就活におけるSPIとは?試験概要・出題傾向・対策など徹底解説

 2024年6月21日

SPI対策は万全ですか?

キャリアアドバイザー 廣瀬

就活生 Bさん

全然やってません。そもそもSPIって対策必要ですか?中学レベルの問題だって聞いたんですけど。

確かにSPIは中学~高校で習った範囲から出題されます。でもそれだけ合格ラインも高いし、試験時間に対して問題数が異常に多いです。中学~高校で全科目100点だった人でも、対策なしじゃ厳しいと思いますよ。

キャリアアドバイザー 廣瀬

就活生 Bさん

え!?そうなんですか!?

ていうか、SPIってそもそもどんなテストなんですか?全然理解してなかったので、全体像を知りたいです!

任せてください!今回はSPIとはどのような適性検査なのか、全貌を徹底解説します。試験の種類や合格ライン、対策方法なども含めて丸ごと紹介するので、一緒に確認していきましょう!

キャリアアドバイザー 廣瀬

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SPIとは

SPIとは

SPIとは、採用選考の中で用いられる適性検査の種類の1つです。現代の新卒採用では、およそ9割以上の企業が何らかの適性検査を選考に取り入れているといわれています。その中でもSPIは、リクルートマネジメントソリューションズ社が開発している適性検査です。

採用選考に取り入れられている適性検査は、SPIの他にもさまざまな種類があり、どの種類が実施されるかは企業によって異なります。しかしSPIは、年間15,000社以上が利用(2023年3月期実績)し、導入している企業数が最も多い適性検査です。

そのためSPIは、新卒の就活生にとって最も受ける可能性が高く、就活において避けることが難しい適性検査だといえるでしょう。

また、適性検査といっても性格検査だけではありません。詳しくは『SPIは大きく2つに分類される』の章で説明しますが、SPIには仕事をする上で必要な一般常識として、中学~高校で学んだ範囲の基礎学力を測定する能力検査も含まれます。

中学~高校レベルというと簡単に聞こえるかもしれませんが、実は以下のような難しさがあるので注意が必要です。

  • 高い正答率が求められ、ボーダーラインが高い
  • 出題数が多くて制限時間が厳しい
  • 文系か理系かによらず、全員一律に言語分野(国語)と非言語分野(数学)の問題が出題される

自分の苦手分野を含む多数の問題を、短時間に高い正答率で解くためには、事前の対策が必須だといえるでしょう。

もしも苦手分野を克服する自信がない、SPI対策に時間をさけないといった場合は、キャリチャンの就活支援サービス「楽スル就活」を利用するのがオススメです。あなたの希望に合う企業の中から、SPIも含めた適性検査を実施しない求人を厳選して紹介します。

その後のES対策や面接対策も完全無料でサポートするので安心です。ぜひ活用してください。

SPIを導入する企業の目的

SPIを導入する企業の目的

前述のように新卒採用では、世の中の9割以上の企業がSPIも含めた何らかの適性検査を実施しているといわれています。しかし、ごく限られた職種を除いて仕事に学力など関係なさそうなのに、なぜいまさら勉強しなければならないのか腑に落ちない就活生もいるでしょう。

自分の中でモヤモヤと納得のいかない思いを抱えながら勉強に取り組んでも、集中できず成果にはつながりません。そこでここでは、なぜ企業が新卒の採用選考でSPIを実施するのか、その目的について解説します。

新卒の採用選考にSPIを導入している企業の目的は、以下の4つです。

SPI対策の必要性を理解し、集中して勉強に取り組むためにも、企業側の目的を押さえておきましょう。

基礎能力や性格を知るため

企業が新卒の採用選考にSPIを導入する目的の1つは、就活生の基礎能力や性格を知ることです。企業は、書類選考や面接だけではわからない、就活生の「本質」を見極めたいと思っています。

新卒の採用選考では、履歴書・ES・成績証明書などの書類選考と、複数回の面接が行われるのが一般的です。しかし、それだけで就活生の本質を見極めるのは難しいでしょう。

通っている大学の偏差値や大学での成績は、必ずしも仕事で必要な地頭のよさとは一致しません。部活動などほかのことに熱中していて学業がおろそかになる人もいますし、本人の能力とは関係なく恵まれた教育環境にあったために、成績がよくなる人もいます。

また、ESや面接での評価は、テクニックを知っている人ほど有利です。そこで語られる就活生の人柄は、上手に取り繕われているかもしれません。それに加えて、評価をする側の主観にも大きく左右されます。

しかしSPIのような適性検査を行うと、そうした環境要因やテクニックや主観を排除し、統計的なデータによって数値化された客観的な評価を知ることができるのです。

企業との相性をはかるため

新卒の採用選考にSPIを導入するのには、企業と就活生の相性をはかるという目的があります。企業はSPIなどの適性検査で、書類選考や面接ではわからない就活生の本質を知ることにより、本当に自社で活躍できる人物なのかどうか正確に見極めたいのです。

前述のように、書類選考や面接だけだと就活生にとりつくろわれたり評価する人物の主観が入ったりして、相性を正確に見極めるのが困難です。就活生の能力や人柄に関する客観的なデータがあれば、自社で活躍できる人物かどうか判断しやすくなります。

ただし、もちろん企業はSPIだけで就活生の能力や人柄を判断するわけではないです。提出された書類に記載された内容とSPIの結果を見比べ、SPIの結果に基づいて面接での質問を変え、面接での発言とSPIの結果が一致するか確認して、総合的に判断します。

企業と就活生の相性がよくないと、せっかく入社しても求められているような活躍ができません。それは企業の生産性を下げるだけでなく、本人にとってもストレスとなって早期退職につながり、採用にかけたコストが無駄になる恐れがあります。

新卒の場合は働いた経験がなく、その仕事や職場に対する適性を客観的にはかれる実績がありません。そのままでは自社との相性をはかりにくいため、SPIを用いることで入社後のポテンシャルを数値化し、自社との相性を見極めようとしているのです。

採用活動の効率化

企業によっては、採用活動を効率化する目的でSPIを導入する場合もあります。

SPIでは性格検査や能力検査を通して、就活生が入社した場合のポテンシャルが数値として示されます。そこに一定の合格ラインを定めることで応募者をふるいにかけ、本格的な面接を始める前の足切りを行うわけです。

なぜなら面接選考には、多大な時間とコストがかかるからです。応募してきた学生全員を面接するのは、現実的に不可能な場合もあります。とくに大手有名企業には全国から応募者が殺到するため、全員の応募書類に目を通すだけでも大仕事です。

しかも履歴書やESから応募者の優劣を決めるには、わかりやすい指標がないため、一枚一枚読んで合否を検討しなければなりません。それに対してSPIのような適性検査では、応募者の性格や能力が数値化されるため、悩むことなく一瞬で合否を決められます。

応募者全員の提出書類をじっくり検討するのも難しいくらい人気の企業では、まずSPIの結果である程度まで候補者を絞り、そこから書類選考を始める場合もあるでしょう。企業にとってSPIは、人力だけでは選考しきれない人数をふるいにかけられる便利なツールの1つなのです。

配属先を決める際の参考にするケースも

新卒の採用選考にSPIを導入することで、入社後の配属先を決める際の参考にするケースもあります。前述のように新卒の場合は働いた経験がなく、適性を見極めにくいため、SPIの結果を参考にどの部署に適しているか判断するわけです。

実際に働いた経験がない新卒の就活生は、本人の希望や認識が必ずしも正確とは限りません。本人の申告通りに配属しても、以下のようなミスマッチが起こることがあります。

  • 「○○が得意だと思っていたが、実際は違った」などの誤解
  • 本人のやりたいことと向き不向きが一致せず、現実の仕事に適応できない
  • 仕事には適性があったものの、職場の人たちと合わない

しかしESや面接では上手に取り繕われてしまう場合もあるため、そうした適性の不一致を見抜くのが困難な場合もあるでしょう。

SPIでは、就活生の作為的な解答を検知し、性格や基礎能力を正確にはかる工夫がほどこされています。それを参考にすれば、仕事の面でも人間関係の面でも、もっとも適した職場に配属できるのです。

また、SPIによって割り出された就活生の特徴を配属先の上司に伝え、指導・育成の参考にする場合もあります。

SPIは大きく2つに分類される

SPIの試験科目

ここまでにも何度か言及しましたが、SPIは大きく分けて以下の2つの検査から構成されています。

まずはSPIの概要をつかむために、それぞれどんな検査なのか把握しましょう。

能力検査

SPIの能力検査は、就活生の基礎学力をはかる試験です。仕事上必要な知識を習得したり、社内外の人物とコミュニケーションをはかったりするためのベースとなる、基礎的な知的能力を持っているかを検査されます。

