを覚えておきましょう。
基本的にこれら税金は給料から天引きとなることがほとんどですので、実際に入社した後に振り込まれる給料は募集要項で見た年収よりも低くなることを理解しておいてください。
また通勤手当や結婚祝い金などといったものは年収に含まれないことがほとんどのため、実際の手取り額を調べる際にはこれらの手当てについてのチェックすることが大切でしょう。
新卒の平均年収は200~250万円
年収の仕組みについて理解したら次は新卒の平均年収についてチェックしていきましょう。そんな新卒の平均年収ですが、200~250万円となります。業界や企業によって年収額が異なることから平均額にも差が開いていますが、だいたい200~250万円と認識しておくとよいでしょう。
ちなみに厚生労働省が発表した「令和2年賃金構造基本統計調査の概況(2021年3月31日公表)」によると、男女の平均月収は226,000円となり、単純に×12か月にすると2,712,000と高い数値となります。
ただこれらの数値は令和2年調査から内容が変更され、通勤手当を含む額で公表されるようになったこともあり、数値が高くなっています。そのため、具体的な目安としては200~250万円と覚えておくと良いでしょう。
低い年収のラインは“200万円”以内!
新卒の平均年収から見ると、低い年収のラインは“200万円”以内となります。200万円を切る場合には給料が低いと判断されますので、企業選びを考え直したり、内定を承諾するかを判断する際の基準にするとよいでしょう。
年収200万円以内ということは単純に割る12をすると月の給料額が約16万円ですが、年収は税金などの額が引かれる前の総支給額となりますので、実際の手取りはさらに低い額となります。具体的には約13,5万円ほどでしょう。
1人暮らしをする際、家賃は収入の1/3が良いとされているため、都内(千代田区)の1K平均賃料9.5万円、23区外(立川市)でも5.35万になることを考えると、都内での一人暮らしは厳しく、23区外でも場所を選ばないと条件に合う物件を見つけることはできないでしょう。
生活をする上では家賃以外にもいろいろお金はかかりますし、人付き合いにもお金がかかり、将来のために貯金も必要となりますので、手取り13万円以下では生活スタイルを考える必要があり、厳しい環境も覚悟しなくてはならないでしょう。実家から出社するなど、生活スタイルを考えれば生活することもできますが、一人暮らしを考えている場合には手取り額は重要になるでしょう。
「内定先の給料が低い」と理由で辞退するのはあり?
年収200万円を切る場合はもちろん、住む場所や理想とする生活スタイルを考えた時、「内定先の給料が低い」と判断されることがあります。そのような場合には給料の低さから辞退や就活のやり直しを考えることだと思いますが、給料の低さを理由に辞退などしていいものなのでしょうか。
ここではそんな「内定先の給料が低い」という理由から内定を辞退してもいいのか、その真相について解説していきます。給料の低さを理由に辞退を考えている人はしっかりとチェックしていきましょう。
「給料」を理由に辞退するのはOK
結論から申し上げますと、給料が低いという理由から内定を辞退することは基本的にOKです。「給料」を理由に内定を辞退しても企業側が辞退を拒否することはないので安心してください。
生活をする上でお金は必要なものとなりますし、給料額も重要なものとなります。そしてそのことを企業側もよく理解していますので、給料を理由に辞退してもそれを拒否することは基本的にありません。
学生には仕事や企業を選ぶ権利があり、選ぶ基準となるものは人それぞれですので、それらに対して否定する権利は企業側にありませんから、どのような理由にしろ辞退をすること自体は許されています。
企業側も学生を企業側の基準から選んでいますから、学生側も学生の基準から企業選びをして問題ありません。もし、給料の低さを理由に辞退を申し入れた際、その学生がどうしても欲しいと考えている場合には給料増額を提示し、入社を交渉してくるケースもありますが、そのような場合は学生が交渉に応じる形のスタンスでOKです。
ただし、直接的に理由を言うのはNG
給料を理由に辞退をすることは何も問題ありませんが、企業側に辞退を申し入れる際に直接的に給料が理由だと伝えるのはNGです。いくら給料が理由で辞退するのがOKだとしても、直接的に給料の話を出すと悪い印象を与えてしまうのでよくありません。
企業を選ぶ際、「給料の高さを基準に選んだ」「ボーナス額が高いから選んだ」といった理由から志望したとしてもそれらの理由を直接志望動機として答えなかったはずです。なぜなら給料という条件面を志望動機として伝えても印象が悪く、内定に近づけないからです。
しかしこの原理からいうと、辞退する場合には「辞退するならもうどう思われてもよくないか?」と思うかもしれません。でもダメなんです。なぜならたとえ入社しなくてもいつどこでその会社と関りを持つかわからないからです。
世間は狭いため、辞退する会社と取引をする可能性は十分にあるため、その際に就活時の悪い印象があると仕事に影響を及ぼす恐れがあります。そのため、今後の社会人生活に影響を及ぼしてしまわぬよう、辞退する際にも悪い印象を残さないようにすることが大切です。
それにもともとはあなたを認め、内定を出してくれた企業なわけですから敬意を払って辞退することが大人としてのマナーとなりますので、悪い印象を残さないためにも給料に不満があると直接的に伝えないようにしましょう。
新卒入社で給料について考える際のポイント
給料が低いことで内定を辞退することは可能ですが、辞退するには手間がかかりますし、辞退後に限られた時間の中で再就活を行うのは大変ですから、初めから辞退することのない企業選びができるようにしましょう。
ここではこんな新卒入社で給料について考える際のポイントについて解説していきます。企業選びをする際にチェックしたいこと、給料額から企業を選ぶうえでの注意点などを解説していきますので、しっかりとチェックしていきましょう。
賞与の有無や各種手当の確認をする
