大手企業とベンチャー企業どっちがいい?双方の入社メリットを解説します
2024年3月27日
就活はどんな軸で行っていますか?
キャリアアドバイザー 岡田
就活生 Aさん
あまりないかもしれません。強いていえば、有名な企業に就職して、安定していたいです。
そうですか。有名企業といっても、大手企業かベンチャー企業かで実は働き方など全く違うんですよ。
キャリアアドバイザー 岡田
就活生 Aさん
違いがよくわからないです。なんとなく有名ならいいなぁぐらいにしか思ってなかったですね。
それでは今回は大手企業とベンチャー企業のそれぞれのメリットを紹介していきます。働き方が全く違うので要チェックですよ!
キャリアアドバイザー 岡田
目次
大手企業の基本情報と入社メリット
就活生の中には、大手企業で働くことに憧れている人も多いと思います。大手企業に入れれば何となく格好いい気がするし、親も喜ぶだろうと考えるわけです。しかし大手企業とはいったいどのような企業のことなのか、その他の企業と何が違うのか、ハッキリ区別できているでしょうか。
大手企業を目指そうにも、それがいったい何なのか根本的に理解できていないようでは、志望の動機が曖昧になってしまいます。親や周りから大手企業を勧められている人も、なぜオススメなのか分からないと検討しようがないですよね。
そこでコラムの初めにまずは、大手企業の定義や特徴、入社するメリットについて解説します。
大手企業の定義と特徴
実を言うと、「大手企業」という言葉に明確な定義はありません。一般的には、業界での知名度やシェア率が高い企業が「大手企業」と呼ばれています。
「大手企業」と混同されやすい言葉に「大企業」という言い回しがありますが、厳密に言うとこの二つは似ているようで、全く違う意味です。「大企業」とは、中小企業基本法で定義される「中小企業」の反対をなす言葉で、資本金や従業員数などの面において中小企業の基準を超えている企業を指します。
【中小企業基本法で定義される「中小企業」の基準】
業種 | 資本金または出資金の総額 | 常時使用する従業員数 |
---|---|---|
製造業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人 |
サービス業 | 5千万円以下 | 100人 |
しかし「大手企業」という言葉にはそれほど明確な定義はなく、”誰もが知っている大きな会社”というような、もっと曖昧で漠然としたイメージとして使われている言葉なのです。「大手企業」と呼ばれる企業には、「大企業」の定義に当てはまるところも多いですが、必ずしもイコールではないということは覚えておいてください。
そして”誰もが知っている大きな会社”には、一定の特徴があります。その社名が、世間に知れ渡ることになる理由です。たとえば明治・大正・昭和初期などから続いている歴史ある企業、あるいは日本に欠かせない大きな事業を手がけている、世界にも通用する事業を行っているといった企業は、必然的に広く社名を知られることとなります。
そうした企業が世間一般に”大きな会社”だと認知され、「大手企業」と呼ばれることになるわけです。それにあえて定義づけをするならば、「中小企業基本法に関係なく一般的に広い知名度を誇り、なおかつ業界での高いシェア率を持っている企業」が大手企業だと言えます。
それだけ聞くと「ベンチャー企業より大手企業の方が断然よさそう」と思うかもしれませんが、残念ながらよいところもあれば、悪いところもあるものです。しかし長い歴史があるがゆえに年功序列ような古いしきたりが残っていることが多く、規模が大きい分上にいる人数も多くなります。
そのため、なかなか重要な仕事やポジションを任せてはもらえず、いわゆる”下積み”の期間が長くなってしまうのも大手企業の特徴の1つと言えるでしょう。
大手企業とベンチャー企業具体的な違いはわかりますか?大手企業とベンチャー企業では、仕事内容が大きく異なり人間関係も影響してきます。自分がどこを目指しているのか目標を立てると企業が選びやすいですよ。
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大手企業に入社するメリット
大手企業に入社すると、以下のようなメリットがあります。
- 安定している(経営基盤・給与など含め)
- 福利厚生が整っている
- 社会的信用がある
- 研修や働き方、休暇体制などが整っている
- 責任ある重大な仕事に関わることができる
- 転職で有利になる