SPIの能力検査における、具体的な試験科目は以下の4つです。

  • 言語検査
  • 非言語検査
  • 英語能力検査
  • 構造的把握力検査

このうち、基礎能力検査と呼ばれる、どの企業でも必須の能力検査は「言語検査」と「非言語検査」の2つです。

「言語検査」は、中学~高校で学んだ国語のような試験で、語彙力や文章の読解力を検査されます。それに対して「非言語分野」は、数学に近い試験です。計算能力や、論理的思考力があるかをチェックされます。

上記のほかに、企業によってはオプションで「英語能力検査」や「構造的把握力検査」が追加される場合があります。

「英語能力検査」は英語の語彙や文法、文章を理解する能力をはかる試験です。「構造的把握力検査」は、日本語の短い文章が複数提示され、それらの共通性や関係性を選び出すような試験となっています。

性格検査

SPIの性格検査は、就活生の人柄や思考の傾向を確認するテストです。行動や意思決定の傾向などから、どのような仕事や組織が向いているかを検査します。

具体的には、日頃の行動や考え方に関するさまざまな質問がなされ、自分にもっとも近いと思われる選択肢を選んでいく形です。その回答の傾向と統計的なデータから、仕事への取り組み方や目標の持ち方と関係の深い性格的特徴を数値化します。

また、どのような業務内容や職場の雰囲気に適合しやすい人物かといったことも、数値として計測される項目です。企業はそれらを見て、以下のようなことを判断します。

  • 自社の求める人物像と合致するか
  • 自社のビジョンや社風に合うか
  • 履歴書・ES・面接などにおける回答内容と相違ないか
  • 仕事を任せられる誠実な人物か
  • 仕事の上でどのようなポテンシャルを持っているか
  • 自社であればどの部署や役割が合いそうか

仕事や職場に対する自分の適性を、性格的な側面から検査されるものだと理解しておけばよいでしょう。

SPIの4つの受験方法

SPIの4つの受験方法

SPIの検査の種類は能力検査と性格検査の2種類ですが、受験の方法は4種類あります。それによって会場や受験方法が変わるだけでなく、試験時間や出題傾向も変わるので、しっかりチェックしておきましょう。

SPIの受験方法は、以下の4つです。

このうち、ペーパーテスティング以外はすべてパソコンを使用する受験です。パソコンで受験する方法では、一度次の問題に進んだら前の問題には戻れません。一問ずつ制限時間が決められており、それを過ぎると強制的に次の問題に進んでしまいます。

そのほか、受験方法により電卓を使用できるかどうかといった細かな点も異なります。以下で詳しく説明するので、頭に入れておきましょう。

テストセンター

SPIのテストセンターによる受験方法は、表のとおりです。

会場 リクルートマネジメントソリューションズ社が運営する専用会場またはオンライン
受験手段 パソコン
回答方法 選択式
検査時間 言語・非言語あわせて35分
性格検査30分

テストセンターは、事前に予約した日時に、リクルートマネジメントソリューションズ社の監督の下で受験する方法です。受験会場は、リクルートマネジメントソリューションズ社が運営する専用会場、もしくはオンライン会場の2種類があります。

オンライン受験の場合もリアルタイムの監督の下で行われるため、予約は必須です。実際に受験する場所の指定はありませんが、Webカメラ付きのパソコンが必要になります。

テストセンターは、現在もっとも導入している企業が多いSPIの受験方法です。ほかの受験方法と異なり、正解・不正解によって次の問題が変化するという特徴があります。また、テストセンターで受験した場合は、1年以内であればその結果を他社にも使い回し可能です。

ただし、使い回せるのは最後に受験した最新の結果だけです。会心の出来だと思われる場合は、そこでテストセンターの受験を止め、結果を使い回すのも1つの手でしょう。

とはいえ、テストセンターも含めてSPIの結果は企業側にのみ通知され、就活生には知らされません。高得点の判断方法に関しては『SPIボーダーライン超えの見極めと合格ライン』で説明するので、そちらを参照してください。

Webテスティング

SPIのWebテスティングにおける受験方法は、以下の表のとおりです。

会場 指定なし
受験手段 パソコン
回答方法 記述式
検査時間 言語・非言語あわせて35分
性格検査30分

Webテスティングは、SPIの中でも自宅や学校など自分の都合のよい場所で受けられる受験方法です。ただし、スマートフォンからの受験はできないので、必ずパソコンを用意してください。

試験の途中で電波が途切れたりパソコンがフリーズしたりすることのないよう、安定した通信回線とパソコンを用意することをオススメします。

Webテスティングの場合、ほかの受験方法と違って、企業が指定した期間内であれば自分の都合のよいときにいつでも受験が可能です。また、ほかの受験方法と違って電卓の使用が認められています。

しかし回答方法が記述式であるため、概算ではなく最小単位まで確実に正答を導き出す必要がある点に注意してください。しかもパソコンでの受験では、一度次に進んだら前の問題には戻れません。

それを考えると計算にも入力にも慎重にならざるを得ず、電卓が使えるといっても、ほかの受験方法より時間に余裕があるとはいえないでしょう。

受験前に電卓の使用に慣れ、できるだけ素早く正確に解答を導き出せるようにしておきましょう。

ペーパーテスティング

SPIのペーパーテスティングによる受験方法は、以下の表のとおりです。

会場 応募先の用意した会場
受験手段 マークシート
回答方法 選択式
検査時間 言語・非言語あわせて70分
性格検査30分

ペーパーテスティングは、SPIの中で唯一、紙に筆記する受験方法です。回答そのものは選択肢から選べますが、大学受験の際にセンターテストで経験したような、マークシート方式の回答方法となります。

SPIを受けるのは、応募先企業の用意した会場です。企業に訪問して受ける場合もあれば、別会場を用意されている場合もあるでしょう。しかし、いずれにしても応募先の社員が見守る中で受けることになるので、緊張感や社会人らしい振舞には慣れておく必要があります。

ペーパーテスティングの場合は、リアルタイムで正誤を判定できないので、それによって次の問題が変化することはありません。全員が一律に同じ問題を解きます。

また、パソコンによる受験と違って一問あたりに制限時間が設けられておらず、前の問題に戻ることも可能であるなど、回答の自由度が高いです。

長文読解や難問に多くの時間を割けるよう他の問題を素早く解く、時間切れで最後まで解答できない可能性を考え、得意な問題から解いて得点を稼ぐといった工夫をするとよいでしょう。

そのためにもあらかじめ対策を行い、自分の得意分野・不得意分野を明確にしておくことが大切です。マークシート方式のテストに慣れていない人は、そのやり方にも慣れておきましょう。

インハウスCBT

インハウスCBTによるSPIの受験方法は、以下の表のとおりです。

会場 応募先の企業
受験手段 パソコン
回答方法 選択式
検査時間 言語・非言語あわせて35分
性格検査30分

インハウスCBTも、応募先の企業が用意した会場でSPIを実施します。しかし大抵は応募先の企業を訪問し、企業のパソコンを使用することが多いでしょう。なぜなら選考期間を短縮するために、面接と合わせて実施されることが多いからです。

試験そのものはWebテスティングと同様ですが、企業の社員が監督しているため、ペーパーテスティングと同じく緊張感や社会人らしい振舞に慣れておく必要があります。

ただし現在、新卒採用でインハウスCBTによるSPIを実施する企業は稀です。この受験方法だけに特化したSPI対策を行う必要はないでしょう。

SPIの対策はいつからすべき?

SPIの対策はいつからすべき?