企業を選ぶうえで給料をチェックする際、賞与の有無や各種手当の確認をしっかりと行いましょう。これまでのお話しからもわかるように、年収には含まれるもの、含まれないものとありますし、総支給額から税金などが引かれることから、募集要項に書かれている金額が丸々手元に入るわけではないため、詳しい内訳を知ることが大切です。
まずは賞与です。賞与とは簡単にいうと「ボーナス」のことで、このボーナスすべての企業で支給されるわけではないため、ボーナスが支給されるのかどうかを確認する必要があります。ボーナスがない企業もあれば、業績によってボーナスを支給する年がある場合など、ボーナス支給が必須でないからこそ、ボーナスの仕組みは企業ごとに異なりますので、しっかりとチェックしましょう。
またボーナスとは、これまでの実績や企業の業績などが反映されるものであることから、入社間もない夏にはボーナスが支給されない、もしくは少額の支給しかないことがほとんどですので、それらの仕組みについてもチェックしておくと良いでしょう。
さらに各種手当においても企業によってさまざまです。通勤手当や住宅手当、資格手当や結婚・出産手当などの各種手当は企業が「福利厚生」として設けており、これらも給料額を上げる要因となりますので、各種手当と金額を確認することで総支給額・手取り額はいくらになるかをチェックしてください。
基本給が低くても各種手当によって手取り額が上がることはよくあることですし、同じ年収でもボーナスの有無で手取り額は異なってきますので、細かな内訳を確認することは企業を選ぶうえで重要になります。
給料の伸び率の確認をする
企業を選ぶうえで給料をチェックする際、給料の伸び率を確認することも大切です。1年でどれほど給料が上がるのか、給料が上がる仕組みはどのようなものなのかなど、企業によってそれぞれですので、伸び率についてもしっかりと確認するようにしましょう。
多くの企業は継続年数を重ねる毎に少しずつ増額していきます。またそんな給料が上がる査定も年に1回の企業もあれば、年に数回行う企業もありますし、そのパーセンテージも企業それぞれで異なりますので、それらを調べておくと良いでしょう。
1年を通してどれほど給料が増えるのかなどは実際に働く社員と接触することでわかりますので、OB訪問やインターンシップなどに参加してチェックしてみましょう。初任給が低くても伸び率が良ければすぐに給料で悩むこともなくなるはずですので、大切な問題です。
さらに今は従業員の年齢や継続年数を考慮し、基本給や手当を決めて支払う「月給制」のほかに、成果主義と結びつけて1年単位の給与を決定する「年俸制」を取り入れる企業も増えてきています。この年俸制は1年の給料が毎年決まっていく形となりますので、1年で何%上がるのかはもちろん、3年5年と年月を重ねることでパーセンテージが上がるのかどうかなどを確認することも大切でしょう。
高すぎる給料にはご注意!
企業を選ぶうえで給料をチェックする際、“高すぎる給料”には注意してください。募集要項に書いてある高すぎる月給・年収は学生を引き付けるためのものである可能性が高く、本当にもらえる額とは限らないため、鵜呑みにしてはいけないのです。
人手不足の企業や毎年人集めに苦労する企業などでは学生を集めるために高い給料額から学生を引き付けようとする場合があります。しかし後々天引きされるものが多かったりすることで、結局平均、もしくは平均以下の給料しかもらえないといったことはよくあることですので、甘い言葉に騙されてはいけません。
もちろん業種によっては募集要項に書かれている高額な給料を受け取れる場合もありますので、詳しい内訳などをOB訪問やインターンシップなどを通して自分の目でしっかりとチェックするようにしましょう。
新卒学生に給料交渉は難しい
企業を選ぶ際はもちろん、すでにある内定先の給料に対して不満があり、「給料がもう少し高ければいいのにな」と思った際、給料額の増加を交渉したいと考えると思います。しかし残念ながら新卒学生における給料交渉は難しいです。
なぜ新卒学生における給料交渉は難しいかというと、新卒学生には社会人としての仕事経験がないからです。給料はその人の会社での働きや企業に対する貢献度などを評価することで決まりますので、そのベースとなる経験がない新卒学生には交渉することはできないのです。
稀に企業側の方から「給料額を上げるので辞退しないでほしい」と言われることもあり、そのような場合には交渉することが可能ですが、このようなケースはまれですので期待しない方はよいでしょう。
給料の交渉をするのではなく、はじめに給料の仕組みについてチェックすることで満足のいく選択ができるようにしましょう。またすでに内定がある場合にも、給料の低さがネックになる場合には辞退も視野に入れ、自分にとって正しい選択は何かをしっかりと考え、判断してください。
おわりに
これから社会人として生きていき、生活をしていくためには給料額も重要なものとなることから、「給料が低い」という理由で辞退することは可能です。企業側も給料を理由に辞退する学生のことを理解していますので、辞退することを躊躇する必要はありません。しかし辞退をする際に直接的に理由を伝えるのは避けましょう。
また企業を選ぶ時点からも給料額についてはしっかりとチェックしていきましょう。直接的に聞きにくい内容ではあると思いますが、自分の生活に関わってくることですのでしっかりと聞き出してください。
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この記事の監修者
平崎 泰典
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2016年に入社後、企業向けの採用コンサルティング業務を経て、就職・転職希望者に対する個別就職支援を担当。「キャリチャン」「合説どっとこむ」において年間100回以上の就職・転職セミナーの講師も務める。
主な担当講座に「営業職や種類が適性がよくわかる解説講座」「手に職をつけられる仕事解説講座」などがあり、これまで3,000名以上に対して講座を実施。
就職支援では「自己分析」と「業界研究」を得意として、就活初期の学生や求職者を相手に基礎からサポートを行う。年間1,000名以上の内定獲得を支援。