大手企業に入社するメリットは、何と言っても会社自体が安定しているということです。それでなくても大手企業は、長い歴史の中で資本増強を行ってきているので経営基盤が安定しているとともに、長年の実績によって事業も安定しています。
それに加えて従業員数の多さや事業の公共性から万一倒産した場合の社会的ダメージが大きいため、危なくなると政府が介入してくるなど、倒産しにくくなっているのです。仮に業績不振となっても経営体力があるため、いきなり給与や賞与を大幅に削減したり解雇したりはしません。
そのため大手企業に入社すると、安定した雇用と収入が見込めることから先々の見通しが立ち、人生設計を立てやすくなります。
大手企業では、中小企業などに比べて福利厚生が充実しているのも大きなメリットです。大手企業では大規模な労働組合があることから、社員の人権を守り、働きやすくするための手厚い制度が整えられています。
各種社会保険や通勤手当はもちろん、社宅の整備や家賃補助、家族手当などの子育て支援、資格取得支援、保養所や社員食堂といった福利厚生施設がある企業も多いです。企業によっては、冠婚葬祭や出産の際に祝い金・見舞金が支給されるところもあります。
大手企業に入社すると、社会的信用を得やすいというのもメリットの1つです。大手企業は世間に広く社名が知れ渡っているので、仕事の上でもプライベートでも、行く先々で信用を得やすくなります。
社名を出すだけで相手に、自分の勤める会社の規模が大きいことや、自分の雇用と収入が安定していることなどが伝わるわけです。そのため仕事の上では相手に話を聞いてもらいやすくなりますし、プライベートでは賃貸借に伴う審査などに通りやすくなるでしょう。
大手企業では教育制度や休暇制度など、ライフワークバランスを保つ体制も整っています。大手企業では社会人マナーなどの新人教育が徹底されていますし、その後もスキルアップするための研修を、給与を得ながら業務の一環として受けられることが多いです。
また大手企業の場合、ブラック企業などと言われて会社の評判が下がらないよう、適切な労働時間と休暇を取得する権利が守られています。有給休暇が取得しやすいのはもちろん、産休や育児休暇、その他の特別休暇制度があるなど、中小企業に比べて休日日数が多いのも特徴です。
大手企業に入社することで、責任ある重大な仕事に関われるのもメリットだと言えます。大手企業の中には、日本の基盤を築く公共性の高い事業や日本経済を動かすような大きな事業を行っていたり、世界を相手に事業展開したりしている企業も多いです。
そのため大手企業に入社すると、必然的に自分もそのような責任の重い仕事の一端を担うことになり、社会人としての大きな経験値を積むことができます。
大手企業に入社すると、そのことが転職に際して有利に働くのもメリットです。大手企業は採用選考も難関ですし、入社後も大きな仕事に携わることになるため、大手企業に勤めていたというだけで転職活動の際「即戦力となる優秀な人材に違いない」というイメージを持たれます。
それに大手企業にいると、仕事上さまざまな人と接触し広範囲に人脈を広げることができるので、転職先を探すのにも役立つのです。
このように大手企業に入社することには、たくさんのメリットがあります。ただしその分人気も高く、採用選考は難関だということは覚えておいてください。
ベンチャー企業の基本情報と入社メリット
大手企業のことをだいたい把握できたところで、次はベンチャー企業についてお話ししていきましょう。前述のようなメリットの多さから大手企業は人気が高いものの、最近ではベンチャー企業のメリットもだんだん知られてきて、あえて大手よりもベンチャー企業を志望する就活生も増えてきています。
しかしベンチャー企業というのは比較的新しい言葉ですので、何となく「小さい会社?」「新しい会社?」といった漠然としたイメージしか湧かない就活生もいるかもしれません。そもそもベンチャー企業というのがどういう企業を指すのか理解できていないと、比較検討しようもないですよね。
ここからは「ベンチャー企業」の定義や基本情報と、入社するメリットについて解説しますので、しっかり把握しておいてください。
ベンチャー企業の定義と特徴
ベンチャー企業にも明確な定義はないものの、一般的には設立5年以内で、既存のビジネスを参考にした新ビジネスに挑戦している中小企業が「ベンチャー企業」と呼ばれる企業です。ベンチャーキャピタルなどの投資機関から資金援助を受けている会社や、単に”新興企業”というような広い意味合いで、成長途中の企業全般を指して「ベンチャー企業」と呼ぶこともあります。