ここまでの説明でもわかるように、新卒の就活生はSPIを受ける可能性が高いです。短時間にできるだけ高い正答率を求められるため、事前の対策が必須となります。

しかし、これから就活を行う学生の中には、いったいいつからSPI対策を始めれば間に合うのか不安を感じる人も多いでしょう。SPIを開発しているリクルートマネジメントソリューションズ社によると、付け焼刃の対策では結果に影響を及ぼさないことが実証されているそうです。

結論からいうと、SPI対策をいつから始めるべきかは、受ける企業や受け方によります。詳しくは、以下のコラムを参照してください。

ここでは、就活生が自分の受ける企業や受け方に合わせていつから始めるか決められるように、SPI対策の時期に関する要点を紹介します。SPI対策を始める時期に関して重要なポイントは、以下の2つです。

それぞれの要点を解説するので、自分の就活に照らし合わせて検討してみてください。

SPI対策は就活開始前に終わらせる

SPI対策は、就活が本格化する前に終わらせるつもりで取り組みましょう。就活ではSPI以外にも、ESや面接など対策が必要なことがたくさんあります。就活が本格化した後はそちらに重点を置く必要があるので、SPI対策はその前に一通り済ませておくのが賢明です。

ただし、前述のように就活の時期は企業ごとに異なります。たとえば、政府の定めた就活ルールにのっとって採用活動を行う企業の場合は、求人の解禁日である大学4年の3月以降にSPIを実施する場合が多いです。

SPIの提出を求める時期も企業によって異なりますが、履歴書やESと同時に提出を求められるパターンと、一次面接の前後に受験を求められるパターンが多いでしょう。

しかし経団連に加盟していない外資系企業やベンチャー企業などは、もっと早い時期に採用活動を行います。それらの企業を狙う場合は、大学3年の秋~冬ごろにSPIの受験を求められる可能性が高いです。

また、企業によってはインターン選考でもSPIの受験を求められる場合があります。つまりもっとも早いケースだと、大学3年の夏ごろにはSPIを受験するということです。

いずれにしても、自分が受験するであろう時期から逆算し、どんなに遅くとも受験日の1ヶ月前には対策を始める必要があります。不得意分野の対策に時間がかかるかもしれないことも考慮すると、基本的には受験日の2ヶ月以上前からSPI対策を始めるのがオススメです。

SPI対策には30~60時間の勉強が必要

SPI対策には、最低でも30~40時間の勉強が必要だといわれています。なぜならSPIはこれまで大学受験などで経験してきた出題方法とは異なりますし、短時間に多数の問題を解くため、不得意分野がない人でも問題の傾向と解答方法に慣れる必要があるからです。

とはいえ、大抵の就活生には何かしら不得意な分野があります。文系の就活生であれば非言語の問題は難しく感じるでしょうし、理系の就活生には言語の問題が難しく感じるでしょう。

SPIは中学~高校で学んだ範囲の問題ですが、それが苦手だったからこそ文系・理系に進んだという人もたくさんいます。そしてその後は、それらの問題に一切触れていないわけです。

SPIは就活生が文系か理系かを問わず両方の問題が出題されるため、どうしても苦手分野の克服が課題になります。苦手分野も含めた入念な対策を行うには、30~40時間の勉強では足りず、60時間くらいの勉強が必要になるのです。

ただし、短期間にまとめて勉強する一夜漬けのような方法はオススメしません。スピーディーに正答を導き出すには、長期間にわたって常に問題に触れ、問題傾向や解答方法が染みつくまで慣れておくことが大事です。

そのため、1日1時間必ず勉強するとして30時間ならおよそ1ヵ月、60時間ならおよそ2ヵ月の対策期間が必要になります。SPIは対策にかける期間が長いので、できるだけ早くから始めることがマストです。

SPIの合格ラインとは?

SPIの合格ラインとは?

ここまで繰り返しSPIでは高い正答率が求められると述べてきましたが、「高い正答率ってどれくらい?」と疑問に思った就活生もいるでしょう。

そこでここからは、新卒の就活におけるSPIの合格ラインについて解説します。SPIの合格ラインに関する重要なポイントは、以下の2つです。

どのくらいの正答率を出せるようになればよいのかわからないと、順調に対策が進んでいるのか判断しにくいですよね。ここからの説明を読んで、対策の参考にしてください。

選考時のボーダーラインは企業によって異なる

SPIの得点に関する選考時のボーダーラインは、企業によって異なります。あまり合否の判断に入れない企業もあれば、「上位○○%以上が合格」と一定の数値を定めてるケースもあるなど、さまざまです。

SPIを実施するのに結果をあまり合否の判断に含めないケースとしては、以下のような場合が考えられます。

  • 面接の参考として利用しているだけ
  • 配属先や教育方法を決める上での参考にしているだけ

しかし、採用選考を効率的に行うため、SPIの結果を足切りの判断基準にしている企業が多いのも確かです。とくに応募者が多い人気の企業ではその傾向が強く、面接に進むためにはより高い成績で上位に食い込む必要があります。

ちなみに、合格ラインの基準となる数値は正答率ではなく偏差値です。ただし、高い偏差値をつけるためには、高い正答率を挙げる必要があります。テストセンターの場合は正解・不正解で次の問題が変化しますが、正答するとより難しい問題が出て、正答率が偏差値に反映される仕組みです。

実際の合格基準である偏差値は、その母体となる他の就活生の成績がわからないと何ともいえません。また、SPIの合否には性格検査による企業との相性も加味され、どちらにどの程度の比重を置くかも企業ごとに異なるので、能力検査の正答率がすべてを決めるわけではないです。

とはいえ、問題集などを使ってどのくらいまで勉強すべきか判断するには、具体的な正答率の数値が必要でしょう。そのため次の項では話を単純化し、一般論として企業ごとに必要だといわれている正答率の目安について説明します。

企業別合格ラインの目安

SPIの合格ラインは企業ごとに異なりますが、一般的にいわれている大まかな正答率の目安は以下の表のとおりです。現状の就活軸に基づいて企業選びをする場合、どのくらいSPI対策の完成度を高める必要があるのか判断する上での参考にしてください。

種別 正答率目安
外資系コンサル 90%以上
財閥系を含む大手商社 80~90%
メガバンク 80%以上
大手出版社 80%以上
民放テレビ局 80%以上
中小企業 60~70%

上記を見てもわかるとおり、大手企業を目指す場合はSPIで少なくとも80%以上の正答率を出せるように対策する必要があります。大手企業の場合は応募者が多すぎて、ESを読む前にSPIによる足切りが実施される可能性が高いため、入念な対策を行いましょう。

また、中小企業でもSPIの合格ラインは正答率60~70%が目安です。もしSPI対策を取らなかった場合、能力検査の平均的な正答率は50~60%といわれているので、中小企業を目指す人もSPI対策は欠かせません。

ただし、学力よりも人柄を重視して採用を行う企業の中には、そもそもSPIも含めた適性検査自体を実施しないところも一部には存在します。30時間以上もSPI対策に割けない、どうしても苦手分野を克服できないといった就活生は、そういう企業を狙うのも1つの手です。

キャリチャンでは、新卒採用においてSPIも含めた適性検査を行わない企業を紹介できる無料の就活支援サービス「楽スル就活」を開催しています。適性検査を行わない企業は面接を重視する傾向がありますが、その対策も二人三脚でサポートするので安心です。

私たち就活のプロがあなたの状況に合った就活ができるよう全面的にサポートするので、ぜひ活用してください。

SPIボーダーライン超えの見極めと合格ライン

SPIボーダーライン超えの見極めと合格ライン

前述のように、テストセンター受験の場合は1年以内であればSPIの結果を使い回し、複数の企業に送信できます。どうせ使い回すなら、できるだけ出来がよかったときの結果を送りたいところですよね。

SPIではどの結果を送信するか選べず、常に最新のデータが送信されます。それなら会心の得点が得られた時点で受験を止め、それをどの企業にも送付すればよいわけです。

しかし、残念ながらSPIの検査結果は企業側のみに通知され、受験した就活生本人には知らされません。そのため、受けた際の感触を頼りに出来を予測することになるのです。

ただし、「なんとなく出来がよかった気がする」という漠然としたカンよりも、もう少し信頼性の高い指標があります。テストセンターでSPIを受けた場合は正解・不正解によって次の問題が変化するため、それを目印にある程度は正答率を予測することが可能です。

ここではSPIのボーダーラインを超えたかどうか見極めるための、以下の指標と目安を紹介します。

テストセンター受験における自分の正答率を知りたい人は参考にしてください。

高得点の目安となる3つの指標

SPIで自分が高得点を挙げられているかどうか知るための指標は、以下の3つです。

  • チェックボックス問題
  • 複数タブ(4タブ)問題
  • 残りの問題と時間を示す時計

それぞれの指標を、正答率を判断する上でどのように解釈すればよいのか解説します。

【チェックボックス問題】

SPIのテストセンター受験で高得点の指標となるものの1つは、チェックボックス問題です。チェックボックス問題が出てくれば、ここまで正答率が高く、高得点を挙げられているサインといえるでしょう。

チェックボックス問題は、1つの問題に対し当てはまる答えが複数あるタイプの出題方法です。当てはまる選択肢をすべて選択しないと正解にカウントされません。

例)

「次の選択肢から、この問題の答えに当てはまるものをすべて選びなさい」

そのため、選択肢の中から最も当てはまりそうな答えを1つ選び出せばよい通常の問題より、正解するのが難しいのです。SPIのパソコン受験で高い正答率を続けていると、このような難しい問題が出題されるようになります。