「ベンチャー企業」と混同されやすい言葉として「スタートアップ企業」と呼ばれるものもありますが、この二つはイコールではありません。「スタートアップ企業」は同じ新興企業の中でも、特に設立から2~3年程度の若い会社で、既存のビジネスにはない全く新しいビジネスを展開している会社を指します。
広い意味ではスタートアップ企業もベンチャー企業の中に含まれる場合がありますが、完全に同じ意味合いではありませんので覚えておいてください。いずれにしても広義・狭義に関わらず「ベンチャー企業」は、設立からの年数が若くて、最新の事業を展開していることが特徴です。
そのため「ベンチャー企業」と聞くと、会社の経営基盤や事業そのものがまだ確立されておらず、不安定なのではないかと心配する就活生もいると思います。確かに、大手企業に比べればベンチャー企業の資本は小さいですし、特にスタートアップ企業の中にはそういう企業があるのも事実です。
しかしベンチャー企業の中にも、安定した成長を続けている優良企業はたくさんありますので、どの程度安定しているかはその会社ごとに異なると言えるでしょう。逆を言えば、ベンチャー企業には既存の枠組みを超えようとする新しい考え方を持った経営陣が多く、また組織が小さいがゆえに年齢や性別、学歴、経験などを問わず社員全員の力が必要になります。
そのため、実力さえあれば誰もがのし上がるチャンスのある実力成果主義であることも、ベンチャー企業の大きな特徴なのです。
ベンチャー企業に入社するメリット
ベンチャー企業に入社すると、以下のようなメリットがあります。
- 様々な経験ができる
- 個人スキルを磨ける
- 社会人経験が豊富な人の考え方を身近で学べる
- 年齢や経験に関係なく上に上がることができる
- 若いうちから高給与を期待できる
ベンチャー企業に入社するメリットは何と言っても、入社直後から様々な経験ができることです。ベンチャー企業は基本的に会社組織が小さいですから、その分社員一人当たりの果たす役割が広くなりますし、担当者の手が回らなければ他の社員が手助けすることにもなります。
ですからベンチャー企業では、自分の受け持つ狭い範囲の担当分野に縛られることなく、幅広い仕事を経験できるわけです。実際に経験するまではいかなくても、規模の小さなベンチャー企業では他部署が行う仕事が日常的に目に入ります。そのことで様々な仕事への興味が養われ、自分の可能性が広がっていくのです。
ベンチャー企業に入社すると、大手企業などよりずっと早く個人スキルを磨けるのも大きなメリットだと言えます。社員全員の力を必要としているベンチャー企業では、大手企業のような下積み期間はほとんどありません。
入社直後からいきなり重要な仕事を任せてもらえて、個人の裁量で手がけられる範囲が広いため、やる気さえあれば社会人としてのスキルをぐんぐん伸ばしていけます。
またベンチャー企業では、組織が小さいがゆえに、社会人経験が豊富な人の考え方を身近で学べるのもメリットの1つと言えるでしょう。大手企業ではあり得ませんが、ベンチャー企業では社長を初めとする幹部社員とも毎日のように顔を合わせますし、上司や第一線で活躍する社員との距離感も非常に近いです。
若い会社だからこそ上下の垣根が低く社内の風通しがよいため、そうした学ぶべき先輩方と気軽に交流を持つことができ、優れた知識や考え方を吸収しやすい環境にもなっています。
そしてベンチャー企業では、年齢も性別も学歴も経験も関係なく、誰もがのし上がっていける可能性があるというのも大きなメリットです。そもそも企業自体が若いベンチャー企業には、老舗の大手企業のような年功序列や学閥といった古い考えはありません。
ベンチャー企業の多くは、仕事で上げた成果のみで評価する「成果主義」です。ですから年齢も性別も学歴も経験も関係なく、実力による正当な評価を得られますし、高い成果さえ上げられれば誰もが上を狙えます。
その結果として、ベンチャー企業に入社すれば、若いうちから出世して高い給与を得ることも可能です。ベンチャー企業は新しいビジネスに挑戦しているため専門家がいない場合もありますし、担当者間の垣根も低いため、自分が望めばどんどん活躍の場を広げていくことができます。
ベンチャー企業は社内の風通しもよいですから、自分のポジションに関係なく自由に発言し、大きな仕事も動かすことができるでしょう。ですから自らチャンスをつかみ、そこで成果を上げればスピード出世も可能なのです。将来的には単なる出世だけに留まらず、社長や幹部役員といった会社のトップに立つことも決して夢ではありません。
大手企業とベンチャー企業どっちがいいのか?
ここまで説明してきたように、大手企業には大手企業の、ベンチャー企業にはベンチャー企業のメリットがあります。どちらもメリットが多いため、「結局どっちを選べばいいの?」と迷ってしまう就活生もいるでしょう。
そこでここからは、大手企業とベンチャー企業、どちらを選べばいいのかについてお話ししていきます。
何を求めるかによってオススメ企業が変わる
結論から言うと、大手企業とベンチャー企業のどちらを選ぶべきかは人それぞれです。大手企業の方が合う人もいれば、ベンチャー企業の方が合う人もいます。あなたがどんな人物で何を望んでいるかも知らない段階で、一概に大手企業とベンチャー企業のどちらがよいとも言い切れません。
なぜなら、働き方や企業に対して何を求めるのか、将来的にどのような状況になれば満足するのかは人によって異なるからです。そのため、その人自身の望む将来像や個性、価値観によって、オススメされる企業は違ってきます。
残念ながら、大手企業とベンチャー企業のどちらを選ぶべきかは、自分自身に照らし合わせて判断するしかないのです。具体的には、仕事の規模とやりがい、ライバルの数と評価システム、福利厚生、社風の違いといったものが判断基準となります。
それらを自分自身の描く将来像や個性、価値観などに照らし合わせ、大手企業とベンチャー企業のどちらがの方が、自分に合うのかを判断してください。
大手企業とベンチャー企業のどっちが自分に合っているのかについて、客観的な意見が欲しい人には、キャリチャンの就活支援サービス「就活相談サポート」がオススメです。キャリアアドバイザーがカウンセリングを通して、あなたにピッタリな企業がどっちなのかアドバイスしてくれます。
大手企業に合っている人の特徴
大手企業に合うのは、以下のような人です。
- 日本経済に関わる大きな仕事をしたいと思っている人
- 確実に給料や地位を上げていきたいと思っている人
- 協調性があり、団体行動ができる人
- 生涯同じ会社に勤めたいと思っている人
事業規模から考えると、日本の基盤を築くような公共性の高い仕事や経済を動かすような大きな仕事に携わりたいと考える人は、ベンチャー企業より大手企業の方が合っていると言えます。ベンチャー企業も含めて中小企業に勤めていたのでは、そのような大きな仕事に携わる機会はほとんど巡ってきません。
大規模な仕事に携わることができるのが大手企業の醍醐味でもありますので、そうした仕事をやってみたいと思うなら、ベンチャー企業より大手企業を選んだ方がいいです。
また給料や地位を、緩やかでいいから確実に上げていきたいと考える人も、大手企業に合っています。大手企業は基本的に年功序列なので、どんなに仕事で大きな功績を上げても、成果主義のベンチャー企業のようにスピード出世したり莫大な賞与が発生したりすることはまずないです。
成果に見合った報酬を期待し、実力でのし上がりたいと考える人には不向きと言えます。しかしその分、成果が上がらなくても勤続年数を重ねればじわじわ確実に上がっていきますので、ハイリスクハイリターンを避けたい人にはベンチャー企業より大手企業の方がいいでしょう。
性格的に協調性が高く、団体行動が得意な人も、ベンチャー企業より大手企業が合っています。大手企業は会社組織自体が大きいため、全体をつつがなく動かすには流れに沿った団体行動が必要であり、たとえ個人スキルが高くても自己主張で輪を乱す人は歓迎されないです。
大手企業の場合は部署や勤務地がたくさんあって異動・転勤が避けられませんから、人員配置が換わることで仕事を停滞させないためにも、スムーズに職場へ溶け込める協調性が必要となります。逆にベンチャー企業では個々人のスキルを最大限に活用する必要があるため、個性を活かした働き方が求めれ、自分の意見を持たない人はあまり向いないです。自己主張するより周りと協調して働きたい人、周りを気遣い雰囲気を察して動ける人は、ベンチャー企業より大手企業の方が向いていると言えます。