【複数タブ(4タブ)問題】

SPIのテストセンター受験で高得点を挙げられているかどうか判断する2つ目の指標は、複数タブ(4タブ)問題です。

通常SPIのテストセンター受験では、1つの設問に対して2つの小問が出題されます。小問はタブによって管理され、タブを切り替えることで次の小問に移る仕組みです。そのため通常だと、1つの設問に対して2つのタブが存在します。

しかし高い正答率を続けていると、1つの設問に対して4つのタブ(小問)がある長い設問が出現するわけです。

複数タブが表示された画面

【残りの問題と時間を示す時計】

SPIのテストセンター受験で高得点を挙げられているかどうか判断する3つ目の指標は、残りの問題と時間を示す時計のような円グラフです。テストセンター受験では問題と時間の進捗状況がわかるよう、パソコン画面の右上に二重の円形図形がついています。

外側の円が経過時間、内側の円が問題の進捗状況を表し、未進捗の(残りの)部分はグレー、進捗した部分は色付きで表示されるようになっています。つまり解答した問題が増えるごとに、内側の円の色付きの割合が増えるわけです。また、時間を表す外側の円も時間の経過とともに色づいていきます。

そして、時間を表す外側の円がすべて色づいたときに解答時間は終了です。このとき問題の進捗を表す内側の円が、時計の針にして9時~10時くらいの位置まで色づいていれば高得点の目安になるといわれています。

残りの問題と時間を示す時計

解答時間終了時に未解答の問題が多く残っている状態では、高得点は期待できません。しかし逆に、時間内にすべての問題を解き終わるのも高得点は期待できないといわれているのです。その理由は、SPIのテストセンターにおける問題の難易度が、受験者の正答率で変化することにあります。

SPIは試験時間に対して問題数が多く、大多数の受験者が最後まで解ききれません。それなのに時間が余るのは、不正解が続いているために考える必要のない簡単な問題ばかり出題されている可能性が高いです。実際、わからない問題を考えることなく適当に埋めていくと、最終的に時間が余る状態になります。

そのため、解答時間終了時に少しだけ解ききれなかった問題が残るくらいが、最も高得点の可能性が高いと考えられています。解いた問題が必ずしも正解とは限りませんが、参考にはなるでしょう。

「言語」問題の目安

SPIテストセンターの言語問題では、正答率が高いと以下のように出題傾向が変化するため、それが高得点の目安になります。

  • 長文読解の出題数が多い
  • 長文でチェックボックス問題が出題される
  • 長文で抜き出し問題が出題される
  • 抜き出し問題の字数制限が広くなる

【長文読解の出題数が多い】

SPIの言語分野では、長文読解が最も解答に時間がかかり、難しい問題だといえるでしょう。テストセンターでは正答率によって問題の難易度が変化するため、正答率が低いと長文が出題されないこともあり、正答率が高いと長文の数が増える傾向があるのです。

そのため、長文が複数出題された場合は、高得点を挙げられている可能性が高いです。最大で3問まで出題されることがありますが、2問でも十分高得点が期待できます。

【長文でチェックボックス問題が出題される】

先ほど高得点の指標として紹介したチェックボックス問題が長文の小問として出てきたら、高得点の可能性が高いといわれています。なぜなら長文の内容をよく読み、主旨に当てはまるものをすべて選択する必要があるからです。

ざっと流し読みしただけだと微妙な選択肢に気づけず、選びそびれることがあります。ほかが合っていても選びそびれた選択肢があると不正解になるため、より難易度が高い問題だと考えられているのです。

【長文で抜き出し問題が出題される】

長文で抜き出し問題が出題された場合も、チェックボックス問題と同様に高得点の目安だと考えられています。抜き出し問題とは、問いに合う語句や文章を長文の中から探して抜き出す問題です。

例)

「空欄に当てはまる語句(文章)を、本文中から抜き出しなさい」

このような抜き出し問題も、本文をよく読まないと当てはまる語句や文章を見逃してしまうかもしれません。また、問題になっている部分は前後のつながりから答えを判断するため、文意を十分に理解する必要があり、難易度が高い問題だといえるでしょう。

【抜き出し問題の字数制限が広くなる】

SPIのテストセンターにおける言語問題には、正答率が高くなると抜き出し問題で指定される文字数の制限が広くなる傾向もあるようです。抜き出し問題はそもそも難易度が高い問題ですが、文字数の制限が広くなると選べる語句や文章の幅が増え、いっそう難しくなります。

例)

  1. 「当てはまる語句(文章)を、本文中から○○字で抜き出しなさい」
  2. 「当てはまる語句(文章)を、本文中から○○字以内で抜き出しなさい」
  3. 「当てはまる語句(文章)を、本文中から抜き出しなさい」

一番目のように、「○○字で」と指定されていればその時点でかなり選択肢が狭まります。しかし、字数制限が広くなるほどいくらでも当てはまる文字列があるため、語句の意味や文意をきちんと理解していないと正しい答えを選べません。

それだけ正答の難易度が上がるので、高得点の目安となるのです。

「非言語」問題の目安

SPIのテストセンター受験で非言語問題の高得点を獲得できているかどうかは、以下の3つが目安になります。

  • 4タブ形式の問題がたくさん出てくる
  • 推論が半分以上出る
  • 推論でチェックボックス形式が出される

【4タブ形式の問題がたくさんある】

SPIテストセンターの非言語問題で4タブ問題が何度も出てきたら、そこまでの正答率が高く、高得点を挙げられている可能性が高いです。前述のように、通常は1つの設問に対して小問2つ(2タブ)なので、小問の数(タブの数)が増えるほど制限時間に対する難易度が高いといえます。

そのまま正答率が高い状態を維持すると、小問の数が多い問題が何度も出てくることになるわけです。

【推論が半分以上出る】

SPIテストセンターの非言語分野で推論の問題が多数以上出てくるのも、高得点の可能性があります。目安としては、非言語分野の設問のうち半分以上が推論だったら、高得点を挙げられていると考えてよいでしょう。

推論はSPIの非言語分野の中で、ほかの問題にくらべ難易度が高い問題です。単純な公式に当てはめて計算するだけではないため、論理的な思考力を試されます。

とくに推論が4タブ問題だったら解答に時間がかかり、より難易度が高いです。正答率が高い状態を維持できている目安になります。

【推論でチェックボックス形式が出される】

非言語分野の推論問題がチェックボックス形式で出題されるのも、SPIで高得点を獲得できる目安になります。前述のように、チェックボックス形式の問題は1つでも解答が漏れたら正解にならないため、難易度が高いです。

推論の問題で、チェックボックス形式の小問が複数出ることもあります。より高い得点ができていると考えてよいでしょう。

「英語」問題の目安

SPIの英語問題で高得点を取れている目安は、言語問題と同様、長文がたくさん出題されることです。長文読解には、課題となっている文章を読み込む時間と、それを理解するだけの語学力が必要なので難易度が高いと考えられます。

ただし、SPIテストセンター受験における英語問題では、言語問題よりも長文が出題されやすい傾向があります。そのため、長文の数は多ければ多いほどよいです。4問以上の長文が出ていれば、かなり高得点を挙げられていると考えて差し支えないでしょう。

「構造的把握力」問題の目安

残念ながら構造的把握力の問題に関しては、高得点を取れているかどうかの目安がありません。なぜなら正解・不正解によって次の問題が変化する仕組みを取っておらず、全員に同じ問題が出るからです。

そのため、問題の内容で自分の正答率を見極めることができません。得点に不安を感じることのないよう、しっかり対策して挑みましょう!