生涯同じ会社に勤めて、先行きの見通せる安定した暮らしを求めている人も、ベンチャー企業より大手企業の方がいいでしょう。大手企業に勤める最大のメリットは、何と言っても会社の基盤が安定していて、雇用と収入が安定していることです。
その分、出世の上でも収入面でもベンチャー企業に比べて成果の見返りは小さいですが、代わりに定年を迎える40年くらい先まで安定した収入が見込めます。
また福利厚生や休暇制度が充実していることなどからも、出産や子育て、家のローンを組むといったプライベートでの生涯計画が立てやすく、長く勤めやすい環境です。そうした堅実で安定した暮らしを望む人には、ベンチャー企業より大手企業の方が合っていると言えます。
ベンチャー企業に合っている人の特徴
ベンチャー企業に合っているのは、以下のような人です。
- 新しいビジネスを展開したい・携わりたい人
- 若いうちから稼ぎたい人
- スキルを身に付け、個人スキルを上げたい人
- 将来独立したい人
新しいビジネスを展開したい人、新しいビジネスに携わりたい人は、ベンチャー企業に向いています。ベンチャー企業はもともと会社自体が新しいビジネスを展開していますし、新しいビジネスチャンスを求めているためです。
そのため個々人のポジションに関わらず発言しやすく、新しい提案が受け入れられやすい土俵があります。それに対して大手企業ではそもそも個人が会社に対して発案する場がないので、開発職やかなり上のポジションに就かない限り、自分から新しい動きを起こすことは難しいです。
自分の発想で新しいビジネスを起こす、自分の力で新しいビジネスを発展させていくといった自発的行動にやりがいを感じる人は、大手企業よりベンチャー企業の方が合っています。
若いうちから大きな収入を得たいと考える人も、大手企業よりベンチャー企業向きです。大手企業は将来的には大きく安定した収入が見込めるものの、年功序列であるためそこに至るまでには長い時間がかかります。
どんなに仕事で成果を上げようと、昇進も昇給も賞与もベンチャー企業のように飛躍的に上がりはしないので、自分の努力で収入を改善することも難しいです。しかし成果主義のベンチャー企業なら、年齢や勤続年数に関係なく、成果に応じた昇進・昇給・賞与などが期待できます。
逆を言えば成果が上がらないと収入も上がらないわけですが、その分仕事への適性と努力次第で、若くても大きな収入を得ることが可能です。10年先、20年先ではなくて今稼ぎたい人、自分の実力や努力に見合う報酬を得たい人は、大手企業よりベンチャー企業の方が合っていると言えます。
多様なスキルを身に付けたい人、早く個人スキルを上げたい人も、大手企業よりベンチャー企業に合っている人です。社員数の多い大手企業の場合は、ハッキリと部署が分かれているため自分の担当以外の仕事には関われないですし、下積み期間が長く自分の裁量で仕事を行えるのはずっと先の話になります。
それに対してベンチャー企業では、もともと一人当たりの受け持つ範囲が広い上、部署間の垣根も低いので担当以外の仕事も経験でき、様々なスキルを伸ばすことが可能です。また大手企業と違って入社直後から責任ある仕事を任せてもらえますし、その成果が報酬と直結しているため自然とモチベーションも上がり、成長が促されます。働くことによって自分のスキルアップを図りたい人には、大手企業よりベンチャー企業の方が向いていると言えるでしょう。
今すぐではないけれど、将来的に独立して起業したいと考えている人も、大手企業よりベンチャー企業の方がいいです。先程も述べたように、大手企業にいるよりもベンチャー企業の方が多様なスキルが身につくとともに、早く成長が促されます。
それにベンチャー企業の場合は、その企業の経営者自身もどこかの会社から独立・起業した人なので、社員が独立することに対して理解のある経営者が多いです。組織が小さいベンチャー企業では社員同士の距離感が近いですから、そうした独立・企業を経験した経営者とも直接話ができ、その考え方やノウハウを身近で学ぶことができます。将来的に独立を考えているのであれば、大手企業より断然ベンチャー企業の方が役立つはずです。
双方のデメリットも把握しておこう
ここまでは、大手企業とベンチャー企業双方の特徴やメリット、どちらを選ぶべきかということについてお話ししてきました。しかし企業選びをする上ではメリットばかりでなく、デメリットもきちんと把握しておく必要があります。
ここからは大手企業とベンチャー企業それぞれのデメリットについて説明しますので、企業選びの参考にしてください。
大手企業に入社するデメリット
大手企業に入社するデメリットとしては、以下のようなものが考えられます。
- 個人の意見が反映されにくい
- 社内競争が激しい
- 出世が遅い
- 異動や転勤が多い
大手企業のデメリットの1つは、大きな組織の中で、個人の意見が反映されにくいことです。基本的に大手企業では、事業や会社組織の運営について意見があっても、それを上層部へ伝える場は与えられていません。
大手企業は数百人、数千人といった単位の社員数を抱えているので、その全員の意見に耳を傾けることなど不可能です。万一そんなことをしたら、「船頭多くして船山に上る」という状況になり、会社が良くなるどころか組織としての機能がマヒしてしまいます。部署単位の仕事についても同様に、会社の方針に沿ったやり方・行動が求められ、個人の意見は反映されにくいのです。
大手企業においては、社内競争が激しいというデメリットもあります。大手企業はもともと社員の人数が多いうえに、人気が高いため自然と高学歴・高スキルの人たちが集まっており、ライバルとなる社員のレベルも高いです。長い歴史を持つ大手企業には、同じ大学の出身者同士が結託し、優遇し合う「学閥」と呼ばれる古い考え方が残っている企業もまだまだあります。
大手企業の上層部にいる人たちは上位大学の出身者が多いですから、同じ学閥に属さない人は評価が得にくく、そもそも実力を発揮するチャンスも回ってこないわけです。その中で少ないチャンスをつかみ、競争を勝ち抜いていくのは、並大抵の苦労ではありません。
ベンチャー企業に比べると、出世のスピードが遅いというのも大手企業のデメリットです。ここまでにも述べてきたように、大部分の大手企業には年功序列の考え方が残っています。定年退職によって空いたポストにその下の役職の人が上がり、それに伴って空いていくポストへさらに下の人たちが順次スライドしていくような仕組みになっているわけです。
そのため大手企業では、勤続年数によってゆっくりゆっくりと役職が上がっていきます。出世するためには大手企業でももちろん成果は必要ですが、たとえどんなに大きな成果を上げたとしても、飛び級のように飛躍的に出世することはないのです。
大手企業のデメリットとしては、異動や転勤が多いことも挙げられます。会社の規模が大きい大手企業には数え切れないほど多くの部署があり、日本全国に広がっているばかりか、世界各地に勤務地がある企業も少なくないです。
誰がどの部署や勤務地を担当するかは、会社の運営上の都合によってその時々で変更されますので、必然的に異動や転勤が頻繁に発生します。そのため自分が特定の部署や勤務地を望んでも、1つの場所に留まり続けることはできません。職種や勤務地にこだわる人にとっては、致命的なデメリットになり得ます。
ベンチャー企業に入社するデメリット
ベンチャー企業に入社するデメリットは、以下のようなものです。
- ハードワークの場合がある
- 教育体制が充実していない場合がある
- 大手よりは安定さが劣る
- 場合によっては失業(会社倒産)の可能性もある
ベンチャー企業では大手企業に比べて、ハードワークを課せられる企業が多いというデメリットがあります。もちろん全てのベンチャー企業がハードワークというわけではないですが、大手企業に比べると、ライフワークバランスへの配慮が薄い傾向があるのは事実です。
ベンチャー企業は会社の成長途中なので、どうしても仕事量に対する社員数が足りていないことが多く、一人当たりの負担が大きくなります。加えてベンチャー企業では、仕事を獲得するため取引先の都合に合わせて納期を急ぐことがあり、時間外労働や休日出勤が増えてしまいがちなのです。また夏季休暇や育児休暇といった、通常の有給休暇以外の休暇制度が十分に整えられておらず、年間の勤務日数が多い傾向があります。