SPI対策を行う上で意識すべきこと

SPI対策を行う上で意識すべきこと

ここまではSPIとはどのような検査なのかや、合格ラインなどについて説明してきました。いよいよここからは、どのような対策を行えばよいかという話に移っていきます。

SPI対策を行う際に、意識すべきポイントは以下の4つです。

それぞれのポイントを詳しく説明するので、対策の際の参考にしてください。

SPIの問題集1冊を完璧に仕上げる

SPIの対策をする際は、1冊の問題集を何回もやり込んで、完璧に仕上げるようにしましょう。SPIの問題集の中身はどれも同じような内容なので、1冊あれば十分です。その中に入っている要素を、もれなく網羅するように勉強することをオススメします。

SPIの問題集を購入するときは、以下の3点に注意してください。

  • 種類
  • 発行年
  • 問題数

実をいうとSPIには、中途採用向けや高校生向けなど対象者の異なる種類がいくつか存在します。大学生向けのSPIは、「SPI-U」です。間違えないようにしてください。

また、SPIは年々改良が加えられているので、古い問題集はあまり参考になりません。最近のSPIの出題傾向を反映できている、最新の発行年の問題集を選ぶ方がよいです。

それに加えて、問題数はできるだけ多い方がよいでしょう。問題数が少ないと、何度も周回するうちに解答を暗記してしまうかもしれません。覚えるべきは解答方法であって解答そのものではないので、問題のバリエーションが複数あった方がよいです。

とくに、苦手分野の問題は重点的に対策する必要があるので、自分の苦手分野の問題が充実しているものを選ぶようにしましょう。

出題パターンを掴む

SPIの対策をする際は、出題パターンを掴むことを意識するとよいです。先ほども述べたように、SPI対策の問題集の中身はどれも似通っています。それはSPI自体、出題傾向がある程度決まっているためです。

ただし、覚えるべきは解答方法であって解答そのものではないです。SPIではどのような問題が出題され、どうすれば解けるのかを理解するようにしましょう。それを掴めれば、問題にアレンジが加わってもすいすい解けるようになります。

キャリチャンでも解説付きの問題集を用意しているので、参考にしてください。

時間配分に慣れる

SPI対策をする際は、時間配分に慣れることを意識しましょう。SPIは制限時間に対して問題数が多いために、難しいと感じる人が多いです。最後まで解ききれずに終わることの方が多いでしょう。

その中でできるだけ多くの問題を解き、正答率を上げるためには、あまり考え込まずにどんどん答えていくことが大切です。1問1問に時間をかけると、解ききれないままあっという間に制限時間を迎えてしまいます。

パソコン受験の場合は問題ごとに制限時間が決まっているため、悩んだ末に解答を記入できないまま、強制的に次の問題に移ってしまうことになるのです。

一方でペーパーテスティングの場合は問題ごとの制限時間がないため、強制終了にはなりません。しかし1問に時間をかけ過ぎると、半分以上手を付けられないまま試験時間が終了するということも起こり得ます。

そうした事態を避けるためには、わからないと思ったら潔くあきらめて次の問題に進み、解ける問題を確実に解いていく必要があります。練習問題をこなすときも時間を意識し、どのくらい考えてどこであきらめるか、適切な時間配分を把握するようにしてください。

模擬試験を受ける

SPI対策がある程度まで進んできたら、模擬試験を受けておくことをオススメします。次週も大事ですが、本番に近い状況で実際に試験を受けるのが、一番手っ取り早く実践の感覚をつかめるでしょう。

問題の傾向や時間配分はもちろんですが、テストの形式や会場の雰囲気がわかると本番で緊張しにくくなり、解答への動きもスムーズになります。

たとえばペーパーテスティングの場合はマークシート方式なので、その記入方法に慣れていないと、それだけで時間をロスしてしまいます。また、パソコン受験の場合は進捗バーや時計が表示されていることで焦り、ミスを起こしやすいかもしれません。

模擬試験を受けておけばそれらを経験できて、本番に備えておけるのです。

もしも模擬試験を受けてあまりにも難しいと感じたら、念のため、採用選考にSPIを取り入れていない企業も受けておくことをオススメします。キャリチャンの就活支援サービス「楽スル就活」でもそうした企業を紹介できるので、ぜひ相談してください。

SPIにおける各分野別対策と例題

SPIにおける各分野別対策と例題

前述のように、SPIの対策で重要なことは出題の傾向と解答方法をつかむことです。そこでここからは、以下の各分野でどのような問題が出題されるのかと、その対策方法を紹介します。

「中学~高校レベルの問題に対策なんているの?」と疑っている人も、問題を見ればその必要性を理解できるはずです。

ちなみに、パソコン受験におけるSPIの出題数は公表されていませんが、ペーパーテスティングの場合は70分の試験時間に対し、言語分野40問と非言語分野30問が出題されます。つまり単純計算でも、1問にかけられる時間は1分しかないのです。

しかもそこには長文や難問を判読する時間も解答を記入する時間も含まれるわけですから、実際には1問あたり数十秒で解答を導き出す必要があります。そのことを頭に入れた上で、以下の例題と対策法を参照してください。

言語分野の対策と例題

SPIの言語分野でよく出題される問題は、以下の8種類です。

  • 語句の意味
  • 語句の用法
  • 二語の関係
  • 熟語の成り立ち
  • 空欄補充
  • 文の並び替え
  • 文節の並び替え
  • 長文読解

このうち、「二語の関係」「語句の意味」「熟語の成り立ち」はそれほど難しくないでしょう。だからこそできるだけ短時間で解答を導き出し、早く次の問題へ進んでいく必要があります。

「空欄補充問題」は、簡単なバージョンと難易度の高いバージョンがあります。「文の並び替え」「文節の並び替え」「長文読解」は、いずれも難易度が高い問題です。

これらの問題を早く正確に解くには、問題文を素早く読んで理解するために、語彙力を増やしておく必要があります。

どの問題も、言葉の意味や用法を知らないと素早く判断が下せません。普段から新聞や本を読んで文章を読むことに慣れ親しむとともに、知らない言葉や理解があやふやな言葉の意味を調べ、理解を深めておくことが大切です。

とはいえ、この説明だけでは問題のイメージがつかないですよね。以下で、それぞれのカテゴリーの例題を紹介するので、参考にしてください。

■ 語句の意味

SPIの言語分野では、以下のように問題文の意味と合致する語句を選択肢から選ぶ問題が出題されます。

語句の意味の例題

引用元:キャリチャン『SPI対策が間に合わない!適性検査でボロボロにならない方法』

これらの問題に素早く解答できるかは、問題文を見た瞬間に、該当の単語が頭に浮かぶかどうかにかかっています。その意味でも、普段から語彙力を増やしておくことが大事です。

ただし、もし自分の知らない語句が出題されても、使用されている漢字から答えを推察することは可能です。わからないと思ったら、漢字に着目するとよいでしょう。あまり悩んで時間をロスしないよう注意してください。

■ 語句の用法

語句の用法は以下のように、まったく同じ言葉でありながら、用法の異なる文章が複数提示されます。その中から、同じ用法で使用されている文章を選ぶ問題です。

語句の用法の例題

引用元:ONE CREER『【SPI対策】全問題形式を完全網羅!練習問題&解答一覧(言語・非言語・英語・構造的把握力)』

このような問題では、該当箇所をそれぞれ別の言葉で言い換えてみるとわかりやすくなります。上の例題では「例をあげる」→「例を並べる」「例を示す」などと言い換えが可能です。同じ言いかえができる選択肢を探せば、すぐに解答にいきつくでしょう。

■ 二語の関係

二語の関係は以下のように、提示された2つの語句と同じ二語関係にあたるものを選ぶ問題です。

二語の関係の例題

引用元:キャリチャン『SPIを適当に埋めると落ちる!合格する3つの対策や問題を紹介』

しかし以下のように提示される2つの語句がなく、選択肢だけを見て同じ二語関係にあるものを選ぶように指示される場合もあります。

二語の関係の例題

引用元:就活の教科書『【SPI言語】「二語の関係」の練習問題と解答│頻出パターン一覧、解き方のコツも』

2つ目の例題でいえば、アとイの二語は前者と後者が包含関係であるのに対し、ウの二語は相反する関係、エの二語は並列の関係にあります。そのように、対になる二語がどのような関係性にあるのか素早く判別し、該当する選択肢を探すのがコツです。

■ 熟語の成り立ち

SPIの言語分野では、以下のような熟語の成り立ち方として適したものを選択する問題もよく出ます。

熟語の成り立ちの例題

引用元:Town『SPI練習問題に挑戦!解き方のコツや効率的な勉強方法も解説』

熟語の成り立ちは、SPIの言語分野の中でもっとも簡単な問題の1つでしょう。難しい漢字が混じっていることもありますが、同じ漢字が使われている別の単語を知っていれば漢字の意味を推測できます。

■ 空欄補充

SPIの言語分野では、以下のように文章中の空欄に入る適切な語句を選ぶ形の、空欄補充問題が出題されます。

空欄補充の例題

引用元:SPI対策問題集 『question_japanese_blanks_2』

空欄補充問題を解く際は、それぞれの選択肢を空欄に当てはめてみて、最も自然につながるものを選んでください。上記のように、慣用句や語彙の用法を知らないと解けないため、普段から本や新聞を読んで語彙力を増やしておきましょう。