大手企業に比べると、入社後の教育体制や福利厚生が充実していない企業が多いというのも、ベンチャー企業のデメリットです。ベンチャー企業は創立からの年数が若いですから、全てにおいて、その体制を構築している途中の段階にあります。
そして設立当初は少数の経験者によってスタートしたため必要なかった「新人教育」や「厚生」という部分が、どうしても後回しになるのでしょう。ベンチャー企業の場合は大手企業と違って、研修所や保養所、社員食堂といった厚生施設は持っていないのが一般的です。大規模な研修などはほとんど行われず、実際の仕事を通し、実地で学んでいくことになります。
ベンチャー企業のデメリットとしては、大手企業に比べると安定性に劣るという部分も否定できません。前述のようにベンチャー企業は、大手企業に比べると資本が小さく経営基盤が弱いですし、新しいビジネスであるため事業の先行きが不透明であることも事実です。
そして成果主義であるため、成果を上げている間は高い報酬が期待できるものの、成果を上げられなければ報酬が低くなり、収入が不安定であるとも言えます。そのためベンチャー企業の場合は、大手企業に比べればハイリスクハイリターンであり、先々の見通しが立ちにくいのです。
その結果としてベンチャー企業の場合、最悪は会社が倒産し、失業するというリスクもあります。ベンチャー企業の場合は大手企業と違って規模が小さいですから、経営状態が傾いても政府の介入などは見込めず、自力で立て直せなければ倒産することもある得るわけです。
ただし狭義のベンチャー企業の場合はスタートアップ企業と異なり、既存のビジネスを参考に事業を展開していますので、そのリスクは比較的小さいと言えます。しかしいずれにしても最悪の事態は頭に入れたうえで、仕事の自由度の高さや高収入への期待など大きなメリットと引き換えに、リスクを取る覚悟はしておくべきです。
大手企業・ベンチャー企業に受かるための基本対策
ここまで読んで、自分が大手企業を選ぶのかベンチャー企業を選ぶのか、だいたい考えがまとまったでしょうか。もしかしたらその結果次第で、これまでの就活方針を大きく変更する人もいるかもしれませんね。
たとえそうだとしても、就職先は今後の人生に関わる重大な決断ですから、ぜひ妥協せずにチャレンジするべきです。ここからは大手企業とベンチャー企業、それぞれに受かるための対策について解説しますので、今後の就活の参考にしてください。
大手企業に受かるための基本対策
大手企業に受かるための基本対策は、以下の4つがポイントとなります。
- 企業や業界についての理解を深めていく
- OB訪問やインターンシップに積極的に参加する
- ESや面接などの基本対策を徹底して行う
- 筆記試験の対策も徹底して行う
大手企業に受かるためにはまず、企業や業界についての情報を徹底して研究し、しっかりと理解を深めておくことが大切です。一口に大手企業と言っても、そこで求められる人物像は企業や業界によって異なります。
全国から応募者が集まる大手企業の選考は必然的に倍率が高くなるので、もとから自分のような人材を求めている「自分に合った企業・業界」を選んで受けなければ、受かる可能性はほとんどないです。ですから大手企業を志望する場合はまず、企業や業界についてよく調べ、自分が受かる可能性の高い「自分に合った企業・業界」を探しましょう。
その一環としてOB訪問やインターンシップにも積極的に参加し、企業・業界への理解を深め、「自分に合った企業・業界」を見極めていきます。また倍率の高い大手企業の選考では、初期の選考での足切りが多くなるため、ESや面接の基本対策をしっかり行うことが大事です。
大手企業の選考ではライバルも強力ですから、ちょっと学歴が高いくらいでは何のアピールにもなりません。自己分析から自分への理解を深め、学歴以外の自分の魅力・スキルをアピールできるようにしておきます。