ただし、SPIの空欄補充問題では以下のような、もっと難易度の高い問題も出題されることがあります。

1つ目のパターンは、短い文章に3つの空欄が設けられ、そこに適切な語句を選択肢から選んで入れるといった問題です。

空欄補充の例題

引用元:PORTキャリア『SPIの言語の対策方法|短期間で高得点を取るコツを解説』

2つ目は、語句だけでなく文節ごと抜かれて空欄になっており、適切な文節を選んで当てはめることで1つの文章を完成させるパターンです。

空欄補充の例題

引用元:SPIのすべてがわかるサイト『SPIの空欄補充問題は受検方式で毛色が違う!例題でわかりやすく解説』

こうした難易度の高い空欄補充問題では、わかるところから埋めていくのがコツです。いずれもそれぞれの選択肢は一度ずつしか使えないと限定されているため、わかりやすいところから答えを決めて、だんだん選択肢を減らしていきましょう。

■ 文節の並び替え

SPIの言語分野では以下のような、順序がバラバラになった複数の文節を正しい順序に並べ替えるといった問題も頻出です。

文節の並び替えの例題

引用元:ジョブトラアカデミー『【SPI3全科目・完全攻略】できない人はこれを見て!SPI3の通過ボーダーライン7割を超える対策』

文節の並び替えは、やや難易度の高い問題です。接続詞や助詞に着目して、それより前にくるか後にくるか判断していくとよいでしょう。

たとえば上の例題では、選択肢Aが「~だが」という、相反する話を述べるときに使う接続助詞で終わっています。その前後で話が切り替わるとすると、それ以前は土に還るものの話・以後は土に還らないものの話と判別できるわけです。

■ 文の並び替え

SPIの言語分野では文節の並べ替えだけでなく、バラバラな文章を並べ替えて1つの文章を成立させる問題も出題されます。

文の並び替えの例題

引用元:就活の未来『【SPIの言語対策3つ】練習問題やおすすめの本をご紹介』

文の並び替えの問題も、ポイントとなるのは接続詞です。また、指示代名詞にも着目するとよいでしょう。接続詞はその前に何らかの話がこないと接続できませんし、指示代名詞はその前に出てきている名詞の代役をつとめるものです。

つまり、接続詞や指示代名詞から始まる文には、必ずその前に何らかの文が必要です。そのため、文頭に接続詞や指示代名詞がない選択肢が、最初の一文であると判断できます。

■ 長文読解

SPIの言語分野では、長文読解も頻出の問題です。前述のように、それまでの正答率が高いほど長文読解の問題が多くなる傾向があります。小説などの物語ではなく、以下のような評論文や随筆が題材となることが多いです。

引用元:リクルートマネジメントソリューションズ『SPIの能力検査とは?』

長文読解は普段から新聞や論文などの文章を読み、固い論調の文章と速読に慣れておくとよいです。また、実際に解く際は、以下の順で進めることをオススメします。

  1. 先に設問を読む
  2. 課題となっている長文の最後の一文を読む
  3. 本文を最初から読む

設問を読む際は、選択肢まで詳細に把握する必要はありません。何が問われるのか意識しながら文章を読むだけで、理解度が異なります。

また、日本語の評論や随筆ではたいてい、筆者のもっとも言いたい結論(主旨)が最後の一文に書かれています。上の例題では最後の一文を読むだけで、Q2に答えることが可能です。残りの設問は、文章を読みながら答えを見つけていくとよいでしょう。

非言語分野の対策と例題

SPIの非言語分野で出題される問題は、おもに以下の14種類です。

  • 推論
  • 料金
  • 損益
  • 順列・組み合わせ(場合の数)
  • 割合と比
  • 仕事算
  • 集合
  • 代金清算
  • 速度算
  • 特殊算
  • 分割払い
  • 濃度算
  • 通過算
  • 流水算

これらすべてが一度の試験で出てくるわけではありませんが、前述のようにSPIの能力検査は制限時間に対して問題数が多く、時間配分がタイトであることは確かです。考える時間は一問あたり数十秒しかありません。

SPIの非言語分野で高得点をあげるためには、繰り返し練習問題を解いて解答方法を覚え、素早く解答を導き出せるようにする必要があります。また、タイムリミットを意識しながら練習問題を解いて、制限時間制の出題方法に慣れておくことも大事です。

時間を意識すると、焦ってミスが起こりやすくなります。急ぎながらも冷静に問題と向き合えるように練習しましょう。考えてもわかりそうもない問題はあきらめて次に進むといった判断も必要です。

とはいえ、まずは苦手な問題が残らないようにまんべんなく対策しましょう。以下にそれぞれの問題の特徴と例題を紹介するので、非言語対策の参考にしてください。

■ 推論

SPIの非言語分野では、与えられた情報から内訳や順序などを導く推論の問題が出題されます。

推論の例題

引用元:キャリチャン『SPI対策が間に合わない!適性検査でボロボロにならない方法』

推論は、他の問題よりも時間をかけて考えないと答えを導き出せない問題です。そのため前述のように難易度が高く、そこまでの正答率が高いことを示す指標となります。

上の例題のように、非言語問題でありながら全く計算が出てこないパターンもあります。出題のパターンが幅広いので対策しにくいですが、繰り返し練習問題を解いて論理的に情報を整理することに慣れましょう。

状況を把握しにくい問題は、情報を紙に抜き書きして図式化するとよいです。

■ 料金

SPIの非言語分野では、以下のような割引額や合計の支払い金額を算出する問題もよく出題されます。

料金の例題

引用元:キャリチャン『SPIを適当に埋めると落ちる!合格する3つの対策や問題を紹介』

〇〇%で示される金額は、元の金額×〇〇÷100で求められます。たとえば上の例題で言えば最初の一時間は5%割引、つまり元の金額の95%で利用できるので、1,000円×95÷100=950円です。同様に2時間目~6時間目までの料金を計算し、合算するのが一番わかりやすいでしょう。

まとめて計算することも可能ですが、頭の中がごちゃごちゃにならないことが大切です。複雑な1つの式を考えるよりもパートごとに分けて、手早くできる計算の結果を合算する方が単純化でき、結果として早く解答できます。

■ 損益

SPIの非言語分野では以下のように、原価(仕入れ値)・定価・売価・利益・割引の関係からそのいずれかを算出する問題もよく出ます。

損益の例題

引用元:unistyle『【SPI非言語】 頻出4ジャンルの例題・問題の対策方法をわかりやすく解説!』

損益計算で重要なことは、原価・定価・売価・利益・割引額の関係をきちんと理解しておくことです。割引がない状態では、定価=原価+利益で計算されます。

そこに割引が入ることによって売価は定価より低くなり、売価=定価-割引額となります。しかし原価は変わらないので、割引額の分だけ利益が下がるという点に注意しましょう。

■ 順列・組み合わせ(場合の数)

SPIの非言語分野では以下のような、与えられた条件の場合に何通りの組み合わせがあるのか算出する、順列・組み合わせの問題も頻出します。

順列・組み合わせの例題

引用元:リクルートマネジメントソリューションズ『SPIの能力検査とは?』

順列・組み合わせの問題ではまず、どちらの公式を使う必要があるか、つまり順列なのか組み合わせなのかを判別する必要があります。例題のように順序や場所を限定される場合が「順列」で、それらを限定されない場合が「組み合わせ」です。

順列の場合は順序や場所が異なる選び方を違うものとしてカウントし、組み合わせの場合は順序や場所が異なる選び方も同じものとしてカウントします。異なるn個のものからr個を取り出すとき、順列と組み合わせの公式は以下のとおりです。

【順列】

nPr=n(n−1)(n−2)⋯⋯(n−r+1)
   =n!/(n−r)!

【組み合わせ】

nCr=nPr/r!
   ={n(n−1)(n−2)⋯⋯(n−r+1)}/{r(r−1)⋯⋯3×2×1}

該当の場合の数を1つずつカウントしていっても解けないわけではないですが、時間がかかります。上記の公式を活用できるように練習しておきましょう。順列・組み合わせから発展して、確率を求めさせる問題もあります。

■ 割合と比

SPIの非言語分野では以下のような、条件から割合や比率を求める計算問題も出ます。

割合と比の例題

引用元:キャリチャン『SPIを適当に埋めると落ちる!合格する3つの対策や問題を紹介』

上記のような問題では、元の値段や販売枚数をx、yとして計算するか、実際に何らかの数値を当てはめて計算するとよいです。計算そのものは単純な四則演算なので難しくありません。

数値を当てはめる場合は、1や100といった数を代入すると割合の計算が楽になるでしょう。

■ 仕事算

SPIの非言語分野では以下のような、異なるペースで仕事をする複数の人や物が、一緒に仕事をした場合にかかる時間を計算する問題も頻出です。

仕事算の例題

引用元:JobQ Town『【例題15選】SPI非言語が難しすぎる場合の対策方法や解き方のコツ』

こうした問題では全体の仕事量を1とし、まずはそれぞれの人や物が時間単位あたりに全体の何分の1の仕事量を進められるのか、ペースを割り出すのがコツです。それを割り出せれば、あとは分数同士の四則演算のやり方を知っていれば解けます。

分数同士の足し算引き算では分母を合わせる必要があるため、公約数・公倍数の出し方に慣れて、手早く計算できるようにしましょう。

■ 集合

SPIの非言語分野では、集合の問題もよく出題されます。集合は以下のように、特定の条件を満たす人や物の数を求める問題です。

集合の例題

引用元:インタツアー『【SPI対策】非言語分野を時間をかけずに復習!ポイントを抑えれば実は余裕!?サクサク解答できるようになろう【例題アリ】』

集合の問題を解く際は、与えられた条件の包含関係を図として書き表し、求めたい部分がどこなのかを視覚化するのがコツです。数学用語ではこれをベン図と言います。用語を覚える必要は全くないですが、使いこなせるようにしておきましょう。

ベン図

■ 代金清算

SPIの非言語分野では、就活生の皆さんも日常的に行っているであろう「割り勘」に関する問題も出題されます。具体的には以下のように、それぞれ異なる料金の商品を複数人で買った場合、誰が誰にいくら払う必要があるかといったことを求める問題です。

代金清算の例題

引用元:SPI非言語対策教室『代金の清算①例題』

上記のような問題の場合、まずはかかった総額を求め、一人当たりいくらずつ負担するべきなのか平均額を出します。それに対して事前に支払っている個別の代金との差額を出せば、誰が誰にいくら支払う、あるいはもらう必要があるかわかるわけです。

少し難易度の高い問題として、事前に誰かが誰かに借金をしているといった条件が加わることがあります。その場合もやり方は同じで、平均額に対する差額に上乗せすればOKです。

■ 速度算

SPIの非言語分野では、速度・時間・距離の関係性を題材にした問題も出ます。しかし単純な公式問題ではなく、以下のようにそれぞれ速度の違う2人が反対方向から同じコースを回った場合、どのくらいの時間で出会うかを求める問題が多いです。

速度算の例題

引用元:就活の教科書『【SPI対策】「非言語」の問題と解くコツ | 例題,公式一覧も』

少しややこしく感じるかもしれませんが、ポイントとなるのは二人の歩いた距離の合計がコース1周分の距離と等しいということに気づけるかどうかです。いまいち理解できない人は、問題文の情景を図に書いてみるとよいでしょう。

それがわかれば歩いた時間をxとして「速度×時間=距離」の公式に当てはめれば解けます。応用問題としてスタート地点が異なる場合や歩く向きが同じ場合などもありますが、その場合も同様に図を書いて求める値の関係性を明確にするとよいです。

■ 特殊算

SPIの非言語分野では、特殊算と呼ばれるやや複雑な問題も出ます。具体的には以下のような、異なる金額の商品を複数種類購入した場合に、いくつずつ購入したのかや、いくら分ずつ購入したのかを問われる問題が多いです。

特殊算の例題

引用元:SPI対策問題集『【SPI 特殊計算|非言語(数学)】練習問題から対策方法まで一挙公開!』

このような問題では、わからない数値をxとして方程式を立てるとよいです。問題の中では合計の個数や合計の金額が示されるので、まずは1種類の個数や金額をxとした場合に、その他の種類の個数や金額もxを用いて表します(例題では1000-x)。

それをもう1つの情報(例題では平均原価)を求めるための方程式に当てはめるわけです。特殊な公式を用いるわけではないので、紙などに書き起こして情報を整理しましょう。

■ 分割払い

SPIの非言語分野では、以下のように商品の代金を分割払いしたときの総額や、1回あたりの支払い金額が総額のどれだけに相当するかなどを算出する問題も出題されます。

分割払いの例題

引用元:キャリタス就活『SPI形式問題の傾向と対策がつかめる筆記・Webテスト対策』

分割払いの問題では具体的な金額を求めさせるのではなく、総額に対する割合(分数)で問われる場合が多いです。そのため総額を1とし、頭金や分割の回数を図に起こして考えるのがわかりやすいでしょう。

難しく感じる人は、総額を1円や1万円と考えてもよいです。あとは分数の計算ができれば解けます。

■ 濃度算

SPIの非言語分野では、濃度に関する問題も出題されることがあります。化学の知識はとくに必要ないですが、%が0.01単位を表す倍率だという点は理解しておくとよいでしょう。

具体的には以下のように、2つの異なる濃度の水溶液を条件に合わせるために、必要な物質の量や水の量などを求めさせる問題が多いです。

濃度算の例題

引用元:就活の答え『SPI非言語問題:「濃度」の問題』

このような問題では、求める水溶液の重さを□gとし、○○%の水溶液に該当の物質が何g溶けているかを考えるとよいです。水溶液に溶けている物質の量は、水溶液の重さ×濃度(倍率)で求められます。

たとえば上の例題でいうと、20%の食塩水800gには、800g×0.20倍=160gの食塩が必要です。全量800gのうち□gが濃度14%の食塩水に由来するとすると、溶けている食塩160gの内訳は、160g=□g×0.14倍 +(800-□)g×0.24倍という等式が成り立ちます。これを計算すれば、必要な14%食塩水の量□gがわかるわけです。

■ 通過算

SPIの非言語分野では、以下のような電車などの動く物の速度や動いた時間から、物の長さを算出する問題も出題されます。

通過算の例題

引用元:PORTキャリア『SPI非言語は対策すれば怖くない! 出題傾向や例題を徹底解説』

基本的には単純な速度×時間=距離の計算問題ですが、「トンネルを通過する」という表現に注意が必要です。トンネルを通過するのにかかった時間には、電車の先頭がトンネルに入った時間から、電車の最後尾がトンネルを抜けた時間までが含まれます。

そのためトンネルの長さは、電車の移動距離-電車の長さになります。よく理解できない人は、図に書いてみてください。

■ 流水算

SPIの非言語分野では、川の流れとその中を進む物体を題材とした速度・時間・移動距離を問われる問題も出ます。川の中で船が特定の地点まで進むのにどれくらいの時間がかかるかや、川の流れの速度、船の静水時の速度を計算する問題が多いです。

流水算の例題

引用元:SPIのすべてがわかるサイト『SPIの流水算の解き方!公式や比を使った手法も例題でわかりやすく解説!』

距離=速度×時間という基本公式は変わりませんが、こうした問題を解くにはそれ自体動力を持った物体の速度に、外的な要因がどう働くかといった物理の知識が必要です。また、川の流れがない場合に船自体が出せる速度のことを、静水時の速度と表現することも覚えておきましょう。

川を上る際は流れに逆行しているため、川の速度の分だけ船の進行速度が遅くなります。一方で川を下る場合は、船自体が出せる速度に川の速度が加わり、その分だけ早くなるわけです。

そのため川の流れがある場合の船の速度は、上りでは「静水時の速度-川の流れの速度」、下りでは「静水時の速度+川の流れの速度」です。静水時の速度は、川の流れを加味した上りと下りの船の速度の平均で求められます。

英語能力検査の対策と例題

SPIの英語能力検査はどの企業でも求められる必須の基礎能力検査ではありませんが、外資系企業や総合商社、航空会社、海外との取引があるメーカーなどでは必ず求められます。それらの企業を受ける可能性のある就活生のために、試験範囲や対策について紹介しておきましょう。

SPIの英語能力検査における試験時間は、テストセンターの場合20分、ペーパーテスティングでは30分です。おもに以下の6つの範囲から出題されます。

  • 同意語・反意語
  • 空欄補充
  • 英英辞典
  • 誤文訂正
  • 和文英訳
  • 長文読解

SPIの英語能力検査の場合、TOEICなどのようなリスニングやスピーキングのテストは行われません。書き取り(選択式)と読み取りのテストです。大学センター試験レベルの難易度だといわれています。

ただし言語分野・非言語分野と同様、短時間に多数の問題が出題される難しさはあるでしょう。また、長文読解は題材となる長文だけでなく設問も英語であるため、とくに難易度が高くなります。

長文は問題文を読むだけでも時間がかかるので、時間配分には注意が必要です。単語や熟語を覚えて語彙力を増やし、簡単な問題は手早く確実に得点していくことで、長文にかける時間を確保しましょう。