加えて大手企業では筆記試験の結果を重視する企業が多いので、筆記試験対策も徹底して行っておいてください。
ベンチャー企業に受かるための基本対策
ベンチャー企業に受かるための基本対策は、以下の4つがポイントです。
- 企業理念や社長の考えに賛同できるように準備しておく
- 長期インターンシップに参加する
- 自分のスキルを明確にし、具体的にどう活かしていくか述べられるようにしておく
- チャレンジ精神や成長意欲、前向きさなどをアピールする
組織として若く小さなベンチャー企業では、その会社を起こした社長の考え方が企業理念に色濃く反映されており、その理念に共感しともに働いてくれる人材が求められています。ですからベンチャー企業の選考への対策としては、企業理念や社長の考えに賛同できるよう準備しておくことが大切です。
また、まだ必要な人材が揃いきっていないベンチャー企業では、即戦力となれる人材かどうかも重視されます。そのため長期インターンシップを通して就活生のスキルを見極め、即戦力として働けそうな人材にそのまま内定を出す企業も多いです。
長期インターンシップに参加すれば、自分がその企業・業界に合っているのか直接確かめられますし、自分のスキルを磨くことにもなります。その企業の選考にも、他の選考や就職後にも役立ちますので、ぜひ参加しましょう。
ベンチャー企業の選考においては、自分が即戦力として働けることを示す必要があります。自分のスキルを明確にするとともに、自分のスキルをその企業でどう活かしていくのか、スキルを活かしてどう会社に貢献できるのか具体的に述べられるようにしておいてください。
新しいビジネスに挑戦しているベンチャー企業では、そうした仕事への適性があるかどうかも重要ですから、チャレンジ精神や成長意欲、前向きさなどをアピールするとよいです。
大手企業にもベンチャー企業にもメリットがある!
大手企業とベンチャー企業、どちらにもそれぞれのメリットがあります。大手企業とベンチャー企業のどちらがいいかは、その人の個性や価値観、企業に対して何を求めるか次第です。それらは人によって異なるものですから、大手企業とベンチャー企業のどちらの方がいいと、一概に言うことはできません。自分の個性や価値観、企業に求めるものなどと照らし合わせて判断しましょう。
大手企業とベンチャー企業、どちらにすべきか迷っている就活生は、ぜひキャリチャンを頼ってください。キャリチャンが開催している「再就活サポート」という就活支援サービスでは、迷える就活生が自分の納得のいく内定へとたどり着くためのサポートを行っています。
プロのキャリアアドバイザーがマンツーマンで面談し、就活の上での相談に乗って、納得のいく内定を獲得できるよう徹底的にお手伝いするサービスです。あなたの個性や価値観、希望などを踏まえたうえで、あなたにとっては大手企業とベンチャー企業のどちらがいいのかを、プロが一緒に考えます。
それだけでなく、あなたに合った具体的な企業を紹介し、内定獲得へ向けた選考対策もお手伝いしますので一石二鳥どころではありません。最終的にあなたが納得のいく形で就活を終えられるよう、内定承諾する一社を決断するところまでサポートしますので安心です。
就職は今後の長い人生に関わる重大な決断ですから、一人で悩まず私たちプロと一緒に納得内定を目指しましょう!
納得内定に参加しよう!
この記事の監修者
岡田 章吾
株式会社ジールコミュニケーションズ
HR事業部マネージャー
2014年に入社後、人材業界に10年間携わる。企業向けの採用コンサルティングを経て現在に至る。これまでに大手企業含めた150社の採用支援と、3,000人以上の就職支援を担当。
就活支援の得意分野は「書類・動画選考の添削」。特に大手企業のエントリーシートや動画選考に強みを持つ。これまで大手企業を中心に、「1,000名、150社以上」の書類・動画選考突破を支援した実績を持つ。
またこれらの知見を活かして学校におけるキャリアガイダンス セミナー内容の監修、講師を務めるなど、幅広くキャリア育成に尽力している。