それぞれの問題の特徴と対策法について、例題を紹介しながら解説します。

■ 同意語・反意語

SPIの英語能力検査では、選択肢の中から同じ意味もしくは反対の意味の言葉を選ぶ問題が出題されます。

同意語・反意語の例題

引用元:就活の教科書『【例題あり】SPIテストセンターの英語検査で高得点を取る対策方法 | 英単語一覧,出題企業,出題形式の特徴も』

出題される単語は、大学入試に合格した人であれば誰でも知っているものばかりです。しかし忘れている単語があるかもしれません。しばらく英語の勉強から遠ざかっていた人は、昔の単語帳をざっと振り返っておくとよいでしょう。

■ 空欄補充

SPIの英語能力検査では、文章にある空欄に合う単語を選択肢から選ぶ、空欄補充問題もよく出題されます。

空欄補充の例題

引用元:caricuru『SPI英語を対策する方法を解説|単語と長文の対策をしよう』

求められている空欄箇所が、上の日本語文のどの単語に当たるのか手早く見分けられるかがポイントになります。知らない単語が混じっていても気にせず、知っている単語や熟語、構文などをもとに入れるべき語句を判断しましょう。

■ 英英辞典

SPIの英語能力検査では、英語で書かれた説明文を読んで、その意味に最も近い英単語を選択する問題も出題されます。

英英辞典の例題

引用元:SPI対策問題集『【SPI英語対策ガイド】出題形式や対策方法まで例題付きで徹底解説!』

この問題で重要になるのはやはり語彙力です。難しい単語は出てこないので、基礎固めをしっかりしておきましょう。

■ 誤文訂正

SPIの英語能力検査では、英文中にいくつか下線が引かれており、誤っている部分を選ぶ問題もよく出ます。

誤文訂正の例題

引用元:SPIのすべてがわかるサイト『SPIの英語はこれで完璧!出題される形式や問題・対策方法などを一挙ご紹介』

こうした問題では意味から答えが導き出せることもありますが、基本的には文法や熟語から判断するのがよいでしょう。意味だけを見ていると、一見して間違いが見当たらないこともあります。

自動詞と他動詞による前置詞の有無、単数と複数による動詞の変化、to不定詞、受動態、時制など、気に留めていないと間違えがちな英語独特の活用形態が問われることが多いです。基本的な文法なので、ミスをしないように気を付けましょう。

■ 和文英訳

SPIの英語能力検査では、日本語の文章に最も近い意味となる英文を選択する問題が出題されることもあります。

和文英訳の例題

引用元:アクセス就活PLUS『SPI英語は先手を打てば怖くない! 例題付きで攻略法を徹底解説』

こうした問題では日本語を直訳したような選択肢が、必ずしも正解とは限らない点に注意しましょう。あくまでも日本語文の示す意味合いとして、もっともニュアンスの近い英文を選ぶ問題です。

SPIの英語能力検査の中では、やや難しい方の問題だといえるでしょう。きちんと文意を読み取れるように、単語や熟語、慣用句など英語の知識を深めておいてください。

■ 長文読解

SPIの能力検査では、長文読解の問題が必ずといってよいほどよく出題されます。以下のように200〜300語程度の長文が示され、その内容として正しいもの・間違っているものを選んだり、空欄を補充したりといった設問形式が多いです。

長文読解の例題1 長文読解の例題2 長文読解の例題3

引用元:リクルートマネジメントソリューションズ『SPIの英語能力検査とは?』

長文読解は基礎能力検査の言語分野と同様、長文より先に設問を確認するとよいでしょう。何が問われるかを踏まえた上で長文を読めば、読みながら解答を埋めていくことが可能です。

ただし前述のように設問そのものも英文なので、それを瞬時に、また正確に理解できるかどうかがポイントになります。

また、テストセンターではそれまでの正答率が高いほど、何問も長文読解問題が出てきます。高得点を狙うためには英字新聞や英語で書かれた論文などを読んで、英語の文章を素早く読めるように練習しておきましょう。

構造的把握力検査の対策と例題

SPIの能力検査の中で、就活生にとってもっとも馴染みが薄いのが構造的把握力検査でしょう。どの企業でも必須の基礎能力検査ではありませんが、志望企業によっては受けることになるかもしれないので、概要と対策法について説明しておきます。

SPIの構造的把握力検査で問われる問題の種類は、大きく分けて以下の2つです。

  • 言語系
  • 非言語系

構造的把握力検査は、物事の全体像を把握する力と、それを精査する力が試されるテストです。そのため、設問の細部までしっかり確認して、設問の意図を正しく理解する必要があります。

しかし20分間でおよそ20問が出題されるため、時間的な余裕はありません。問題そのものはそれほど難しくないですが、スピーディーかつ正確に解いていくことが大事です。

どちらも出題パターンが限られているので、練習問題を何度も解き、解き方のポイントに慣れておくことが最善の対策となるでしょう。

以下で例題を紹介しながら、問題の特徴と解答方法について説明します。

■ 言語系

SPIの構造的把握力検査では、以下のような内容の異なる文章を仕分けする問題が出題されます。

言語系の例題

引用元:PORTキャリア『構造的把握力検査って何? 勉強方法やコツを例題付きで解説!』

基本的には上記のように難しい言葉は使われず、小中学生でも理解できる文章が並んでいます。しかし一見するとどれも似たような文に見え、慣れていないと法則性を見逃してしまうのです。その中からじっくりと構造を把握し、法則性を見出すことが求められます。

たとえば上の例題では「本人の話ではないのに一律に同一視している」グループと、「本人の話ではあるものの極端な解釈をしている」グループに分けられるでしょう。文章自体は難しくないので、何度も練習問題を解けば、法則性が見えるようになるでしょう。

■ 非言語系

SPIの構造的把握力検査では、以下のように計算の構造が似ている文章を仕分けする問題も出題されます。

非言語系の例題

引用元:リクルートマネジメントソリューションズ『SPIの構造的把握力検査とは?』

構造的把握力検査の非言語系の問題では、求める対象が何であるかと、答えを算出するためのプロセスに着目する必要があります。

たとえば上の例題でいくと、割合を求めさせようとしている問題文が3つあります。しかしそれを算出するために与えられている情報が異なるため、同じ構造の計算式となるのは2つだけです。

計算に使用できる要素を素早く抽出し、答えを算出するための計算過程を見極める練習をしましょう。

性格検査の対策と例題

SPIの性格検査は、どの企業、どの受験形式で受けた場合も必須です。30分間におよそ300問が出題されるため、考え込まずにどんどん答えていく必要があります。

具体的な問題は、以下のようなものです。

性格検査の対策と例題

引用元:リクルートマネジメントソリューションズ『SPIの性格検査とは?』

上記の場合、①~⑤の各問いに対し、4つの選択肢の中から自分の考えにもっとも近いものをそれぞれ選んでいきます。人柄や思考の傾向を確認するためのテストなので、どの選択肢を選べば正解・不正解ということはありません。

似たような問題がいくつも出題され、回答の一貫性もチェックされています。嘘の回答をすると回答に一貫性がなくなり、それが性格検査の結果として通知されてしまうので注意しましょう。

自分の適性に合った就職先を見つけるためにも、率直かつ素直に答えることが大切です。

SPIの意味を理解して早めの対策をしよう!

SPIは、新卒採用においてもっとも導入している企業が多い適性検査です。就活をしていれば、必ず一度は受けることになるといっても過言ではないでしょう。どのような問題が出るのか把握して、万全の対策を行うことをオススメします。

とはいえ勉強する時間がとれない就活生もいれば、苦手分野が克服できない就活生もいるはずです。もしもSPI対策に不安を感じたら、キャリチャンの就活支援サービス「楽スル就活」を利用してください。

このサービスでは、採用選考においてSPIも含めた適性検査を実施しない企業を紹介できます。また、ESの提出不要、面接回数1回だけといった企業も紹介可能です。私たち就活のプロと一緒に、自分らしく就活できる企業を探してみませんか?

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この記事の監修者

監修者:廣瀬舞

廣瀬 舞

株式会社ジールコミュニケーションズ 
HR事業部マネージャー

大学卒業後、教育機関を経て入社。7年間、キャリアカウンセラーとして新卒・中途・既卒求職者の就職を支援し、これまでに4000名以上の求職者を担当し内定まで導いている。女性ならではの親切丁寧な対応が定評を呼んでおり信頼度が厚い。

就活支援の得意分野は「面接対策」。特に現代ならではの動画面接、オンライン面接の対策実績は1000社以上、2000名以上を支援してきた実績がある。

また、これらの知見を活かして学校におけるキャリアガイダンス セミナー内容の監修、講師を務めるなど、幅広くキャリア育成に尽力している

~就活生へのメッセージ~

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